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たった一人で歩く長距離自然歩道……なぜ歩くの?「わたしに会うまでの1600キロ’14」

2016-02-09 18:26:15 | 映画

              
 岩山の上で右足親指の剥がれそうな爪を強引に引っ張った。シェリル(リース・ウィザースプーン)はその痛みに振り絞る声を出した。不運なことに脱いだ靴がころころと岩場を転げ落ちていった。今度の声は「ファック・ユー ビッチ!」オープニングがこの場面。

 ここはPCT(パシフィック・コースト・トレイル)のど真ん中。メキシコ国境からカナダ国境までアメリカ西海岸を南北に縦走する総距離4000キロのトレイルで靴をなくすとは命にかかわる。さて、どうするんだろう? 

 一転場面はシェリルの出発点モハベのモーテル。出発準備で水の重さに驚く。バックパッカー用のフレームのついた大きなザックにすべてを収納して持ち上げてみた。全然持ち上げられない。両肩を通してサイドボードに掴まりながらやっと立ち上がれた。観ている方は、これで荒野のトレイルを歩けるのだろうかと不安に襲われる。

 ただ歩くだけの実話の映画化は難しいのだろう。トレイルを進むに従ってフラッシュバックでシェリルの過去が語られる。夫とは協議離婚したこと。その原因がシェリルにあること。シェリルはだれ彼もなくセックスをするという身持ちの悪さを持っている。そんなシェリルに母の死というショックが重なる。自分を見つめなおす旅が、1600キロを歩くことだった。シェリルはこのトレイルを選んだ。

 わたしもかつて登山に熱中したことがあったが、確かに大自然の中に置かれると純粋な心を感じることが出来る。だからといって過去の放埓が一転するのも人それぞれだろう。

 シェリルが最初のテントを張る場面では、説明書片手に悪戦苦闘の体たらく。この辺にもシェリルという人間のいい加減さが現れている。新品のものをいきなり持ち出すことはしない。事前の練習をするはずだ。

 この映画どうやらアメリカのアウトドア用品メーカーの宣伝臭もする。コンロは、MSR社製。靴はREI社製という具合。

 4年と7ヶ月と3日かかった旅が終わった。最後の日、そこに着くまで行き先は分からなかった。そこは「神の橋」。4年後この橋で結婚することに。エンディングのナレーションは、なにかを悟ったようなシェリルだった。

 シェリル・ストレイドの原作「WILD」は、ニューヨーク・タイムズでベストセラーを記録。このアメリカ三大長距離自然歩道の一つPCTには、年間300人ほどが挑戦しているらしい。
         
         
         
         
         
         
         
         

監督
ジャン=マルク・ヴァレ1963年3月カナダ、モントリオール生まれ。’13「ダラス・バイヤー・クラブ」の監督で、アカデミー作品賞はノミネートだったが、マシュー・マコノヒーが主演男優賞、ジャレッド・レトーが助演男優賞を受賞している。
         

キャスト
リース・ウィザースプーン1976年3月ルイジアナ州生まれ。’05「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」でアカデミー主演女優賞を受賞。
ローラ・ダーン1967年2月ロサンゼルス生まれ。本作でアカデミー助演女優賞にノミネート。

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房総半島最南端をぐるっとひと回り

2016-02-08 17:45:44 | 国内旅行

 1月にしては3月の暖かさに包まれ陽気な気分になった27日、千葉県館山方面にワンデイ・トリップと洒落込んだ。

 海が見える房総フラワーラインを南下して、コーヒータイムには淹れたての味を楽しみたいと小型のコンロを持参した。おそらく今日は、暖かい日差しを受けて岩場に散らばる潮溜まりに気をとられながら、止まっているように見える遥か遠くに行き交う大型船を眺め、空の青さと海の青さに波頭の白さのコントラストが鮮やかな風景が見られるだろう。正にその風景がそこにあった。

 いつも悩ましいのはドライブ・コースだ。渋滞を避けたいというのが先ずあって、幹線道路を外すということになる。従って今回も富津館山道路の富浦インターチェンジからひたすら県道、地方道を走り抜けた。

 ネットのルート検索やカーナビでは表示されない道ということで、交通信号機があっても地名表示板がないとか、また信号機のない交差点などはgoogleのストリートビューで確認するという手間をかけた。これらのコースを走るために、ラリーで使われるようなコマ図を作っている。
            
            
 大まかなコースは、国道127号線→県道302号線→県道296号線→地方道88号線→安房グリーンライン(紅葉時に賑わう小松寺に立ち寄る)→国道410号線(410号線に入ってすぐに名倉海水浴場がある。その近くの岩場で弁当を広げた)→房総フラワーラインに重なる国道410号線→同じフラワーラインの県道257号線→国道127号線→富浦ICで帰路という計画。
            
 京葉道の蘇我から館山道となり富津竹岡から富津館山道と名前を変えて富浦ICに至る高速道路を1時間足らずで終点の富津ICに到着した。富浦ICを下りると国道127号線に突き当たる。時刻は午前11時過ぎ、その信号を右折すると間もなく道の駅「とみうら」が見えてくる。観光バスも止まっていてウィークデイでも賑わっている。店内も洒落た雰囲気をかもし出している。
 店内の階段を下りるとレストランになっていた。「とみうら」のホームページもすっきりとしたもので好感が持てる。ここは見学しただけで次の崖観音に急ぐ。

           
           
           

 大福寺境内にある船形山の中腹に浮かぶ朱塗りの観音堂は「崖の観音」と呼ばれ、地元の人達から厚い信仰を受けている寺院だ。国道から県道に入ると車も人も少なくなる。商店もなにかうらぶれた印象を受ける。あらゆる業種の大型店が館山バイパスの国道127号線沿いに集中して、かつての商店は見捨てられたようだ。これは日本全国どこにでも見られる現象だろう。

 大福寺の駐車場に乗り入れ本堂に向かうと朱塗りの観音堂を見上げるようになる。なにやら様子がおかしい。朱塗りが足場に囲まれているではないか。なんと工事中ということで、そこまで行けない。早々に引き上げて、安房グリーンラインの出発点へのんびりと向かう。

           
           
           

安房グリーンラインは、白浜町までほぼ一直線の道路で、房総フラワーラインにT字形の交差点で終わる。車の少ない田園地帯と山間部を走るのは、今日のような好天にはカントリー・ミュージックがお似合いだと私は思っているが、道連れのCDには無い。

 その中のエンゲルベルト・フンパーティングが歌う曲に乗って時速60キロののんびり走行だ。エンゲルベルト・フンパーディンクは、 甘いマスクでバラードを得意としていて「キング・オブ・ロマンス」と称され、トム・ジョーンズとともに1960年代から1970年代にかけて、女性を中心に絶大な人気を誇った。「リリース・ミー」、「ラスト・ワルツ」、「愛の花咲くとき」、「太陽は燃えている」などのヒット曲がある。

 いまCDから流れるのは「太陽は燃えているLove Me With All Your Heart」だ。そのエンゲルベルト・フンパーディンクも1936年生まれというからもう79歳だ。私は全盛期のフンパーディンクの歌声に酔いしれていた。
ここでその歌声をどうぞ!
     

 安房グリーンラインの途中に小松寺がある。紅葉の寺としても有名な小松寺は、なかなか古い歴史を持っているようで、「天長8年(831年)慈覚大師により堂塔が建て替えられ、山王権現が祀られる」とあり、全焼して廃墟にもなったらしい。再建したがまた全焼。

 現在の小松寺は、古文書等が残っていないため本堂正面の龍の彫刻には「安政二丙辰十一月吉日、相州三浦郡浦賀 彫工 後藤忠蔵橘重武」と彫られている。この銘から、安政2年(1855年)に再建されたと考えられる。 と寺院のホームページにはある。

 で、その彫工 後藤忠蔵橘重武という人はどんな人? というわけでネットを検索してみた。ある人のブログに「初代後藤利兵衛橘義光の門人で後藤忠蔵橘重武の作品です。初代後藤義光は房州千倉の出身で神奈川県にも素晴らしい作品を製作しています」との説明があった。写真も掲載されていて見事な彫刻だ。彫刻と言えば、左甚五郎と思うのは近視眼的だと思い知らされた。今後千葉県の寺院では、本堂の彫刻に注目してみよう。

           
           
           

 安房グリーンラインと房総フラワーラインが接するT字路から国道410号線に回り込むとすぐに名倉の海水浴場がある。その近くに車を停めた。外に出てみると、風も無く穏やかで暖かな空気に包まれ1月とは思えない陽気にうれしくなる。近畿から九州まで雪に見舞われているのに、ここ千葉の海はあくまでも青く透き通っていた。

 ちょうどお昼に頃合の12時半ごろになった。私はあまり外食をしない。高価なレストランなどは別にして、美味しい食べ物に出会ったことがほとんど無い。ある年の残暑の頃、青森県の七戸で買った枝豆が実に美味しかったくらいだ。この枝豆は今でも食べたくなる。豆の匂いと味が忘れられない。

 そんなわけで、いつも自家製の弁当とお茶を入れたサーモスのボトルを持参する。遠くの沖合いを航行する大型船がほとんど動かないように感じるが、目を離してしばらくして戻すと位置が変わっている。それを見てやっぱり動いているんだと納得する。

 食事中、同行のパートナー妻が言う。「お弁当のご飯って本当に美味しいわね。安いお米だけど粒が光っているよね。どうしてだろう?」そうなんだ。どうしてか知らないが確かに美味しい。

           
 食後にコーヒーを淹れた。持ってきたアメリカのメーカーMSRの750グラムと軽量のコンロだ。ずいぶん昔に買った代物。でも、十分役に立っている。ただ、使用する燃料がホワイト・ガソリンで高価なことが難点と言えば難点。
 しかし、火力は強いし風防も付いているからアウトドアにはぴったりだ。登山をするには必携といえる。雰囲気という点でもカセット・コンロを代用する味気なさは無い。プレ・ヒートしてごうごうと燃える音には野生的な色合いもある。

           

 野島崎灯台に立ち寄った。房総半島最南端に位置する八角形の大型灯台。「日本の灯台50選」にも選ばれ、国の登録文化財でもある。太平洋戦争では大きな被害を受けたらしい。正に目の敵にされたんだろう。旅館や土産物屋が並ぶ国道410号線沿いの海側に駐車場がある。黄色く変色した冬枯れの芝生を貫く遊歩道が先端に伸びている。灯台は冬の日差しを浴びて白く輝いていた。灯台は登れるようになっていて、多くの人が眺めを楽しんでいた。地球が丸く感じるんだろうか。 と目をこらして見た。気のせいか丸かったようだ。

           

 国道410号線を南下すると根本キャンプ場のバス停とその前にあるトイレが見えてくる。このあたりは強風のとき海砂が道路に堆積して車の運転には注意が必要だ。まだまだドライブは続く。

 国道410号線から県道257号線に左折する。第1フラワーラインとも言われ、道路両脇の黄色く染まった菜の花が早春を告げている。このまま行くと洲崎(すのさき)灯台をかすめて大きく右に回り館山方面へとつながる。今回は洲崎灯台周辺はパス。早々に帰路につく。

 ドライブとなれば食事やおやつが気になるところ。私が持参したのは、自家製弁当、お茶を入れたサーモス、コーヒーを沸かすコンロ、おやつにチロルチョコレート・コーヒーヌガーとクリームヌガー、それに森永キャラメル。あとガムを少々。

            

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旨い話は無いなあ!……インドネシアの鉄道建設で中国の態度

2016-02-04 18:18:14 | 国際

 2月4日付け読売新聞から。『インドネシアの高速鉄道計画で、鉄道建設を手がける中国とインドネシアの企業連合が、事業が失敗した際の「保証」をインドネシア政府に求めていることが分かった。
 インドネシア運輸省が50年後に負債の無い状態での譲渡を求めているのに対し、企業連合はより長い期間を要求し、事業破綻の場合、政府が買収するよう提案。それが出来なければ中国側に所有権を移すよう求めている。

 さらに企業連合は、譲渡条件が将来変更されない「法的な保証」も求めている。企業連合のインドネシア人幹部は「建設途中になにか起きら、誰が責任を取るのか。保証がなければ(融資の)貸し手は合意しない」と中国側の意向が背景にあることを示唆する』

 総事業費約6600億円のうち75%を中国の国家開発銀行が融資する。私が思うに、なんでこんな話になるのかということ。高速鉄道計画を中国が受けた時点で解決しておかなければならない事項ばかりだ。形ばかりの起工式を1月21日に行っておきながら今さらという感じの要求だ。中国はあまりにも身勝手すぎる。

 そして建設途中に何かが起きたら、建設をになう中国に責任があるというのは常識だと思うがなあ。それにしても建設前から何かが起きたらなんて言葉が出るとは日本では考えられないことだ。(実は、日本では考えられないことだと断定したが、いまや怪しくなっている。免震構造事件を思い浮かべると偉そうなことは言えないかもしれない。それでもまだまだ中国よりはましと思いたい)

 中国は詐欺的な契約を平気でやる国だな。そういえば思い出した。二年か三年前かな。スリランカで高速道路が出来た。日本も中国も参加していた。そして中国施工の道路は、波打っていた。それを日本企業が直したという話をスリランカ人から聞いた。ことほど左様に、道一つまともに作れない国が高速鉄道なんて出来るはずがない。

 中国のそういう側面を聞いたのか、インドは日本の新幹線方式を選んだ。賢明な選択だと思うよ。まあ、言ってはなんだけど、インドネシアもインドネシアだ。かなりの賄賂が飛び交っているんじゃないかな。中国が糸を引く上記の話は、どうやら経済の減速もあるのかもしれない。

 3日に発表した2016年度通年の国内総生産(GDP)成長率目標を6・5%~7%とすることを明らかにしたとの記事。これはあくまでも目標だ。恐らく目標を下回るだろう。中国の経済はそういう流れだという気がする。

読売新聞以外の中国の行状が分かる記事はこちらでどうぞ!

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