大場美奈子、50才、独身。毎日、朝は牛乳配達、昼はスーパーで働き、読書をして眠る。高梨槐多、同じく50才。市役所に勤務し、病気の妻を看護する日々を送る。同じ町でお互いの姿を感じ、ざわめく心を押し殺して、二人は目を合わせることもせず、幼い恋を胸に秘めたまま、30年以上の月日を別々に生きて来た。薄青い夜明けの町、なだらかな坂道、牛乳瓶の澄んだ音、ほんの一瞬だけ交差する二人の視線…。「独立少年合唱団」の緒方明監督が、端正な映像と美しい音楽で綴る、最初で最後の大人の恋。「最初で最後の大人の恋」----- こういった宣伝惹句って、この年齢になっても多分未だに「本当の大人の恋」などというものを知らないものにとって、ちょっとほっとけないものを感じてしまう。
加えてそうした主人公二人を田中裕子と岸辺一徳が演じ、さらに周りには仁科明子ならぬ亜季子、渡辺美佐子、上田耕一、香川照之が固めるというのだから、あたかも「恋は遠い日の花火ではない」的な世界を勝手に思い描いて、タイトルのセンスの良さも含めて大いに期待していた ---------。
しかしだ、そういった勝手な思い込みは、この映画の中では見事に打ち砕かれてしまった。
とにかく、なにもひとつひとつ説明する必要はないとは言え、話の裏側というか背景が、この映画の場合あまりに観客側に委ねられすぎているように感じられ、早い話、個人的にはストーリーそのものに合点がいかないことが多すぎた。
何故に二人は別れ(本当にプールのエピソードなわけ)、そのあと互いに何故に30余年も思い続けられ、何故にまた近づいてしまい、何故にそのことを高梨の妻は知ることとなるのか、確かにヒントめいたものはあるにせよ、疑問点が次々と湧いてきて、自分の理解力のなさにほとほと困ってしまった。
さらに言ってしまえば上田耕一(彼は怪演!)扮する痴呆症の老人のシーンの際に出てくる意味深(なのか?)な文字は理解不能だったし、唐突に "Rainy Days and Mondays" が延々と流れるあまりのミスマッチな楽曲使用には唖然とさせられたのですが・・・・。
「いままでしたかったこと、ぜんぶして」
小僧っ子の私には「大人の恋」とやらと同様、残念ながらこの映画、理解の範疇を超えていたよう、デス。嗚呼
今日の1曲 "Rainy Days and Mondays" : Carpenters
ともあれ、ということで1971年に発売されたカーペンターズのサードアルバムの1曲目に収められているのが、この「雨の日と月曜日は」。
このアルバムには他にも“ Superstar ”や“ For All We Know ”(二人の誓い)なんぞも収められていて、当時個人的にはほとんど聴いていませんでしたが、ラジオではよくかかっていて日本でも相当売れていた記憶があります。
ちなみに曲の歌詞はこちら
http://www.vex.net/~paulmac/carpenter/lyrics/rainy_days_and_mondays.html
一等許せなかったのは岸部さんの演技としては最後のシーンでした。あれはないぞ~と。あれはイカンですよ。あそこまで見せてどーする、と怒りそうになったデス。
「埋もれ木」の岸部さんは、いいッ!。同じく脇ですが、田中さんも「埋もれ木」、いいです。
とにかくセンスというか、意識のありように、個人的には大きな隔たりを感じてしまいました。
ところで「埋もれ木」ですか、実はウディ・アレンの「メリンダとメリンダ」を梅田で観たとき、隣の劇場でやっていて気にはなっていたのですが、そうですか、遅ればせながら何とかして観なくては、ですね。
年配の方がたくさん見に来られていました。
50歳の男女の直接的ラブシーンはあまり見たくなかったのですが、最小限でホッとしました(笑)
田中裕子の牛乳配達姿がよかったです。
彼女何やっても上手いなぁと思わせるところが良いのか悪いのか・・・。