写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

脱 皮

2013年01月10日 | 生活・ニュース

 「2012年12月16日、地域住民や市民によるシロヘビの保護と信仰に基づき、岩國白蛇神社が創建された。シロヘビをモチーフにしたデザインが随所に取り入れられており、手水舎の水はヘビの口から出ているほどだ」と報道されている。

 岩国に生息しているシロヘビは、国の天然記念物として「岩国のシロヘビ」と呼ばれ、保存会により長年保護されてきた。神社の建立は、シロヘビの供養と共に、金運・商売繁盛の神様の使いとされるシロヘビを、観光振興に役立てるのが目的のようである。

 巳年の新年を迎え、このお正月は景気回復を祈る大勢の初詣客でことのほか賑わい、シロヘビの脱皮を入れた縁起物や開運グッズなどは、すべて完売したという。さすがに金運・商売繁盛の神様だ。新年早々幸先よい好スタートを切っている。

 蛇の脱皮する様子をネットの映像で見た。手も足もないヘビなのに、土間や木や壁に身体をこすりつけながら5分間くらいの時間をかけて上手に表皮を脱いでいく。
口の部分から皮は剥がれ、靴下を裏返して脱ぐように剥がれていく。脱皮する一連の動きを見ていると、ヘビは身体をくねくねと曲げるだけで難なく皮を剥いでいく。まさしく文字通り曲者だといえる。

 考えてみると「脱皮」とは面白い現象だ。人間を含め、たいていの動物は、体の表面の組織は徐々に更新されて行くものである。しかし、ヘビなどは体の大部分の外皮が一気に剥がれ落ち、更新される。このとき脱ぎ落された皮は、抜けがらと呼ばれるが、言ってみれば古い上着ともいえる。  

 かの哲学者ニーチェが「脱皮できない蛇は滅びる」と言ったという。古い殻に閉じこもったままの人間はダメになるといった趣旨の格言。そこには「常に変化を変革を」との思いが秘められている。私もこんなブログを書き始めて9年目に突入した。古い上着よさようなら。今年はしっぽの先だけでもいい、脱皮してみたい。