なんてやさしい映画なんだろう。
「ブロークン・フラワーズ」然り、「アメリカ、家族のいる風景」然り、若干違うけれど「家の鍵」然りと、最近何故か予期せぬ息子の出現から始まる父親と息子の成長物語という映画が数多く公開され、まるでひとつのジャンルを形成するような勢い。
しかもその何れの映画も『ロードムービー』のスタイルで物語が進行しているのも興味深い。
そうした中、今回この映画もまたそうしたシチューションではあるけれど、登場してくるのは「性同一性」という障害を持ち、性転換の最終手術によって女性になりきろうとしている父親とそんな父親が過去にたった一度だけ女性と関係を持ったことによって生まれ、母親との死別後、継父から性的虐待を受けていたことから家を飛び出し男娼として生きている息子といったなかなか「普通」ではない親子。
そんな二人がクルマでニューヨークからロス・アンジェルスへ向かうこととなるのだけれど、フェリシテイ・ハフマンが女性でありながら「女性になりきろうとする男性」を演じる父親のブリーがそうした自分が持つ障害から決して逃げず、息子との旅を通して新たな自分を見つけ出していく様子は充分感動的だ。
最初は自分の手術のことしか考えず、小さな子供に素性を見破られただけでも動揺していたのに、旅を重ねグレアム・グリーン扮するネイティブ・アメリカンのカルヴィンに会う頃には、それまでのとげとげしさは姿を消し、まさに女性といった愛くるしい表情をみせ、確実に変わっていくあたり、本当に良く描かれていたと思う。
そして旅の初めの頃はそんな彼が男性であることすら知らず、ましてや自分の父親とは夢にも思わずともに旅するケヴィン・ゼガーズ扮する息子のトビーもまた、受け入れがたい事実に直面し反発する中、やがて受け入れようとするあたり、見た目はどうであれ繋がりあえる親と子供の姿を見事に体現していたと思う。
(余談ながらこのケヴィン・ゼガーズ君、かつてのリバー・フェニックスやディカプリオを彷彿させる綺麗な顔立ちで、これから注目されそうだ)
人生を地平線に果てしなく続く道になぞらえて旅をするある意味、典型的なロードムービーであるこの作品、そこには限りない優しさが溢れていたのだ。
今日の1曲 “ Walk on the Wild Side ” : Lou Reed
エンディングで流れるドリー・パートンが歌う“ Travelin' Thru ”はこの映画のために書き下ろされたとのことで、まさに!という良い曲でした。
と言いつつ、題名はもちろん、Transgender Transsexual といった言葉に含まれる『 TRANS 』というこの映画での象徴的な言葉から思い出してしまったのがルー・リードのアルバム「 TRANSFORMER 」。
ご存知ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの中心的な人物であったルー・リードのソロになってから2枚目のこのアルバムは72年リリース。このアルバムをプロデュースしたデヴィッド・ボウイもまた『ジギー・スターダスト』をリリースしたりと、今にして思うと『異形の性』が肯定的に捉えられ始めた時代でもありました。
アルバムの試聴はコチラ
普通のオヤジ顔になってしまってはいますがライヴ動画はこっちで
「ブロークン・フラワーズ」然り、「アメリカ、家族のいる風景」然り、若干違うけれど「家の鍵」然りと、最近何故か予期せぬ息子の出現から始まる父親と息子の成長物語という映画が数多く公開され、まるでひとつのジャンルを形成するような勢い。
しかもその何れの映画も『ロードムービー』のスタイルで物語が進行しているのも興味深い。
そうした中、今回この映画もまたそうしたシチューションではあるけれど、登場してくるのは「性同一性」という障害を持ち、性転換の最終手術によって女性になりきろうとしている父親とそんな父親が過去にたった一度だけ女性と関係を持ったことによって生まれ、母親との死別後、継父から性的虐待を受けていたことから家を飛び出し男娼として生きている息子といったなかなか「普通」ではない親子。
そんな二人がクルマでニューヨークからロス・アンジェルスへ向かうこととなるのだけれど、フェリシテイ・ハフマンが女性でありながら「女性になりきろうとする男性」を演じる父親のブリーがそうした自分が持つ障害から決して逃げず、息子との旅を通して新たな自分を見つけ出していく様子は充分感動的だ。
最初は自分の手術のことしか考えず、小さな子供に素性を見破られただけでも動揺していたのに、旅を重ねグレアム・グリーン扮するネイティブ・アメリカンのカルヴィンに会う頃には、それまでのとげとげしさは姿を消し、まさに女性といった愛くるしい表情をみせ、確実に変わっていくあたり、本当に良く描かれていたと思う。
そして旅の初めの頃はそんな彼が男性であることすら知らず、ましてや自分の父親とは夢にも思わずともに旅するケヴィン・ゼガーズ扮する息子のトビーもまた、受け入れがたい事実に直面し反発する中、やがて受け入れようとするあたり、見た目はどうであれ繋がりあえる親と子供の姿を見事に体現していたと思う。
(余談ながらこのケヴィン・ゼガーズ君、かつてのリバー・フェニックスやディカプリオを彷彿させる綺麗な顔立ちで、これから注目されそうだ)
人生を地平線に果てしなく続く道になぞらえて旅をするある意味、典型的なロードムービーであるこの作品、そこには限りない優しさが溢れていたのだ。
今日の1曲 “ Walk on the Wild Side ” : Lou Reed
エンディングで流れるドリー・パートンが歌う“ Travelin' Thru ”はこの映画のために書き下ろされたとのことで、まさに!という良い曲でした。
と言いつつ、題名はもちろん、Transgender Transsexual といった言葉に含まれる『 TRANS 』というこの映画での象徴的な言葉から思い出してしまったのがルー・リードのアルバム「 TRANSFORMER 」。
ご存知ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの中心的な人物であったルー・リードのソロになってから2枚目のこのアルバムは72年リリース。このアルバムをプロデュースしたデヴィッド・ボウイもまた『ジギー・スターダスト』をリリースしたりと、今にして思うと『異形の性』が肯定的に捉えられ始めた時代でもありました。
アルバムの試聴はコチラ
普通のオヤジ顔になってしまってはいますがライヴ動画はこっちで
ブリーは女性らしくてエレガントでとても良かったです。
映画全体的にも重くなりがちなテーマをうまく表現
してあって私の好きな作品の1つになりました。
nikidasuさん、TBありがとうございます。
お返ししたいのですが、なぜかgooさんのにTBできないんです(TT)
しかも、URLをコメント欄にも記入不可・・・
でも、またお邪魔させていただきますね(^_-)☆
ビートニクの精神があるから、その意味でも『イージーライダー』をロード・ムーヴィーの起点にするのがいいんだろう。
という文章、とても興味深くよまさせてもらいました。
書き忘れていましたが、ユダヤ人の父親役のバート・ヤングもまたぐっと心に響きました。
■ヘーゼルナッツ
お久しぶりです。
TBの件は気になさらないでください。
確かにテーマそのものは重くなりがちでしたが、
ロードムーヴィーという形を取ることによって思いが見事に伝わってきて、
巧いなあと感心させられました。
丁寧なコメントありがとうございます。
富田さんのブログで書かれていた
>アメリカ映画には珍しく、画よりも、徹底的に情を観客に伝える秀作だった。
思わず納得してしまいました。
まさにそういう映画だったらこそ琴線にググッときてしまいました。
これからもよろしくお願いします。
どちらもよかったのですが、一本目に見たせいか「トランスアメリカ」の方が自分の気分にピッタリでした。
それは「優しさ」のせいかもしれません。
ロードムービーがだんだん好きなジャンルになりつつあります(笑)
私は熱狂的なリバーファンだったので、この映画のケヴィン君はちょいと違うような気がします。どちらかというとレオ様タイプでは?
ありのままに認める、認められることが一番素敵なんですよね。またそれの難しいこと…だから人間って愛しいのかな。
ロードムービー、そうですか、どんどん好きになっていってください。
それにしてもリバー・フェニックスとディカプリオの根本的な違いを理解せず、
適当に書いてしまいました。スイマセン(苦笑)。
■mimia さんへ
東西の海岸周辺以外の州は、いつだって保守的だし、車でLAを目指すと知った時、
同様に嫌な予感がしたのですが、
そこに用意されていたのがネイティヴ・アメリカンとの心ときめく出会いだった
ところにもこの映画の姿勢が良く出ていたと思います。
それにしてもアメリカ人って、知らない間に子供が育っていたと言う話、
何故にこうも好きなんでしょうか?
見ている側を安心した家路につかせる。
いい映画にめぐり合いました。
ケヴィン君。私もリバーに似てるかな?と思いましたが、レオ様ですかねえ?今後期待ですね★