
友人の誕生日お祝いを兼ねて、少々遅ればせながら先日池田町へと移転オープンした、きょんきょん、こと小泉くんのお店にようやく行くことが出来、移転を機にさまざまな意味でランクアップした食事を大いに楽しませてもらったのでありました。

繁華街から少し入った住宅街の中といった、ちょうど「雅乃」さんと同様のロケーション、そして昔で言う「矢部ドレメ」の隣りの一軒家をまるごと改装し、入り口にもこだわったレイアウト、席数そのものは1席しか増えていないものの、これまでとは明らかに違う広々とした店内に、全体から醸し出される凛とした空気感などなど、その予想を超えた仕上がりの高さは、まさに上級なお店感たっぷり。

そんな中、まずはスタッフのちずちゃんが目の前で和えてくれるラディッシュの彩り使いも新鮮な「アカイカとうるい」の小鉢からスタート。
パリパリの焼き海苔が加わることによって風味が増し、旨いこと、旨いこと。

続いて登場してきた「アカイカと真鯛の造り」のクルクルと巻かれた鯛の皮の美味しさもさることながら、使われている器が魯山人のものだと知ってビックリ。

そして続いて用意された印象的なフォルムの器もまた六代大樋長左衛門の作と知って、ちょっとわくわく。

盛られた小松は東山の竹の子と能登牛の淡い味わいの炊き合わせもまた、花山椒もアクセントとなり美味なり、なのであります。

そしてまずは、お馴染みの和風カナッペと言うか、海苔天のウニのせからスタートし、

同行者がその甘さに驚いてくれた車えびの少し小ぶりな大きさの「才巻き海老」へと続き、

さらに数あるトウモロコシ品種の中でもこれが一番やね、と言いつつ、その甘さにシミジミのゴールドラッシュと、当たり前に旨いに違いない組み合わせである白身魚の紫蘇巻で、ワインも進みます。

そして頃合い良く、シャキッとした歯ごたえのスナップエンドウとらっきょにトマトが加わり、色味も綺麗な箸休みが出て、

そこから、まずは生でということでそのまま食べた長野産のグリーンアスパラガスも、瑞々しくて美味しかったし、

もちろん天ぷらにすると、これがまた味に広がりが出てええ感じで、いと旨しなわけだったのでした。

ちなみにこの日はせっかくの誕生日だということで、ちょっとお願いしてこんなワインを持ち込まさせてもらいました。

そして続いてのレアな感じの揚がり具合で、より旨味がジュワ~ンな生ホタテも堪らんかったし、

ちゃんと後から出してくれるいつものカリカリポリポリな海老の頭には
春の山菜の中で一番好きなコシアブラがともに提供され、

さらに、最後のメインアクトとしては、ふんわりカリッと絶妙に揚げられた穴子に、
先日「一献」でも出てきた、こごみのようでこごみではない雁足(がんそく)という、渋い食材で決めてくれて、

天茶、天ばら、天丼と3種類選べる〆のご飯から、今回は「天丼」をチョイスし、3つの中で、実はこれが一番自分的には好みだと実感だったのでありました。いやはや堪りませぬ。

加えて、最後はデザートとして自家製の餡子に海苔に包まれたスイーツ天ぷらまで食べ、いつも以上に満腹となり、すっかり身も心も満足させられたのでありました。
本当、ご馳走様でした。

金沢に来て、それまであった「みつ川」があった場所に店舗を出して5年。
その間に、ここまで立派な店を作り上げるまでになったというのは、ひとえに小泉くんの人柄であったり、その高い料理技術だったりするのだけど、とにかく何かアニバーサリーなことがあった時のチョイスとして大いにオススメなのであります。
実は少々値は張りますが、料理のみならず設えや器や書など、観るべきものが見事に調和しつつあるので、そういった意味でも、機会があれば是非なのであります。

天ぷら 小泉
金沢市池田町4-34
076-223-0023
今日の1曲 “ Heroes ” : David Bowie
ともあれ、持ち前の明るい性格と決して前には見せないけれど、たゆまない努力があってこそ、こうした店を持つことが出来、そういった意味では ( 本人は絶対嫌がるだろうけど )、まさにヒーローなのです、きょんきょんは。
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