~ 夜明け前の闇が一番暗い… ~
バットマンシリーズ最新作でありながらバットマンの冠を脱ぎ捨てた『 The Dark Night 』 ならぬ 『 The Dark Knight 』(もちろんダブルミーニングなんだけどね)。
冒頭の『ヒート』、『インサイドマン』、そして『V・フォー・ヴェンデッタ』を彷彿させながらも、遥かに凌駕している銀行襲撃シーンから一気に展開されるシリアスでダークなゴッサムシティ・ワールド。
光と闇、善と悪、正義と犯罪。
あたかも映画「No Country for Old Men 」でシガーが見せたコイントスのような表裏一体となった世界観をバットマンとジョーカー、デントの三人を主軸に見事に現した骨太な脚本。
そして畳み掛けるようなクリストファー・ノーランのこれまたクールでかつパワーあふれる演出。
さらにこれが遺作となってしまった冷酷な犯罪者ジョーカーに扮するヒース・レジャーの涙してみることとなる見事な役者ぶりをはじめとする、良い意味で大作らしい豪華な顔ぶれを揃えつつ、顔見世映画とはなっていない真摯な演技もさすがもの。
それにしても今までになかった犯罪のための犯罪、破壊のための破壊を理由すらなく繰り返す従来の「悪」の範疇から大きく逸脱したジョーカーの姿は、テロに怯えるアメリカ人の恐怖の現われとも言えるだろうし、その「悪」の根源的な発生理由がアメリカそのものの存在に因るそのものという穿った見方も充分可能だろうし、最後すべてを背負い込む覚悟で力なく去っていくバットマンの姿を見つめる少年は「何故?」と尋ねつつも、決して「 Comeback! 」と叫ばないその現実こそが、バットマン = お節介な“世界の警察”ぶりを押し付けるアメリカという図式に照らし合わせるならば、なんともシニカルな闇の騎士ぶりだなと感じ入らずに入られなかったのだ。
ともあれ、そんな小難しい理屈付けなんぞさておいたとしても、類稀なる人間描写の深さをはじめさまざまな面でこれまでに映画化されたアメリカンコミック作品の中では群を抜く完成度の高さ。
暑気払いを兼ねて巨大なスクリーンでの鑑賞を強くオススメであります。
今日の1曲 “ Darkness on the edge of tow ” : Bruce Springsteen
Darkness on the edge of town
「俺にとって、『DARKNESS ON THE EDGE OF TOWN』の全ては、暗闇で光に向かって手を伸ばしている人達、外からの暴虐に直面しても信じるものにすがりつこうとする人達、ただそれだけだ。」
ブルース・スプリングスティーン
1978年にリリースされた同名タイトルのアルバムの中からこの曲を、であります。
バットマンシリーズ最新作でありながらバットマンの冠を脱ぎ捨てた『 The Dark Night 』 ならぬ 『 The Dark Knight 』(もちろんダブルミーニングなんだけどね)。
冒頭の『ヒート』、『インサイドマン』、そして『V・フォー・ヴェンデッタ』を彷彿させながらも、遥かに凌駕している銀行襲撃シーンから一気に展開されるシリアスでダークなゴッサムシティ・ワールド。
光と闇、善と悪、正義と犯罪。
あたかも映画「No Country for Old Men 」でシガーが見せたコイントスのような表裏一体となった世界観をバットマンとジョーカー、デントの三人を主軸に見事に現した骨太な脚本。
そして畳み掛けるようなクリストファー・ノーランのこれまたクールでかつパワーあふれる演出。
さらにこれが遺作となってしまった冷酷な犯罪者ジョーカーに扮するヒース・レジャーの涙してみることとなる見事な役者ぶりをはじめとする、良い意味で大作らしい豪華な顔ぶれを揃えつつ、顔見世映画とはなっていない真摯な演技もさすがもの。
それにしても今までになかった犯罪のための犯罪、破壊のための破壊を理由すらなく繰り返す従来の「悪」の範疇から大きく逸脱したジョーカーの姿は、テロに怯えるアメリカ人の恐怖の現われとも言えるだろうし、その「悪」の根源的な発生理由がアメリカそのものの存在に因るそのものという穿った見方も充分可能だろうし、最後すべてを背負い込む覚悟で力なく去っていくバットマンの姿を見つめる少年は「何故?」と尋ねつつも、決して「 Comeback! 」と叫ばないその現実こそが、バットマン = お節介な“世界の警察”ぶりを押し付けるアメリカという図式に照らし合わせるならば、なんともシニカルな闇の騎士ぶりだなと感じ入らずに入られなかったのだ。
ともあれ、そんな小難しい理屈付けなんぞさておいたとしても、類稀なる人間描写の深さをはじめさまざまな面でこれまでに映画化されたアメリカンコミック作品の中では群を抜く完成度の高さ。
暑気払いを兼ねて巨大なスクリーンでの鑑賞を強くオススメであります。
今日の1曲 “ Darkness on the edge of tow ” : Bruce Springsteen
Darkness on the edge of town
「俺にとって、『DARKNESS ON THE EDGE OF TOWN』の全ては、暗闇で光に向かって手を伸ばしている人達、外からの暴虐に直面しても信じるものにすがりつこうとする人達、ただそれだけだ。」
ブルース・スプリングスティーン
1978年にリリースされた同名タイトルのアルバムの中からこの曲を、であります。
しかし、最近は悪者が輝く映画が多いですねぇ
シガーとか石油バカのおっさんとか・・・・。
せっかくTBいただきながらお返事が遅れてしまってゴメンなさい。
nikidasuさん宅もご家族がみなさん揃って楽しい時間をお過ごしなのではないですか?
本日バットマン初心者の息子をつれて二度目の鑑賞をしましたが、彼にも大好評でした!
>最近は悪者が輝く映画が多いですねぇ
その輝き方からしてすでに実は「悪者」ではないような、
そんな時代を、少なからず感じてしまうのでした。
◇ミチさん
実は今年のお盆は、結構家族ばらばらでした。
それでも家族全員が改めて揃うと、やはり良いものですね。
それはさておき、過去のバットマン作品を知らずとも、
思わず見入ってしまうその完成度の高さは流石というか、
予想以上でビックリでした。