写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

余白率

2013年01月30日 | エッセイ・本・映画・音楽・絵画

 またまた自費出版の話で恐縮だが、本を手作りしてみるといろいろなことに気が付く。これまでに作ってきたものを並べて、ぱらぱらとめくってみた。それぞれを本の形にするたびに、良かれと思う改良を試みてきた。

 8冊目を作ったあと、あることに気が付いた。ページの周りにある余白の取り方である。本の大きさはB6版で、縦が18.2cm、横が12.5cmある。最初に出版した本の、文章が書いてない余白部分の紙面全体に対する面積割合(余白率)を計算してみると、38%であった。

 その本を手に取って眺めてみると、上下左右の余白が少なく、いかにしても文字を詰め込み過ぎた感じがする。そんなことを感じていたので、最近作っているものは縦の文字数を1文字、行数を1行減らして作ってみた。出来上がった本を開けてみる。

 どのページをめくってみても広々としていて圧迫感がなく読みやすい。ちなみに、この余白率は47%であった。文字部分としては僅か縦1文字、横を1行を減らしただけであるが、余白率がずいぶん変わるだけでなく、見た目が大きく違うことが分かった。

 読みやすい本を作るには、この余白率以外にもう一つ大切なことがある。文章を書きこむ領域に、文字を詰め込み過ぎないことである。適当に段落を作り、行を変えて文字列にも適当な空白を設けることだ。言ってみれば、暑苦しくなく、風通しの良い涼しげな感じの紙面にすると読みやすく感じる。

 エッセイなど、広い年齢層の人に読んでもらうためには、何よりも読みやすい書き方を心がけたい。余白率は、本を広げたときの直感的な印象であるが、文章中の漢字とひらがなの比率も、読み易さに大きな影響を与えるが、これは本の体裁の話ではないので、ここでは略す。

 私は名刺の肩書きのひとつに「自費出版コンサルタント」と書いて遊んでいる。ちなみに、コンサルタント料は無料。今まで相談に来たお客さんは4名。内3名は、私のものより立派な本を出版され、ちょっと複雑な心境である。残りの1名は、近々出版予定とか。自費出版を志している方、少しは参考になりましたか。