いくつか付け足したいこと(本文も血統表も)があったので更新しました
朝日杯FSで上位人気に支持されそうなタワーオブロンドンとファストアプローチは、Touch of Greatness≒Sadler's Wellsのニアリークロスを持つ点がひとつ共通します
Northern Dancer、Hail to Reason、Bimelech=Big Hurry、ハイインロー(Forli,Flower Bowl)が共通
Touch of GreatnessはElusive Quality(Gone West系のA級種牡馬)とRossini(ロベールパパン賞)を産んだ優秀な繁殖で、GraustarkやSir Ivorなど母系に入って優秀な血を多く引き、Elusive Qualityはショウナンアデラの、Rossiniはサトノクラウンの母父となったように、母系に入っても極めて優秀な血といえます
この2頭のようにTouch of GreatnessとSadler's Wells(Fairy King)を血統表内に併せ持つ馬は、JRAに22頭が出走し13頭が勝ち馬(勝ち馬率59%)、タワーオブとファストの他にもドーヴァーやブルーストーンなどの上級馬が出ており、Touch of Greatnessを引きSadler's Wells(Fairy Gold)を引かない馬は70頭出走し33頭が勝ち馬(同47%)ですから、このニアリークロスには一定の効果がみられる、と考えていいでしょう
ちなみにRaven's Pass(AW10FのBCクラシックと芝マイルのQエリザベス二世S勝ち)の代表産駒Via Ravennaも、母父SingspielなのでTouch of Greatness≒Sadler's Wells3×4で、母系にShirley Heights~Mill Reefの血が入るのも同じ
インプルーデンス賞(仏G3・芝1400m),ロートシルト賞(仏G1・芝1600m)2着
そしてこのことは、種牡馬サトノクラウンが母父として優秀であろうことや、Sadler's Wells=Fairy King持ち牝馬との配合がキラーコンテンツの一つになるであろうことも予測させます
ただし実馬の比較では、いかにもDawn Approachの仔らしいパワー体質とTom Fool的な脚捌きで中山や札幌を捲るファストに対し、タワーのほうは東京でルメールがジックリ差しに回るとなかなかの斬れ味を発揮、これは代々ナスフリート(Mr.Prospector,Verbatim,Fleet Nasrullah,Mill Reef)とナスキロ(Secretariat≒Sir Gaylord,Verbatim,Mill Reef,Hopespringseternal)、ナスペリオン(Mill Reef,Special)の組み合わせを重ね、全体としてMill Reef的な斬れ味を増幅した配合にもなっているからでしょう
Mill Reefはナスキロでもありナスフリートでもありナスペリオンでもある
Raven's Passのもう一頭の代表産駒で、ロイヤルロッジS(英G2・芝8F)に勝ったSteelerは母父がDarshaan~Shirley Heights~Mill Reefのラインなのが共通しますね
Darshaanは仏ダービー馬でMill Reef系でもなかなか日本向きの斬れ味がある血ですが(サニングデール、ダノンシャンティ、オディール、ファインニードル、タイキブライドル、レッドエルディストなどの母系に入る)、何度か書いているように、こういうフレンチなMill ReefやRivermanでジンワリ差させたらフレンチの鉄人が一番達者
「Darshaanを母系に引く馬」騎手ランキング(芝コース,騎乗数20以上)
ルメール[8-3-2-12]連対率44%単回値172複回値108
福永[9-13-3-32]連対率39%単回値97複回値81
横山典[3-4-3-11]連対率33%単回値24複回値79
四位[7-2-3-18]連対率30%単回値163複回値94
岩田[5-3-4-15]連対率30%単回値147複回値99
※ミルコ[4-1-1-8]連対率36%単回値85複回値60
※武豊[7-3-2-24]連対率28%単回値113複回値72
そもそもGone Westの系統は、Gold Digger(ナスフリート)とSecretariat(ナスキロ)にMill Reef(ナスフリート&ナスキロ)を合わせることで、Gone West系のスピードを斬れに転化することで、女傑Zarkava、欧マイル王Ribchester、他にもDarjina(仏1000ギニー、ムーランドロンシャン賞)、Almanzor(仏ダービー、愛チャンピオンS)、Zenda(仏1000ギニー)などなどフランスのマイル~中距離を制してきたという歴史があります
日本で走ったElusive Qualityでみても、ノーブルジュエリーやショウナンアデラの母オールウェイズウィリングなんかも(Mill Reefの代わりにRivermanを使って)やってることは同じですよね
ショウナンアデラの斬れが他のディープインパクト×Gone West系と比較して“濃い”のはRivermanが効いてるからでしょう
というわけで、タワーオブロンドンを一言コメントでいうならば、“Mill Reef斬れするGone West”“Mill Reef斬れするElusive Quality”ですかね
http://www.pedigreequery.com/treve3
サドラー×デインヒルやサドラー×ミルリーフのニックスも、つまるところは、ナスペリラトロの増幅なのではないかと。