このところ、少し宮島にこだわっている。先日、同好会仲間と宮島探訪するにあたって、宮島のことを少しお勉強してみた。今までは、もみじ饅頭がおいしい観光地くらいの知識しか持ち合わせていなかったが、あに図らずや、私の知らない数々の歴史が残された神々しい島であることを学んだ。
各時代の人々が残してきた歴史的建造物は世界文化遺産として登録された。厳島神社の背後にそびえる弥山原始林もその登録範囲に含まれている。島の最高峰は弥山で、標高は535mある。「弥山は頂上からの眺めがいい山ですよ。一緒に登りませんか?」、過去に何度も山登りの好きな人から誘われたことがあった。海抜0mから535m登るのは、これはこれで結構な標高差である。私の体力では健脚な人と同じ足並みで登ることは無理だと判断していつも断っていた。
しかし、宮島の文化遺産を一通り見て回った後、最後に残ったものが弥山であった。「よしっ、今日は弥山に挑戦だ」。朝9時、奥さんと2人がリュックをかつぎ、ストックを握って宮島に向かった。10時丁度、宮島桟橋上陸。すぐ左に折れ、「うぐいす歩道」という山道を通って紅葉谷に行った。ロープウエイ駅を恨めしげに見やりながら、一路山頂までの最短コースである紅葉谷コースを選び登山を開始する。
案内標識には「山頂までは約1時間半から2時間。距離は2.4km」と書いてある。登山道は石段が多く、2100段あまりもあると聞いていた。1段辺り高さ20cmとすると、これだけで420m登ることになる。8割方が階段だということでもある。こいつぁ、たいへんだ。そんなことを思いながらまずは登り始めた。
200mごとに、頂上までの距離が案内標識に書いてある。はあはあ息を吐きながら、這うようにして歩くが残りの距離が中々減らない。下山してくる人から「頑張って、もう少しよ」と励まされても、少しも頂上は見えてはこない。何度休憩を取っただろうか。2時間かけてどうにか頂上近くにたどり着いた。
平坦な尾根を500mくらい歩くと、そこが本当の頂上だ。大きな岩に囲まれた見晴らしの良い場所には、ロープウエイを使っての観光客が軽装でやってくる。外人も多い。自分の足で登って来る人はわずか。達成感、満足感いっぱいで、コンビニ弁当を食べた。うまい。何よりもごちそうに思えた。
下山は、大聖院コースで順調に降りた。その夜はふくらはぎと太ももがやや痛い。また登る気があるかって? いいえ、最初で最後、もう結構。階段が多すぎて、膝に応える。でも、これで宮島制覇なりました。弥山に登りたい方、なんでもお聞きください。ご相談に応じます。