なんて豊かな土地なんだろう。今書店に並んでる「旅」の最新号の特集に心惹かれ、思わず購入。
食卓には野菜があふれ、
畑にはブドウと小麦とオリーブが実る。
「おいしいだろう? だって自家製だもの。」
この言葉を何度聞いたことか。
白い路地は光に満ち、
石造りの町には天使が舞う。
トゥルッリ、バロック、ロマネスク、
昔からすばらしい気候を求めて人が集まり、
驚くほど多様な建物を生みだした。
ここにはまだ、
あなたの知らないイタリアがあります。
イタリアの地図上での“かかと”の部分を『プーリア』と呼ぶことも、そしててその地方にはどんな街があって、どんな特色があるのか皆目見当が付かなかったので、そういった意味ではかなり楽しく読むことが出来た。
ただ、今回もまた地元ネタに精通したスタッフ起用による誌面構成は相変わらず良い意味でマニアックなのだけど、前回の特集で見せてくれたバスクで修行したことのある日本人料理人の間で話題となったほどの『食』へのこだわりが今回はどちらかというといささか希薄で、その分“ 「旅」という名の女性誌 ”というキャッチコピー通りの欲張った特集になってしまっていて、そういった点では個人的にはちょいと物足りなかったりもした。
(ただ前菜だけで12皿でてくるというガッリーポリにある「ロストリカーロ」の料理はめちゃくちゃ食べたくなったぞ!)
思えば今は新潮社から刊行されているこの雑誌、かつては日本交通公社(JTB)から出版され、宮脇俊三をはじめとする多くの著名作家が紀行文を掲載し、また多くの俳優・女優・作家などによるコラム、写真などが掲載され、さらには国内の公共交通を多く取り上げた様々な企画は熱心な旅好きにも評価が高く、松本清張の社会派ミステリー作品『点と線』もこの雑誌で連載されていた。
そんな背景を全く感じさせない雑誌に仕上げていることに対して何とも思わないけれど、企画そのものは別として、雑誌としての存在感の薄さは少々もったいない気もする。
今回の号を買うのに3軒書店を回ったくらいだから、発行部数も限られているんだろうけれど、せっかっく実際の「旅行」とのリンクも誌面の中で展開しているんだから、もう少しターゲットをセグメントすると面白い雑誌になりそうな気もするんだけど、むむむ、であります。
でも取り上げてくれる地域はいいんですよねぇ~。
ほんと、「旅」って名乗ってるんだから旅に専念してくれればいいのに。
編集はどっちも付かずでもったいないですよね。
ネタそのものは良いだけに、本当に残念であります。