写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

旗 日

2016年11月23日 | 生活・ニュース

 今日11月23日は、国民の祝日「勤労感謝の日」であった。古い言い方をすれば「旗日」ということで、各家の玄関先に国旗の日の丸を掲げて国を挙げて祝う日である。ところが最近では、個人の家で国旗を掲げている風景を見ることは極めて少なくなっている。新築の家を見ても玄関先に国旗を掲げるための支持金具が取り付けられている家は殆んど見当たらない。

 国の祝日といっても、国旗を掲げる意識は乏しくなっている。アメリカやヨーロッパの諸国のように、街中を歩いていると、祝日でもないのに到るところで国旗を掲げている景色を多く見るが、日本ではそんなことは甚だ少ない。

 改めて「勤労感謝の日」とは何なのか調べてみた。 「勤労を尊び生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」という趣旨のもと、戦後間もなくの1948年に国民の祝日として制定されたという。実は11月23日という日はもともと「新嘗祭(にいなめさい)」と呼ばれる祭日であった。

 新嘗祭とは、天皇が日本国民を代表し、秋の実りを神に感謝を捧げるための宮中祭祀が行なわれる日であった。つまり日本の収穫祭、言いかえれば日本版「ハロウィン」である。敗戦直後、連合軍の総司令部は、天皇と国民が一体であった新嘗祭を宮中のみに限定し、国民からは完全に切り離して「勤労感謝の日」という本来の意義とは全く関係のない内容の祝日に変えたものである。

 この頃では、祝日といっても「成人の日」や「海の日」「敬老の日」「体育の日」などのように、○月の第○月曜日などというように、ただ単に3連休を作るために休日とし、その日が由緒ある特定の日というわけではない祝日がある。

 かつては初代天皇である神武天皇即位を祝う「紀元節」、明治天皇の誕生日の「明治節」、昭和天皇の誕生日の「天皇誕生日」を、それぞれ「建国記念の日」「文化の日」「昭和の日」と名を変えて祝日としているが、時には由緒ある休みであったことを思い起こし、久しぶりに国旗を掲げてみると、心なしか背筋が真っすぐ伸びたように感じた。