市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同有毒スラグを斬る!・・・国道17号上武道路工事は群馬県や前橋市の土砂条例を脱法している!?

2017-01-16 01:27:00 | スラグ不法投棄問題

■前橋市で今年度末に完成予定の国道17号上武道路は、さながら「有毒スラグ街道」の異名をほしいままにしています。これに関連して、2016年10月20日、国土交通省高崎河川国道事務所が「工事中の盛り土から鉄鋼スラグに類似する不純物が見つかった」と発表しました。

有害スラグの利活用にたけた池下工業が受注した日輪寺改良その8工事。

 この不純物について国土交通省は以下の発表をしました。

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【分析結果】
・鉄鋼スラグに類似する不純物は15個のうち11個が鉄鋼スラグであることが判明しました。
・鉄鋼スラグが発見された3工事の土壌(盛土の材料)の分析を行ったところ(本文資料(PDF)別紙-2)3工事の土壌とも環境基準値以下であったことが確認されました。
【今後の対応】
 国は、国が実施した分析結果を群馬県環境森林部及び前橋市環境部に対し報告しました。
また、群馬県環境森林部による調査が行われています。
 国及び県の調査結果を受け、前橋市環境部より国に対し、「調査結果は土壌環境基準に適合していることから、環境保全上の影響はないと判断できる」との見解が出されています。
これを受け、事業者である国は、中止していた3工事について、12月5日から工事を再開することとしました。

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 詳しくはこちらをご覧ください↓↓
〇国道17号 上武道路 工事現場から発見された鉄鋼スラグに類似する不純物等の分析結果及び今後の対応
http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/takasaki_00000290.html

■なんと、混入された不純物そのものの分析調査を実施せず、盛り土と不純物が混合された状態で分析調査し「土壌環境基準に適合している」として工事を再開してしましました。

 その分析結果を見ると「H28 上武道路 日輪寺改良その8工事 フッ素の溶出量が0.16mg/L」となっています。土壌環境基準は0.8mg/Lですので、基準値の1/4の値を示していることが分かります。通常群馬県で用いられる盛り土のフッ素の値は0.1以下であると考えられますので、明らかに盛り土と有害スラグが混合された状態で検査されたことが分かります。発見された不純物=有害スラグ以外にも盛り土の中に多数の有害スラグが混入されていることが分かります。


ブラック佐藤建設工業が搬入し自ら敷き均す日輪寺改良その8工事では、やはり有害スラグが適度?に混入されていたようだ。土壌環境基準を超過しないように、注意深く盛り土とスラグの量を調整し、本来遮断型最終処分場に埋設処分するところ、故意に脱法行為を行っている。

■群馬県や前橋市には「土砂条例」という、刑事罰まで規定されている法律があるのをご存知でしょうか?

 ウキィペディアで「条例」を調べてみました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%A1%E4%BE%8B

 これによれば、

「条例(じょうれい)は、日本の現行法制において地方公共団体が国の法律とは別に定める自主法。」

となっていて法律であることが分かります。

 群馬県と前橋市はそれぞれ「土砂条例」を定めています。
〇群馬県の土砂条例↓↓
https://www.pref.gunma.jp/04/e1600094.html
〇前橋市の土砂条例↓↓
http://www.city.maebashi.gunma.jp/jigyousya/376/009/p012817.html

 ここでは群馬県の「土砂条例」を見ていましょう群馬県「土砂条例」の条例制定目的は、次のとおりです。

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近年、建設工事に伴い排出された土砂等による埋立て等について、周辺地域の住民から有害物質の混入や堆積された土砂等の崩落を心配する声が増えています。
そこで、群馬県では、生活環境を保全するとともに、土砂災害の発生を防止するため、土砂等による埋立て等を規制する条例を制定しました。

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 どうやら、土砂等による埋立て等について有害物質の混入を心配する声が増えていることから、生活環境を保全するため条例を制定したようです。

■これを見て皆様、何らや、ある事件と類似していると思いませんか?当会ブログ風に書き直してみましょう。

 大同特殊鋼・佐藤建設工業による盛り土などの建設資材(土砂)に有害スラグを混入する不法投棄事件があったことから、群馬県民には有害物質の影響を心配する声が増えています。生活環境を保全するためにも「土砂条例」の適用を検討すべきです。

■土砂などの言葉の定義も定められています。

 県土砂条例における用語の定義は次のとおりです。

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1.土砂等
 土砂及び土砂に混入し、または付着した物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物を除く。)
2.埋立て等
 土地の埋立て、盛土その他の土砂等の堆積(製品の製造または加工のための原材料の埋立て、盛土その他の土砂等の堆積を除く。)
3.特定事業
 土砂等埋立等区域(土砂等による埋立て等を行う区域をいう。以下同じ。)以外の場所から排出され、または採取された土砂等による埋立て等を行う事業であって、当該土砂等埋立等区域の面積が3,000平方メートル以上であるもの

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 土砂等の定義では、廃棄物は除かれています。大同特殊鋼由来の有害スラグは、指導監督権限を有する群馬県が認定した廃棄物であり、土砂に混ぜてはいけません。定義から除かれるのは当然です。定義の上で廃棄物は除かれている以上、盛り土とは別に廃棄物の環境分析調査をしなければなりませんが、国土交通省は盛り土と廃棄物を混ぜた状態で分析調査をしてしまいました。今回の不純物混入事件では、環境分析結果(0.16mg/L)より、土砂に故意に有害スラグを少しずつ混ぜていると思われるので、土砂条例を故意に脱法しようとする意図があるのではないでしょうか?

■土壌基準に適合しない土砂等の埋立て等の禁止も具体的に記載されています。

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土壌基準に適合しない土砂等による埋立て等を行ってはいけません。
なお、「土壌基準」とは、環境基本法で定められている土壌の汚染に係る環境基準であり、27項目の有害物質の濃度の基準です。

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 この「土砂条例」は、廃棄物処理法などと同じ環境基本法を基にする法律であることが記載されています。環境基本法により土壌基準に適合しない土砂等の埋め立ては、行ってはいけないのです。当然、盛り土などと廃棄物の混合物は、常温では混ざり合うことはないので、それぞれ別々に取り扱わなければなりません。

 有害スラグ入り盛り土で土壌環境基準を超過している場所はもとより、上武道路日輪寺改良その8工事のように基準値を下回っている場合でも、「土砂条例」を脱法する目的で混入する場合には問題視しなければなりません。

■例外的に許可が不要な行為も示されています。

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2.国、地方公共団体その他規則で定める者が行う土砂等による埋立て等(委託し、または請け負わせて行うものを含む。)
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 上武道路工事のように、国が行う土砂等による埋立てには例外的に許可が不要であることも記載されています。

 例えば日輪寺改良その8工事においては、国土交通省の工事なので「土砂条例」の許可が不要なことに着目して、盛り土に不純物を混ぜる脱法行為を思いついたのではないでしょうか?

 日輪寺改良工事を施工した業者は、「土砂条例」を脱法して、盛り土にスラグが混ざった混合物を埋設してしまった、ということが言えるのではないでしょうか?

 また、国土交通省は、率先して土砂条例を守るべく模範となるべく行動すべきところ、許可がいらない事に着目して、有害スラグを分けることなく毒が薄まった状態で盛り土を分析調査して、工事を再開してしまいました。

■土砂条例には罰則も定められています。上武道路工事において、許可なく有害物質入り盛り土を埋設した建設業者はもとより、有害スラグを故意に不法投棄した佐藤建設工業は、当然、その脱法行為により罰則が適用されなければなりません。

 さらに、模範を示すべき国土交通省がこれらの脱法行為を庇っています。有毒物質入り盛り土を上武道路に埋設処分することを知っていて目をつぶる国土交通省も共同正犯として、「土砂条例」の罰則を受けるべきではないでしょうか? さもないと、群馬県の不法投棄の実態は、無法状態そのものとなってしまうでしょう。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】

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