写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

緩んだネジ

2013年01月22日 | 生活・ニュース

 ダイニングルームの入り口には、天井までの高さがある木製ながらも重いドアがある。1日に何回このドアを開閉するだろうか。家を新築以来、実質住んでいる年数は15年。妻と2人で1日30回は開閉している。とすれば、今までの総計は約17万回になる。

 そのドアが時に「ギー」と不満そうな音を出すことがあった。その都度、ヒンジやドアチェッキなどの摺動部に油を差して対応をしてきた。ところが先日、今まで聞いたことのない「グウィー」という低く太い音を出すようになった。直ぐに油を差してみたが解決しなかった。

 丸椅子を持ち出して、天井に取り付けてあるドアチェッキを真近で点検してみて驚いた。金属製の平板が4本のネジで天板に締め付けてある。いずれもが緩んでいて、その内2本は1cmくらい飛び出している。これほどまでにネジというものが緩むものなのか。直ぐに工具箱を持ち出して力いっぱい締め込んだ後、ドアを開閉してみると音もなく元の状態に戻った。

 車や機械に取り付けてあるネジが、使用しているときに振動で緩むことはよくある。それを防ぐために、ある力以上できちんと締めるとか、緩み止めのための接着剤を塗布するとか、緩みにくい構造をした特殊な形のネジを使うとかいろいろな対策を取っている。

 家のドアには、それほどの振動などはないが、それでもこんなに緩むことがあることが分かった。わずかな振動でも回数が重なると思ってもみないことが起きるものだ。こんなことを今、おおげさに書いているには訳がある。一昨日の夕方あたりから、のどに少し違和感を感じ始めていた。

 その夜、寝ている間中、鼻が詰まって喉に落ちてきた。翌朝、熱はないが身体がだるく喉が痛い。こんな時はいつものように、買い置いている風邪薬「ルル」を3錠飲むと、直ぐに治ったものだ。しかし今回は毎食後に3錠飲んでみるが直らない。こんなことは何十年振りだろう。咳が出るなどすっかり風邪の症状が続く。

 このところ風邪などとは無縁に過ごしてきたが、本当に久しぶりに風邪を引いてしまったようだ。考えてみると、私の生活態度のどこかが緩んではいないか。そういえばここ3年間は年初から課題山積の中で気が張っていた。今の私は、何一つ課題もなく無気力のど真ん中だ。身体のどこのネジを増し締めすればいいのだろうか。緩んだネジを早急に探さなくては。