俺の明日はどっちだ

50歳を迎えてなお、クルマ、映画、小説、コンサート、酒、興味は尽きない。そんな日常をほぼ日替わりで描写

「パリ20区、僕たちのクラス」 ENTRE LES MURS THE CLASS

2010年11月07日 23時34分04秒 | 時系列でご覧ください

多くの移民が暮らすパリ20区にある中学校を舞台に、出身国も生い立ちもバラバラな24人の生徒が学ぶ教室の1年間を追ったドキュメンタリー風人間ドラマ。

2008年のカンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞した作品であること以外、何の予備知識もなしで観たため、最初そのリアリティ溢れる描かれ方に思わずドキュメンタリーなのかなつい思ってしまったけれど、主演の教師役を演じているのが、自らの実体験に基づいて書き上げ原作ともなったベストセラー『教室へ』の著者であるフランソワ・ベゴドー本人であり、24人の生徒役もまた、7ヵ月間にわたって行われたワークショップを通じて選ばれた演技未経験の中学生たちが演じているとのことで、そういった意味では映画の可能性を広げた作品でもあると思う。



実際この映画の中で起こっていることは、多国籍民族が同居するパリの現実を投影しているものだろうし、もともとはフランスを母国としてはいないものの、住み続けることによってフランスに対してアイデンティティを持つこととなるであろう中学生の姿が、ストレートに伝わってくる。

そしてそこには日本の学園ドラマのようなお涙頂戴的な甘々な展開があろうはずがなく、かといって一瞬ヒーローになりかけているように見えた主人公の国語教師も、あまりに憎々しく演じる生徒たちに面と向かうことによって言葉余って生徒に暴言を吐くなど、あくまでも等身大な描き方がされ、そのきれいごとに済まさない姿勢には大いに共感を持って観ることが出来た。



ただ同時に、その日常を切り取ったことで問題提起しただけのような印象を持ってしまう側面が残念ながらあったりもして、とても感心こそすれどこか心にズシンと響いてこなかったのであります。

とにかくそのまるで台本がないようなリアリティある数々の描写によって良い映画であることに間違いはないけれど、どこか物足りなさが募った作品だったのでした。





今日の1曲 “ Fade Like A Shadow ” :  KT Tunstall

アークティック・モンキーズやアデル、カサビアンやエディターズ、ザ・ミュージック他数々のアーティストを手掛けてきたあの Jim Ab­biss がプロデュースしたご贔屓KTタンストールの3年ぶり3枚目となるアルバム『タイガー・スーツ』から先行シングルとなっていたこの曲を。
以前よりワイルドでかつポップになった印象があるけれど、一般受けはさらに増すような気がするけれど、はてさて



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