田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

ジョン・F・ドノヴァンの死と生(The Death and Life of John F. Donovan)

2020年08月01日 15時46分29秒 | 日記

ボード「Dolan」のピン

Natalie Portman Jessica Chastain The Death and Life of John F ...

Susan Sarandon, Kit Harington, Sarah Gadon on The Death and Life ...

 「Mommy マミー」「たかが世界の終わり」などで高い評価を得ているカナダ出身の若き俊英グザビエ・ドランが、初めて挑んだ英語作品。2006年、ニューヨーク。人気俳優のジョン・F・ドノヴァンが29歳の若さでこの世を去る。自殺か事故か、あるいは事件か、謎に包まれた死の真相について、鍵を握っていたのは11歳の少年ルパート・ターナーだった。10年後、新進俳優として注目される存在となっていたルパートは、ジョンと交わしていた100通以上の手紙を1冊の本として出版。さらには、著名なジャーナリストの取材を受けて、すべてを明らかにすると宣言するのだが……。物語は、ドランが幼いころ、憧れていたレオナルド・ディカプリオに手紙を送ったという自身の経験から着想を得た。出演は「ゲーム・オブ・スローンズ」のキット・ハリントン、「ルーム」のジェイコブ・トレンブレイをはじめ、ナタリー・ポートマン、スーザン・サランドン、キャシー・ベイツら豪華実力派がそろった。(映画.comより)

 

 

 

 

 ドラン監督の映画の中ではわかりやすいほうなんだろうと思います。最近は、あまりのマザーコンプレックス(とひとくくりにするには語弊があるけど)に疲れてしまうこともあったのだけれど、今回の作品は英語だからか、舞台がアメリカだからか、よりわかりやすくなっていると思いました。決して後ろ向きな意味合いで言っているのではありません。私個人的には、映画は娯楽である以上、あまりに自己世界で完結するべきではないと思っているからです。

 私はつい、感想を遅れて書いているので、書く時点ですでにいろんな映画を鑑賞してしまっていることもあるのですが、最近も「ハチドリ」という韓国映画を鑑賞する機会があり、”子供であることの理不尽さ”という点で、この作品との共通性を感じました。「ジョン・F・ドノヴァン・・・」も、少年に対する大人たちの反応が腹立たしく、でもこういう悔しい思いって、わりとみんな経験してるんじゃないかと思いました。だからこそ「アダルトチルドレン」とか、そういう”症候群”に対する病名が多数存在し、みな「そうだそうだ、私もそうだ。自分に非があるんじゃなかったんだ」と言って安心する、ということが繰り返されてきているんだと思うし、それが行き過ぎて、なんでも人のせいにする風潮が目立つことを憂える流れが出て来てるのも、時代だと思うのです。

 だとすれば、一部そうではない人が存在するとしても、たくさんの人が悔しい思いをして大きくなるのに、どうして同じことが繰り返されるのでしょうか。「自分があんなにいやだったのだから、同じことはやらないでおこう」と思わないのか。忘れてしまうのか、あるいは心がけていても、日々の生活に追われているうち、従来の大人になってしまうのか。時代により価値観がずれてくるから、心がけているつもりで同じ思いをさせてしまっているのか。あるいは極端だけれど「みんなそうやって大きくなるんだから、同じ思いをすればいい」と考える人が一定数いるのか。どちらにしても、そういう自分だって、我知らずそんな大人になっているのかもしれないってことですよね。

 とにかく、さすがにドラン監督、「なんでも鮮明に覚えているのだなぁ」と思いました。つらいことはできれば忘れたい。でも現実的には、つらかったことほど鮮明に覚えていますよね、人間って。なんかある都度思い出したりして。頭が一度解体してしまえばいいのに、とよく思います。クローネンバーグ監督の映画みたいですけど(笑)。

 唐突に母親と理解しあえる場面が展開するのも、なにかの意図か。親って、そう単純な生き物じゃないと個人的には思うけど。主題がずれてしまってすみません。若手売り出し中の俳優が、それなりにキャリアを積んだ女性(タンディ・ニュートン!)にインタビューを受けて、身の上話を始める、という形になっているこの映画。最初はめんどくさそうに相手を見下していたインタビュアーが、彼の真摯な話にだんだん態度を変えてゆく、という展開。そして、最後は!かの「my own private idaho」のオマージュに!ここはあの映画を見た人なら誰でもわかるようになっています。ドラン監督、さすがです。個人的には、少年(ジェイコブ・トレンブレイ。名子役!!)が言っていることはすべて真実だと信じます。よくよく見ると、何も提示されていないのかもしれませんが。

 わかりやすくなっていると言っても、やっぱりちょっぴり難しいドラン監督。気合を入れて見ることをおすすめします。

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