田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

鑑定士と顔のない依頼人(La migliore offerta)(The Best Offer)

2014年01月06日 22時47分59秒 | 日記

 

 「ニュー・シネマ・パラダイス」「海の上のピアニスト」の名匠ジュゼッペ・トルナトーレ監督が、ジェフリー・ラッシュを主演に迎えて描くミステリー。天才的な審美眼を誇る鑑定士バージル・オドマンは、資産家の両親が残した絵画や家具を査定してほしいという依頼を受け、ある屋敷にやってくる。しかし、依頼人の女性クレアは屋敷内のどこかにある隠し部屋にこもったまま姿を現さない。その場所を突き止めたバージルは我慢できずに部屋をのぞき見し、クレアの美しさに心を奪われる。さらにバージルは、美術品の中に歴史的発見ともいえる美術品を見つけるが……。音楽はトルナトーレ作品常連のエンニオ・モリコーネ。イタリアのアカデミー賞と言われるダビッド・ディ・ドナテッロ賞で、作品賞、監督賞、音楽賞をはじめ6部門を受賞。(映画.comより)

 

 

 あ~なんだか悲しい男の物語を見たような気がします。潔癖症で仕事もでき、オークショニストとしての信頼も厚い。もちろん、お金にも困ってない。そんな才能溢れる、でも孤独な男の物語。

姿を見せない女性依頼人に対して、「無礼な」と最初は怒っていたジェフリー・ラッシュも、彼女が持つ芸術品の価値の高さと、「広場恐怖症」という病気だということ・無礼に対してもすぐに丁寧に謝る姿勢・まだ若いということ・・・などにより、だんだん情にほだされていくようになります。

しかも!あの手この手を使って垣間見たうら若き依頼人は、かなりの美女!これに心揺るがない男はいないんでしょうね。たまに例外はあるかもしれないけれど、基本的に男性は、若くてか弱い女性は守ってあげたい、力になってあげたいと思うもの。ついついのまれて行ってしまいます。ジェフリーは、友人である機械修理の天才(ジム・スタージェス)にその都度恋愛相談をしつつ、しっかり行動に移します。ちなみにジムはモテ男。うらやましいですねぇ(笑)。

ところで、ジェフリーには古くからの友人ドナルド・サザーランドがいます。彼は画家になりたかったらしいのですが、いかんせん才能がなかったようです。ジェフリーとドナルドのおじさんペアは、実はオークションを操作して暴利を上げたり、自分の欲しい名画をこっそり懐中に入れたりしています。人を騙して、これは犯罪ですね。

さて、彼女の信頼も得、真面目に生きては来たけれど(いや、悪いこともしてるけど)孤独だった長い人生に、明るい春が訪れたと、仕事も引退を決めたジェフリーに、予想もしない出来事が襲いかかります。

 

<ここからネタバレ>

 

予想がつくと言ってしまえばそれまでなんですが、彼女もジムもドナルドも、ついでに言えば彼女の家の管理人だったびっこのおじさんも、み~んなグルで彼は騙されたのです。たくさんあった女性の肖像画もごっそり持って行かれてしまいました。

後から思えば、不審な点は多々あったのです。機械(オートマタ)の部品が行くたび一個ずつ落ちていた、とかね。でもね、そんなこと、普通は予想できないですよね。かわいそうなジェフリー。有頂天だった彼は一気に奈落に落とされ、廃人のようになってしまいます。

そんな彼を訪ねて来たのはかつての秘書。彼は郵便物など置いて行きます。それを読んだジェフリーの回想が始まります。彼女と過ごした幸せだった日々。

しかし、この辺から現実と回想とがよくわからなくなります。どこまでが回想なのか。いやそれは、私がバカなだけかもしれないのですが。

一番のラストシーン。彼女が「もう一度行ってみたいわ」と言っていたカフェを訪ね、一人で座るジェフリー。これは、彼が一度は自分で行ったものなのか。例えば、今の施設に入る前にせめてもの区切りのために行ってみたとか。それとも、元秘書が持って来た書類の中に、彼女の手紙とか、そんなものが入っていて「ごめんなさいね、私は乗せられただけなの。あなたのことは本当に愛していたから、もう一度会って私を許してちょうだい」とかなんとか書いてあって、懲りずにその場所に来た、要するに回想ではないということ。私はどちらとも取れると思うのです。監督が「ラストでは、一筋の希望を見出して欲しい」とか言ってたし、あるいは・・・と思わんでもないのです。

よくわかりません。すべてが回想のような気もします。でも、あのまま施設で朽ちてゆくだけなら、彼がかわいそう過ぎるような気もします。なんだかな~。

「題名のない子守唄」でも、あれは主人公は女性だったけれど、救いのない物語に見えて、ラストは大変希望に満ちたもので、却って驚いたくらいだったのを覚えています。

ま、本当に「人生いろいろ」なんでしょうけど・・・。

 

 

 

 

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