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俺の明日はどっちだ

50歳を迎えてなお、クルマ、映画、小説、コンサート、酒、興味は尽きない。そんな日常をほぼ日替わりで描写

「ラヴェンダーの咲く庭で」 LADIES IN LAVENDER

2005年07月23日 03時22分17秒 | 時系列でご覧ください
舞台は1936年のイギリス西部コーンウォール地方。毎日を静かに過ごしていた初老のジャネットとアーシュラ姉妹は、ある夏の朝、怪我を負って海岸に打ち上げられた若い男を見つけ、家へ連れ帰る。英語を話せない彼は、渡米途中に難破した船から泳いで流れ着いたポーランド人のアンドレア。姉妹の看病によりアンドレアは次第に回復していくのだが・・・。

The story of two sisters who saved a stranger,
and the stranger who stole their hearts.

という英語のキャッチコピーがこの映画をまさに要約しています。

いくら歳を重ねようとも誰かを想う気持ちは消えてなくなることはない。
そんな切ない想いがコーンウォールの豊かな自然のもと、無邪気に、そして素直に思わず感情に出してしまう妹アーシュラの姿を通して見事に描かれている。


そして原作では40歳前後という姉妹の年齢設定を映画では初老という、より年齢差のある設定に置き換えることによって、ストレンジャーであるアンドレアに対する姉妹の想いが決して生々しくなることなく、ひとつのフェアリーテールとして結実している(特に結婚すらしたことのないアーシュラにとって、アンドレアはそれこそ白馬に乗ってくる王子様なのだ)。


さらに言えば、出会った当初、言葉を話せず、歩くことさえままならないアンドレアに対して言葉を教えたり歩くのを手伝ったりして面倒をみるということは、まさに擬似子育て体験といってもよく、そうした意味では、単なる恋心云々といったことだけではない、より普遍性あるテーマも浮かび上がってきて、だからこそラストのアーシュラの潔い身の引き方に対して思わず心の中でだけど、ちょいと涙が流れてしまった。

姉妹を演じたのは、長年に渡って映画、舞台、ドラマで活躍し、アカデミー賞受賞経験を持ち、さらには大英帝国勲章をも授与されたジュディ・デンチとマギー・スミス。まるで絵画みたいな絵作りも印象的だけど、何よりもこの二人の何気ないのに見事な演技っぷりが心に染みました。

今日の一曲  Getz/Gilberto : The Girl Form Ipanema
スタン・ゲッツ、アントニオ・カルロス・ジョビン、ジョアン・ジルベルトという3人の巨匠が一堂に会した記念すべき名盤「ゲッツ/ジルベルト 」(1963年)の一曲目に収められているあまりに有名なボサノヴァの名曲。
暑いこの時期、けだるい昼下がりビールなんぞ飲みながらボケーとついつい聴いてしまいます。
前半ポルトガル語で歌うジョアンに続いて英詞を歌うジョアンの妻、アストラット・ジルベルトの歌声に心が和みます。



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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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こんにちは~ (ミチ)
2005-08-29 21:01:58
TB&コメントありがとうございました。

アーシュラはあの年齢まで結婚はもちろん、恋もしたことがなかったのでしょうか?

第一次世界大戦も経験してるだろうし、どのような半生を生きてきたか気になります。

多分ちょっと良い家のお嬢さんが適齢期を逃したためにずーっと一人だったとか?

大切に育てた子供を手放すという事だけでなく、女として恋しい人が去ってしまうという事、二重の意味で辛かったでしょうが、ラストの潔さには脱帽しました。

あれこそが品性、育ちの良さだと思います。
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