写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

文章の風通し

2017年12月11日 | エッセイ・本・映画・音楽・絵画

 文芸春秋の12月号を読んでいた。本文の最初のページには、毎月、立花隆をはじめとして、各界の有名人10人くらいが2000字足らずのエッセイを書いている。ある人が書いたエッセイの後に、漫才師の宮川花子さんが夫婦で紫綬褒章をもらえたことを書いているのを読み始めた。

 すると、その前の人の文章よりも、随分と読みやすい文章であることに気がついた。エッセイの内容の巧拙のことではなく、目で追っていく文字列が読みやすいということである。1段落には1行が13文字で22行の文章が書いてあるが、一目しただけで宮川花子の文章は隙間が多くて、目に優しい。読んでいて疲れを感じない。

 その理由は、平がなが多く漢字が少ない文章であることがわかる。暇に任せて1段落の13*22=286文字中の漢字の数を数えてみた。宮川花子の文章では67文字、その前の人の文章には108文字が漢字であった。

 それぞれの漢字数の比率は約25%と40%となる。逆に平がな文字数は75%と60%となる。一般に難しい学術論文は別として、エッセイなどの平がな文字の比率は70%くらいが読みやすい文章だといわれている。宮川花子のエッセイはさらにこれを上回っているので、読みやすく感じるのだろう。

 とはいっても、小学生が書くような平がなが多すぎる文章は逆に読みにくい。必要な漢字は適切に書き、難しい漢字は平がなにしたりで、文章全体をパッと見た場合、黒々として見えない風通しの良い文章を書く必要性がよく分かった。

 ところで今日のこのブログの文字数は約740字。漢字の数はと数えてみると……230字あった。漢字比率は31%。平がな比率でいうと69%であった。このブログ、内容を問わなければ文章の読みやすさとしては典型的に読みやすい、いい文章という評価となる。

 風通しといえば文章にとどまらず、くれぐれも夫婦間の風通しには気を付けておかなければ、いつの間にか「すきま風」が吹くようになりかねません。ご用心ご用心。