Wind Socks

気軽に発信します。

午後8時を過ぎてブザーが鳴る。それを無視した若き女医「午後8時の訪問者」

2017-12-01 14:37:18 | 映画

                
 地域の診療所に代診医師として勤務するジェニー・ダヴァン(アデル・エネル)は、優秀な医師として近く医療センターでの勤務が待っていた。研修医ジュリアン(オリヴィエ・ボノー)に「患者に気持を入れすぎる。医師としてもっと冷静になったほうがいい」などと説教をする。そんな折、ブザーが鳴る。ジュリアンは出ようとするがそれを止めて「こんな時間に来るのが悪い」ジュリアンが「急患かもしれない」「急患なら何度も鳴らすわ」

 何かにつけて辛辣なジェニーに対して不満が募り無言で診療所から帰宅する。翌日も出勤しない。ジュリアンという新たな問題を抱えさらに刑事の訪問を受けて提出した監視カメラの映像には、午後8時5分黒人の年少の女が写っていた。この子が近くの川岸にある工事現場で遺体で見つかったという。

 ショックを受けたジェニー。あの時ブザーに出ていれば……自身の行動が悲劇を招いたという後悔にさいなまれる。身元不明と聞くと彼女の死後があまりにも無残でジェニーには耐えがたい。せめて名前だけでもハッキリさせたい。医療センター勤務を捨て、地域の小さなこの診療所を引き継いで亡くなった女性の出自を追って行く。

 この執念がやがて社会の弱者を浮き彫りにし、ジュリアンに向き合うジェニーの人間的成長も心にしみる。カメラは、常にアップで撮られ音楽が一切なく車の走る音、電話の音など日常の雑音がBGMという感じ。

 一人の女性を徹底的に描くドキュメンタリー手法は、以前観たマリオン・コティヤール主演の「サンドラの週末」と通じる。本作の主演女優アデル・エネルも派手さは無いが堅実な演技派と言える。お色気の全くない社会派映画だ。2016年制作 劇場公開2017年4月
   
監督
ジャン=ピエール・ダルデンヌ1951年4月ベルギー生まれ。2014年「サンドラの週末」がある。

キャスト
アデル・エネル1989年1月フランス、パリ生まれ。
オリヴィエ・ボノー出自未詳
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする