写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

たけのこご飯

2020年04月17日 | 食事・食べ物・飲み物

 夕方、知り合いから茹でたタケノコを頂いた。我が家にとっては初物である。薄い飴色で見た目もおいしそうだ。「甘辛い煮物にしてみましょうか」と奥さんが言うのを遮って、「たけのこ飯を作ってみようよ。私が調理するから」と言った。

 「私のレシピは我流だから」という奥さんを差し置いて、ネットに「たけのこご飯」と入れて検索してみると、写真付きでいろいろなものが出てきたが、見た目がおいしそうなもので作ることにした。

 米2合に対して、たけのこ水煮 200g、油揚げ 1枚、みりん 大さじ2、料理酒 大さじ2、しょうゆ 大さじ2、砂糖 大さじ1/2、顆粒和風だし 小さじ1、 適量、小ねぎ 適量と書いてある。幸い、調味料は全て買い置きがあるという。

 調理するといっても、たけのこを薄切りすることと、油揚げを刻むことだけである。あとは、米を1合で作ることにしたので、全ての調味料を半量にして入れれば良いだけである。

 全ての作業を終え、炊飯器のスイッチを入れて夕方の散歩に出かけた。帰ってきたころには、プーンといい匂いがしている。「炊きあがりました」という電子音が鳴り、奥さんが茶碗に盛ってテーブルに置いた。たけのこが良い色合いで光っている。

 熱いまま口に運ぶ。あふふあふふと声を出しながら食べる。春の恵みを舌に乗せ、自分が調理した初物のたけのこご飯を、おいしく頂いた。残りのたけのこは今度は違うレシピで作って食べ比べをしてみたい。程よい歯ごたえのあるたけのこご飯、思っていたよりは簡単においしく作ることができた。

 「初物七十五日」という諺がある。初物を食べると、75日寿命が延びるという。残念ながら証明するすべはなく、ただ信じるばかりである。