写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

換気扇の訴え

2016年11月13日 | 生活・ニュース

 近頃、風呂場の換気扇の音が、やけに大きくなったように感じていた。取扱説明書を取り出してみると12年前に取り換えたものである。そういえば、風呂場の乾燥には人一倍神経質な奥さんは、この換気扇は24時間休みなしで回すことにしているので、12年も経てば異音が出始めても不思議ではない。

 機械が故障気味とあれば、やおら取り外して点検してみるのは持って生まれた私の性癖。小さな丸い椅子の上にサーカスの象の曲乗りよろしく立ち、止めてある4本のネジを緩めて換気扇を壁から取り外した。

 明るい庭に出て、新聞紙を敷いた上で分解してみると、ケースといい回転羽根といい、分厚く固くほこりがびっしりと付いている。換気扇本体のみならず、外部に通じる開口部にも同じようにほこりが厚くついていた。羽根を手で回してみると軽く回転する。構造的には特に異常はないと判断した。

 古いブラシを使ってほこりを取り除く。思い起こせば数年ぶりの清掃である。湿気のある空気を吸い出す換気扇であるから、汚れが付着しやすいのだろう。そんなことを思いながら隅々まできれいにして復旧させた。さて、いよいよ試運転である。スイッチを入れた。それまで聞こえていたグルグルブーンというようなくぐもった音は消えて、プーンという静かな音に変わっている。

 長い間点検もせずに24時間365日、使い続けてきたことが申し訳ないような気がした。これこそまさに、ブラック浴室であった。これに気をよくして、トイレの換気扇も1年ぶりに清掃してみた。1年ぶりとあってそれほどの汚れは付いていなかったが、清掃後の音は、少し静かになったように聞こえる。

 自らの体に不調があった時には、直ぐに何かを感じて病院へ駆け込むが、家の電器製品は機能しなくなってから対応することが多い。そうではなく、何らかの変調を察知して予め対応してやれば、大きな故障に至る前の段階で直せることがある。

 このたびの換気扇も、その一つであるが、こんなことを「予防保全」という。電器製品であれば、万一壊れたら買い換えれば済むが、こと身体では買い変えるということは出来ない。ここはしっかりと定期的な「予防検診」に努めたい。などといいながら、病院通いの合間を縫って、そろり早めの年末大掃除が始まった。