This isn't Paris. This is hell.
先日観たイーサン・ホークの作品に続いてタイミングよく上映されたジュリー・デルピー監督/脚本/製作/編集/音楽/&主演のチャーミングでキュートでシニカルで、かつリアルなロマンティック・コメディ。
簡単に言えばこの映画、少々倦怠気味のアメリカ人とフランス人のカップルがヴェネチアへの旅行の帰りに愛猫(その名もジャン=リュック!)をピックアップするために立ち寄ったパリでの二日間の出来事を描いているんだけど、いかにもフランスといった自虐ネタや男女間のリアルな心の駆け引きなど思っていた以上に面白可笑しくて充分に楽しむことが出来た。
もちろん主演のジュリー・デルピー扮するマリオンの「で、何か?」的奔放さも大いに魅力的だったけれど、それにも増してマリオンの恋人で異文化であるフランスの現実に遭遇するアメリカ人インテリアデザイナー、ジャックに扮するアダム・ゴールドバーグの神経質で心細げな演技が最高。
最初は何とかそうした異文化と自分なりに折り合いをつけようとするものの、パリの街を歩いて次々と出くわすマリオンの元カレたちの存在とか、シビアに品定めする60年代の香りプンプンの彼女の両親の掴みどころのないやさしさだとか、言葉を理解できないが故のタクシーでの孤独感とか、そうしたまさに完全アウェー状態によってどんどんストレスを募らせるあたり、シニカルで大げさなものの言い方を含めて、かつて忌み嫌った西海岸へ行ってまったく馴染めなかったウディ・アレンの姿を思い出し、可笑しさ抜群。
とにかくそうしたところ違えば、かくも違うものかというくらい強烈なカルチュア・ギャップのエピソードの数々にもいかにもありそうで思わずひざを打ったし、お互い歩み寄りきれない男女間の微妙な恋愛感の差などもうまく挟み込まれていて、お得意のリアリティある自然な会話はもちろんなのだけど、何気ない演出、脚本のうまさにビックリ。( ← そういえばフランス人ってこんなに開けっぴろげだったっけ?というくらいのお下劣トークも凄かったなあ)
それにしても個人的には初めてガールフレンドの家に行って一番出てきて欲しくないタイプのぶっ飛んだ(二人とも役者さんで実生活でも本当のジュリーの両親だという)マリオンの両親がツボでありました。
ジャックがドアーズのジム・モリソンの墓に行きたいと言った途端に機嫌が悪くなるお父さんの理由にも笑ったけれど、そんな過去をまったく気にせず、さらには343 salopes の一人であったと明かしたり、いきなり「ウサギ料理」の食事でもてなすのも凄いけれど、ケルアックをはじめとするあの頃のアメリカの作家の話題からフランス人画家の話題へと引っ掛けようとする意地悪さもまた筋金入りで、少なくとも半分は実話?と思うくらいリアリティがあって、こんな両親に育てられて大きくなったんだとジュリー・デルピーの背景を見たようについ思ってしまって、大いに興味深ったりもしたのでありました。
ともあれ口当たりの良いだけの能天気なラヴコメとは大いに趣が違うけれど、普段着のパリを舞台にジュリー・デルピーのさまざまな才気が感じられる大人の面白おかしく切ない恋物語。
是非ご賞味あれ!(ダニエル・ブリュールもちょい役で出演まっせ:笑)
今日の1曲 “ la vie en rose ” : Ono Risa
2003年にリリースされた小野リサのオリジナルアルバム『 Dans Mon Ile 』に収録されている「ラヴィアンローズ(バラ色の人生)」を使ったビデオクリップを発見。
映画の中で使われているわけではないのですが、うまくフィットした映像とともにお楽しみあれ
先日観たイーサン・ホークの作品に続いてタイミングよく上映されたジュリー・デルピー監督/脚本/製作/編集/音楽/&主演のチャーミングでキュートでシニカルで、かつリアルなロマンティック・コメディ。
簡単に言えばこの映画、少々倦怠気味のアメリカ人とフランス人のカップルがヴェネチアへの旅行の帰りに愛猫(その名もジャン=リュック!)をピックアップするために立ち寄ったパリでの二日間の出来事を描いているんだけど、いかにもフランスといった自虐ネタや男女間のリアルな心の駆け引きなど思っていた以上に面白可笑しくて充分に楽しむことが出来た。
もちろん主演のジュリー・デルピー扮するマリオンの「で、何か?」的奔放さも大いに魅力的だったけれど、それにも増してマリオンの恋人で異文化であるフランスの現実に遭遇するアメリカ人インテリアデザイナー、ジャックに扮するアダム・ゴールドバーグの神経質で心細げな演技が最高。
最初は何とかそうした異文化と自分なりに折り合いをつけようとするものの、パリの街を歩いて次々と出くわすマリオンの元カレたちの存在とか、シビアに品定めする60年代の香りプンプンの彼女の両親の掴みどころのないやさしさだとか、言葉を理解できないが故のタクシーでの孤独感とか、そうしたまさに完全アウェー状態によってどんどんストレスを募らせるあたり、シニカルで大げさなものの言い方を含めて、かつて忌み嫌った西海岸へ行ってまったく馴染めなかったウディ・アレンの姿を思い出し、可笑しさ抜群。
とにかくそうしたところ違えば、かくも違うものかというくらい強烈なカルチュア・ギャップのエピソードの数々にもいかにもありそうで思わずひざを打ったし、お互い歩み寄りきれない男女間の微妙な恋愛感の差などもうまく挟み込まれていて、お得意のリアリティある自然な会話はもちろんなのだけど、何気ない演出、脚本のうまさにビックリ。( ← そういえばフランス人ってこんなに開けっぴろげだったっけ?というくらいのお下劣トークも凄かったなあ)
それにしても個人的には初めてガールフレンドの家に行って一番出てきて欲しくないタイプのぶっ飛んだ(二人とも役者さんで実生活でも本当のジュリーの両親だという)マリオンの両親がツボでありました。
ジャックがドアーズのジム・モリソンの墓に行きたいと言った途端に機嫌が悪くなるお父さんの理由にも笑ったけれど、そんな過去をまったく気にせず、さらには343 salopes の一人であったと明かしたり、いきなり「ウサギ料理」の食事でもてなすのも凄いけれど、ケルアックをはじめとするあの頃のアメリカの作家の話題からフランス人画家の話題へと引っ掛けようとする意地悪さもまた筋金入りで、少なくとも半分は実話?と思うくらいリアリティがあって、こんな両親に育てられて大きくなったんだとジュリー・デルピーの背景を見たようについ思ってしまって、大いに興味深ったりもしたのでありました。
ともあれ口当たりの良いだけの能天気なラヴコメとは大いに趣が違うけれど、普段着のパリを舞台にジュリー・デルピーのさまざまな才気が感じられる大人の面白おかしく切ない恋物語。
是非ご賞味あれ!(ダニエル・ブリュールもちょい役で出演まっせ:笑)
今日の1曲 “ la vie en rose ” : Ono Risa
2003年にリリースされた小野リサのオリジナルアルバム『 Dans Mon Ile 』に収録されている「ラヴィアンローズ(バラ色の人生)」を使ったビデオクリップを発見。
映画の中で使われているわけではないのですが、うまくフィットした映像とともにお楽しみあれ
【コメディ】というには毒がありまくりで。
ジュリーのご両親のキャラには本当に参りました。
しかも、恋人役に元カレを使うっていうのもなんだかスゴイ。
アメリカ人は自分がナンバーワンって思ってるかもしれないけど、フランス人はフランス人で全然負けてないし、むしろ上から目線なのにも驚きでした。
劇中、恋人と別れてもそのまま友達として付き合い続けることが
出来るかどうかという会話がありましたが、まさに言ったとおりの
ことを実践しているわけですね。
さすが、ジュリー。
ちなみにアメリカ人に対してヨーロッパの連中だったら
誰でも上から目線だと思いますが(笑)、確かにフランス人は
特に根拠のない自尊心はやたらと高いかもしれません。
どうもありがとうございました♪
フランス人はアメリカなんて、アメリカ人なんて
ふんっ!てなもんでしたが、仰るとおり
ヨーロッパの人たちはみんなそういう傾向にありますよね。
スペインの私の友達も、そりゃもうアメリカ嫌いですし(笑)
この弾丸のように発せられる会話・会話・会話の劇に
もう夢中になりましたわ~(^^)v
そうそう、仰るとおり、半分実話?と感じるくらい
リアリティのあるものでしたよね~。
笑えたし、ジャックは可哀想だったし(笑)
私も彼には愛おしさすら感じましたし
本当に良くできた映画だったなぁって思いました。
イーサンのその映画は未見なんですが、比べるためにも(?って失礼かしら?笑)ちょっと見てみたくなりました(^^ゞ
本作がシニカルな分だけ一番楽しめた気がします。
ちなみにイーサンの作品は何とも照れくさい青春恋愛映画となっていて
やはり女の人のほうが大人だなと改めて思わせてくれました。
でも決して駄目な映画ではないので機会があれば是非!であります。