写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

「岩国 in 宝石箱」

2013年01月24日 | エッセイ・本・映画・音楽・絵画

 2004年11月に日経新聞でブログというものがあることを知り、このような形でエッセイを書くようになった。以来8年間、書いてきたエッセイの数はというと……合計すると1877篇、平均すると1年間で234篇書いてきたことになる。昨年は160篇、数が少なくなった分、文章がやや長くなってきている。とはいいながら、ひところの勢いはない。

 書いてきたブログの初めの3年分は1年ごとに編集し、3回にわたって各100部自費出版して本屋さんで販売してもらったという面映ゆい思い出がある。その後の4年分は、自費出版こそしなかったものの、手作りの製本機を活用して本にし、書棚に並べて自己満足の世界に浸っていた。

 その延長線上で、昨年のものも同じように製本してみた。B6版で270ページのものが出来た。本を作るにあたっては毎回悩むことがある。どういったタイトルをつけるかである。これまでは、その年で一番印象に残った出来事にかかわるタイトルををつけてきた。

 3年前のものは「投げた賽」、岩国検定を民間有志でやろうと決断し、退路を断ったことをタイトルにした。2年前のものは「愛された理由」とした。10年間相棒を務めてくれたハートリーが旅立った年で、誰からも愛された理由を書き残したブログから取ったタイトルである。

 さて、昨年のものは何というタイトルにするか。ちょっと考えただけで「出来事」は直ぐに決まった。岩国検定の実施とそのテキストブック「いわくに通になろう」の製作・出版活動である。好評裏に400部を完売した折、「日刊いわくに」という地方紙のコラムで、この本を高く評価してもらったことがあった。その文中に「まさに宝石箱のような本だ」と書いてもらっている。

 「そうだ、その通りだ。この宝石箱の中に、キラキラ輝く岩国のことが散りばめられている!」。そう思い、一も二もなく今回の本のタイトルは「岩国 in宝石箱」と決めた。厚紙で表紙を作り手に取ってみると、過去1年間の活動が目の前でよみがえってくる。これこそが世界で1冊の、まったく独りよがりの本の完成だ。またぞろ、完売の当てもなく、自費出版なんぞを考え始めているが、さてどうなることか。