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母の死がもたらしたもの「母の残像」2015年制作 劇場公開2016年11月

2017-12-19 18:23:36 | 映画

            
 報道写真家の母イザベル(イザベル・ユペール)が急逝して3年後、写真展の企画が持ち上がった。アフガニスタンやシリアに同行した同僚のリチャード(デヴィッド・ストラザーン)から「ニューヨーク・タイムズ紙に彼女の記事を書く、宣伝の一環だ。記事を書く上では彼女の死の真相に触れないわけにいかない」とイザベルの夫で高校教師のジーン(ガブリエル・バーン)に言う。戸惑いながらも承諾するジーン。

 というのも高校生の二男コンラッド(デヴィン・ドルイド)が母の死以後、人が変わったように自分の殻に閉じこもっている。真相を知らないのはコンラッドだけ。

 長男のジョナ(ジェシー・アイゼンバーグ)は、若くして大学教授になり第一子誕生の病室で満面に笑顔を浮かべている。小腹が減ったからスナックを調達してくると言って出掛けたジョナ。遅い時間のために院内の店は閉まっていた。

 廊下をウロウロと探し回りふと気がつくと大学時代の恋人だったエリン(レイチェル・ブロズナハム)がいた。偶然の再会に近況を話しあって別れたジョナに動揺が見られる。初恋の人って意外に忘れられないんだ。

 こういう前ぶれからイザベル、ジーン、コンラッド、ジョナ、リチャードそれぞれの人生での途中経過が語られる。自殺を選んだイザベルの家族にとっては、あまりにも重い記憶となっている。写真展をキッカケとしてジョナも資料整理に里帰り。父ジーンと二男コンラッドの間にある冷たい空気も暖気に変わるだろうか。

 それは母イザベルについて掲載された記事をコンラッドがコンビニで読んだ時に始まる。この映画のエンディングは、それぞれの登場人物の人生の始まりを示唆している。

 ジーンは、リチャードに妻と不倫したのかと問い詰める。リチャードは取材中だけそんな関係になったと言う。ジーンにとって非常に腹立たしいこと。しかしそれを言っても今となっては詮無いこと。

これからは恋仲の同じ学校の国語教師ハンナ・ブレナン(エイミー・ライアン)と新しい人生を歩めるか。

コンラッドは、母の紛争地での報道写真の仕事が精神的にキツく交通事故死が自殺だったという真実を受け入れて、明るい人生とすることができるか。

ジョナは、エリンへの思いを断ち切り家庭を守っていけるか。

今、ジーンがジョナを家に送っていく車の中で、息子二人の寝顔に四人家族の幸せな時間が重なる。
  
監督
ヨアキム・トリアー1974年デンマーク、コペンハーゲン生まれ。

キャスト
ガブリエル・バーン1950年5月アイルランド、ダブリン生まれ。
ジェシー・アイゼンバーグ1983年10月ニューヨーク市生まれ。
イザベル・ユペール1953年3月フランス、パリ生まれ。
デヴィン・ドルイド1998年1月ヴァージニア州チェスターフィールド生まれ。
デヴィッド・ストラザーン1949年1月カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。
レイチェル・ブロズナハム1990年12月ウィスコンシン州ミルウォーキー生まれ。
エイミー・ライアン1969年11月ニューヨーク市クイーンズ生まれ。

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