月に一度、高脂血症の薬を出してもらうために、かかりつけの病院へ行っている。2か月に一度は採血をしてコレステロールの値をチェックしてくれる。最近は先生との人間関係が出来て、先生の方から少し話しかけてもらえるようになっている。
昨年の夏ごろ、それまで飲んでいた薬から新しい薬に替えてくれたが、その効果があったといおうか、それとも私の生活習慣が改善されたからだろうか、コレステロールの値が20年ぶりに標準値に入るようになった。毎日ではないが週に4、5回は3kmの早足での散歩をやっている。その成果だと信じたい。
「じゃあ、また1カ月分の薬を出しておきましょう」「おねがいします」。先生は血液検査の結果を見ながら「茅野さんは腎臓の機能がいいので長生きしますよ」と言う。「えっ、どの項目でそれが分かるのですか?」と聞くと、「UA」と「CRE」と書かれた2つの項目を指差した。「これで腎臓の機能がいいかどうかが分かります」と教えてくれた。
家に帰ってネットで調べてみた。「UA」とは尿酸のことで、細胞が壊れたりして生じる老廃物である。冠状動脈硬化症(狭心症・心筋梗塞)との関連が高いことが明らかになり、生活習慣病の目安のひとつに加えられることが多くなった。「CRE」とは、クレアチニンのことで、たんぱく代謝の産物としてでき、腎臓でろ過され、尿として排泄される。腎機能をみる指標となる。
先生が言った「腎臓の機能がいいので、長生きしますよ」という言葉を反芻してみた。血液検査では、この2項目以外にも肝臓やすい臓など他の臓器の異常を確認するための検査項目は沢山ある。それなのに、腎機能の検査結果が良かったことだけを取り上げて「長生きしますよ」とは、先生は一体何を言わんとしたのだろうか。
医者が患者に対していう言葉や態度は、患者にいろいろ考えさせることが多い。検査結果を見ながら、ちょっと首をかしげただけで「大丈夫なのかな」とか思ったり、「長生きしますよ」と言われても「その場しのぎの慰めの言葉ではないのか」と思ったり、私はどうも素直に聞くことが出来ない。今日の言葉は素直にうれしくありがたく聞いておきたいと思うが、果たして腎臓のシンソウはいかに……。