フランスの法廷。ある事件で陪審員の中に入院中に優しくしてくれた麻酔医のディット・ロランサン=コトレ(シセ・バベット・クヌッセン)がいるのを知った 裁判長のミシェル・ラシーヌ(ファブリス・ルキーニ)はメールを送った。「会っていただけるか」「イエス」の返事。
ラシーヌの評判は「10年判事」と揶揄されるように重い10年刑が多い。判事には二つのタイプがあるという。一つは、事実ばかりを並べて議論の範囲を狭くし、周りのものに隙を与えないタイプ。もう一つは、自らの発言を手短にし自由に討論させるタイプ。ラシーヌはどちらかといえば、初めの「事実ばかりを並べる」方のタイプらしい。さらに「奥さんに家を追い出されてホテル暮らし」とも。
ラシーヌの歳は初老といったところ。レストランでディットと会うが、最初のぎこちない雰囲気から次第に核心に「君が忘れられない。愛している」微笑みながらその言葉を聞くディット。
陪審員の中にディットが入ったことによってラシーヌの公判のやり方が変わり、陪審員にも十分な討議時間を与えた。そして10年判事から、この案件を「無罪」で締めくくった。そして自らの愛も成就した。愛の法廷の効果てきめん。
判事役のファブリス・ルキーニは撮影時64歳。シセ・バベット・クヌッセンは47歳。ファブリス・ルキーニは如何にも初老という風貌なので観る私は感情移入できないし、ロマンティックな雰囲気にはならなかった。もう少し若く見える俳優が良かった。折角の「愛の法廷」なのに……。美人のシセ・バベット・クヌッセンに加えディットの娘役エヴァ・ラリエが可愛い。2015年制作 劇場公開2017年5月
監督
クリスチャン・ヴァンサン1955年11月フランス、パリ生まれ。ヴェネチア国際映画祭で脚本賞受賞。2012年「大統領の料理人」がある。
キャスト
ファブリス・ルキーニ1951年11月パリ生まれ。本作ヴェネチア国際映画祭で男優賞受賞。
シセ・バベット・クヌッセン1968年11月デンマーク、コペンハーゲン生まれ。本作でセザール賞の女優賞受賞。
エヴァ・ラリエ出自未詳