市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

これでいいのか群馬県環境行政…職員OBを役員に迎え県土サンパイ化に盤石を期す業者とそれを支える群馬県

2012-08-17 13:59:00 | 全国のサンパイ業者が注目!
■安中市の東南にあり、高崎市と富岡市に接する岩野谷地区では、20年前から廃棄物処分場計画が目白押しですが、現在、同地区において4つ目(*)の廃棄物処理施設設置計画が進んでおり、現時点では、まだ事前協議の完了通知は群馬県から発出されてはいないようですが、事前協議の最終段階にあります。

(*)4つ目とは、①サイボウ環境㈱一般廃棄物管理型最終処分場、②大和建設㈱産業廃棄物中間処理施設、③東邦亜鉛㈱産業廃棄物安定型最終処分場に続く④㈱環境資源一般・産業廃棄物管理型最終処分場のことです。

 この4つ目の処理施設は、㈱環境資源が岩野谷地区を流れる岩井川の源流地域となる大谷の新山・出雲地内に設置を計画している大規模一般及び産業廃棄物最終処分場で、平成18年7月7日に群馬県に事前協議申請書が出され、以来、業者と行政との間で申請手続きが進められているものです。

 また、この最終処分場は面積が9ヘクタールと広いため、群馬県の大規模条例の手続も必要とされ、平成21年12月17日に群馬県土地・水対策室に事前協議書が提出され、平成23年12月19日までに群馬県庁の22の審査会における手続を全部終えたとされています。

■このことについて、平成24年3月10日の岩野谷公民館で開催された出前講座で、㈱環境資源に群馬県の職員OBが役員として名前を連ねていること、また、平成24年4月14日に大谷の長坂公会堂で開かれた業者による地元住民説明会で、当会から本件事業に関する資金面での担保について質問したところ、㈱環境資源には資金面で事業のバックアップをするオーナーが存在していること、そのオーナーが環境資源の株式の52%を保有していること、銀行団の協調融資として総額38億8000万円の融資証明が群馬県に提出されて確認済みであるとの情報が分かりました。

 このため、平成24年7月24日付で、次のとおり2件の公文書開示請求を群馬県知事に対して行いました。

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<開示を請求された公文書の内容又は件名>
安中市岩野谷の大谷地区で事前協議の最終段階にある㈱環境資源が計画中の関東有数の大規模サンパイ処分場計画に関連して、次の項目にかかる一切の情報。
(1)平成24年3月10日(土)午後7時から地元の岩野谷公民館で開催された当該処分場の出前講座で、地元住民から「環境資源という会社でしたっけ?その役員の中には県のOBもいらっしゃると聞きましたがどうですか?」という質問に対して、県の環境リサイクル課の担当職員は「退職者がいるということは聞いています」と回答した。この退職者に関する県職員として勤務していた当時の、退職前10年間の所属先、職位、氏名、退職時期、退職理由等、本人に関わる情報。
(2)土地水対策室に提出された分も含めて、当該計画で業者から県に出された融資証明或いは資金証明に関する情報。
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■このことについて、平成24年8月6日に部分開示決定通知があり、同16日に部分開示がありました。

 まず、㈱環境資源の役員として名前を連ねているのは、林務部長を最後に平成11年3月末で退職された職員OBであることが判明しました。

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ふりがな    なかじま のぶよし
氏  名    中 島  信 義     (略 歴)
             ■■■■■■■■■■■■■■■■■■
現 住 所  ■■■■■■■■■■■■■■■■■■
学   歴  ■■■■■■■■■■■■■■    ■■■■■■■■■■■■
職   歴
   昭和36. 5   総務部広報文書課
     50. 4   企画部企画課開発第二係長
     52. 4   商工労働部観光課振興係長
     56. 4   〃    商政課団体係長
     57. 4   国体事務局総務課参事(ヨット担当)
     59. 4   農政部畜産課参事(馬事公苑担当)
     60. 4   商工労働部観光課参事
     61. 4   企画部部長室課長補佐(計画担当)
     62. 4   県立女子大学管理部長
   平成 元. 4   監査委員事務局管理課長
      3. 4   衛生環境部公害課長
      4. 4   総務部管財課長
      6. 4   衛生環境部環境局長
      9. 4   林務部長
     11. 3   退 職
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 同氏について当会が独自に追加調査したところ、前橋市総社町に在住し、昭和32年3月に高崎高校を卒業、法政大学を出たあと、県庁に奉職し、上表のとおり平成11年3月末で県庁を退職。同氏はその後、平成18年1月23日にはNPO法人 日本BDF推進機構(高崎市中里町619-1、電話027-370-7037、FAX027-370-7047)を立ち上げ、理事長に就任しました。BDFというのは廃食用油を回収して作ったバイオ・ディーゼル燃料(BDF)のことです。

 同氏は現在、社団法人群馬県測量設計業協会(前橋市総社町3-1-10、電話027-251-0730、FAX027-253-1339、E-mail info@gunsokkyo.or.jp)の監事を務めており、さらには、群馬県セーリング連盟(前橋市鳥取町830-7岡本方、電話027-269-5194、FAX027-269-51494、E-mail satio@meilgoo.ne.jp)の会長も務めており、群馬県教育委員会にも顔が利くようです。

 そのため、教育分野に関して、2007年(平成19年)当時、明和学園短期大学、明和県央高等学校、明和幼稚園を経営する学校法人平方学園の副理事長として、明和学園短大の副学長も兼務していました。中島氏が現在も引き続き同法人の要職にあるのかどうかは未確認です。

 このほか、同氏は、2007年(平成19年)6月13日にはNPO法人森の会(前橋市元総社町73-5、電話027-255-3450、FAX027-255-3450、E-mail info@morinokai.org )アマゾン群馬の森利活用委員会の理事長として、桐生高校の生徒らがバザーで得た収益金を地球環境に役立ててほしいと寄付金の申入れがあり、直接14万2067円を手渡されたこともあります。ただし、同氏が現時点で、依然として森の会の理事長に就任しているのかどうかは未確認です。

 さらに、同氏は、平成3年11月20日には、群馬県衛生環境部公害課長として、公益社団法人群馬県環境資源保全協会(前橋市紅雲町1-7-12住宅公社ビル3F、電話027243-8111、FAX027-243-4911)主催の研究発表会で「群馬県環境白書について」と題する講演を行っています。

 このように、㈱環境資源の役員にも名を連ねている中島信義氏は、平成11年3月末で退職後も、群馬県とのつながりが極めて深いことがわかります。とくに、平成3年4月から1年間衛生環境部公害課長として、また平成6年4月から3年間衛生環境部環境局長として、群馬県の環境行政のトップとして活躍しており、サンパイ処分場を設置しようとする業者としては、こうした人物が役員として名を連ねてくれれば、サンパイ処分場設置許可申請において、「鬼に金棒」ともいうべき千人力の助っ人だと認識するはずです。

■事実、平成24年3月10日の岩野谷公民館で開かれた県の出前講座で、突然地元住民から「環境資源という会社でしたっけ?その役員のなかには県のOBもいらっしゃると聞きましたがどうですか?」と出席した県の環境リサイクル課の職員に質問したところ、同職員は「あの、退職者いるということは聞いていますけど、それがなにか関係あるとは聞いていませんが」と一瞬躊躇を見せながらも、即答しました。

 当会はこのときの模様を後任の県庁職員に伝え、あわせて情報開示された上記の中島信義氏の履歴を見せたところ、後任者は、「(出前講座で即答した)前任者は中島信義氏が県庁在職時代、面識は無いはず」とコメントしました。しかし、前任者が、住民から単に「環境資源に県職員OBがいるのか?」と質問されたのに、「いる」と即答した背景には、群馬県の環境行政に携わっている職員らが、全員、このことを知っているということを如実に物語っていることになります。

 実際、後任者も「中島信義氏とは面識が無い」といいながらも、中島氏が県の大物OBであることは、知っているそぶりでした。このことは、重大な問題を包含していると言えるでしょう。すなわち、インサイダー疑惑です。

■群馬県では、退職者の退職後の就労状況について、最近HPで平成22年度分から一部公表を始めています。http://www.pref.gunma.jp/07/a1600024.html

 この趣旨は「団体等からの具体的な推薦依頼に基づき、県が団体等に推薦し就労した場合の状況について、公正で透明な再就職管理を進めることを目的として公表するものです」とされていて、公表対象者は「平成23年3月31日に、部局長又は本庁課長の職で定年退職した者」で、職員の氏名、退職時職名、就労先団体等の名称、役職名、就労月日(県において嘱託等として採用した場合を含む)が公表されています。

 県職員の大物OBが、あろうことかサンパイ業者の役員として事業に関与していることに関連して、総務部人事課人事係の担当者に質問してみました。

当会「林務部長を最後に退職されたかたが、業者側にいるということについて、内規として、李下に冠を正さず、襟を正すという観点から、問題は無いのでしょうか?」

県人事担当「今、お尋ねのあった内規の関係だが、退職後2年間は、密接関係のあったような民間企業の役員や顧問には就いていけないということで話をしているが、中島さんはちょっと古いので、そういった扱いには該当してこないと思っている。」

当会「古いというのは?」

県人事担当「退職後2年なので、現行の、また、その要領自体のできたのは平成17年だが…」

当会「その要領というのは、なんという名前ですか?

県人事担当「“職員の退職後の社会貢献に関する取扱要領”ということで、いわゆる民間企業というか団体のほうで、社会貢献として、それまで培った経験などを活用したいので、退職した職員に来てもらえないか、ということで相談を受けた場合、社会貢献ということで紹介をしている。」

当会「それは部長局長以上ですか?それともヒラ職員の退職者でも同じですか?」

県人事担当「それは課長級以上であった職員となる。その時の、2年間の扱いについて対象となる。」

当会「ヒラは関係ないのですか?」

県人事担当「課長級以上だから、ヒラは関係ないことになる。」

当会「ヒラは、それなりに影響力が無いと見なしているのですか?」

県人事担当「そういうことになる。中島さんの場合には、いわゆる自己開拓。ご自分で仕事を見つけられて、行かれたということになる。」

当会「全くモラルもへったくれもないですね。我々から言わせると。“自分で開拓した”というか、自分が勤務していた権限を行使していたカテゴリ、エリアのなかで“開拓”ということにはならないし、そういう考えは安直過ぎると思います。一般の人は、クビになればワローワークで必死に職探しを余儀なくされます。今回、“開拓”と言っても、この事業が海のものとも山のもとのもわからない状態で、これから行政の手続のゴーサインを得るということが最大のファクターになるわけで、そのところで、要するに、それを自分で開拓努力したというふうに思っているのかもしれませんが、受け入れる業者側としては、そのOBの過去を重用して“来てください”と考えているのに決まっているのではないでしょうか?。自己努力の次元の話ではないと思います。襟を正すというのは、全く関係の無いNPOのボランティアであればともかく。このような行政の許認可をこれからやるというところで、業者と席を同じくするというのは問題だと思います。最も重要なのは、公僕として永年勤め上げられて、その職歴で、社会貢献をしようとするのであれば、自分自身でモラルとしてきちんと考えておかないといけないはず。それまで税金で俸禄を食んでいたわけで、もし、今回のようなことが前例となると、後に続く職員らが、“あっ、中島さんって、良い思いをしているなあ”、“2年で全部リセットできるのか”と考えることになり、また業者側もその点を矯めていると思います。インサイダーの疑惑を持たれかねないので、至急善処してもらいたい。」

 このあと、実施機関である環境リサイクル課にも同様な意見を伝えましたが、対応した職員の様子では、事の重要性をどこまで認識してもらっているのか、あまり問題視している風情は感じられませんでした。

 それにしても、㈱環境資源は、すごい大物の県職員OBを引っ張り込んだものです。このOBが業者側についているだけで、実際に本人が県庁の窓口に来なくても、その威光は県庁内にひろく深く浸透しているに違いありません。とくに、この大物OBの職歴をみると、現役職員がビックリするくらい、あちこちの部署を巡り歩いていることです。

 環境リサイクル課では、「(中島OBが)環境行政分野に携わったのは、平成3年と、平成6~9年だけのようだ」とコメントしていましたが、当会に言わせれば「その時期が、サイボウ環境の最終処分場設置申請許可手続きと重なっており、サイボウの手続を進めた張本人です」ということになります。

■さて、(2)番目の開示請求である「土地水対策室に提出された分も含めて、当該計画で業者から県に出された融資証明或いは資金証明に関する情報。」については、次の17項目の資料開示が期待されました。ところが、部分開示という表現で開示されたものは、ことごとく墨が塗られており、情報として全く役に立たないものでした。

①資金明細書
②事業参加表明書
③印鑑証明書(特定法人)
④印鑑登録証明書(特定個人)
⑤現在事項全部証明書
⑥決算報告書の表紙
⑦貸借対照表
⑧損益計算書、販売費及び一般管理費
⑨株主資本等変動計算書
⑩個別注記表
⑪法人税申告書
⑫たな卸資産の計算内訳(2期分のみ)
⑬臨時取締役会議事録
⑭銀行預金残高明細
⑮残高証明書
⑯株式・債券明細
⑰取引残高報告書

 墨塗りの理由としては、次の条項が該当するとされています。
●情報公開条例第14条第2号該当
事業者の資金調達に関わる特定の個人に関する情報であるため
●情報公開条例第14条第3号イ該当
事業者の資金調達に関する通常一般に入手できない情報であり、公にすることで、当該事業者の競走上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため

■やはり、㈱環境資源の戦略は正鵠を射抜いているといえます。つまり、県の環境行政をはじめ、関連部署にコネがある大物職員OBを役員に組み入れることで、許認可権を持つ群馬県に対して暗黙の睨みを行使できるからです。

 一方、自分たち住むふるさとがサンパイ銀座になろうとしている現実を目の当たりにして、それを食い止めるために、地元住民側としては、せめて行政と業者と同じ土俵に立つためには、行事役の行政が得ている事業情報と同レベルの情報を入手して、分析、検討し、対策を講ずる必要がありますが、そのために、住民側としてルールに則って情報開示請求をしても、上記のように“事業者の円滑な事務事業に支障をきたす”という理由で、正確な情報を得られない仕組みになっているのです。

 この構図は、平成19年4月に稼動を開始したサイボウ環境㈱による一般廃棄物最終処分場の設置申請手続でも、周辺住民として一生懸命情報入手に務めようと、情報開示請求を行政に対して行っても、肝心の情報は黒塗りにされたり、非開示にされたりした経緯と同じです。つまり、群馬県の環境行政は、この20年、全く進歩していないことがわかります。

 他方、サンパイ業者側としては、サイボウ環境㈱で培った経験とノウハウと前例主義により、行政へのアプローチの方策を最大限追及して、今回の環境資源でも、その成果が遺憾なく発揮されていると言えます。

■群馬県の環境行政に携わった大物職員OBを起用できた㈱環境資源の戦略は、今後、群馬県でサンパイ処分場を設置しようと虎視眈々と狙っている後続業者にしてみれば、非常によい手本となっており、県の環境行政に携わる職員や関係者にとっても、おいしい利権に預かれるチャンスとして、捉えられているに相違ないでしょう。

【ひらく会情報部】


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