
天才ピアニストといわれるトム・セルズニック(イライジャ・ウッド)は、5年間の空白期間を乗り越えて恩師パトリック・ゴーダルの追悼コンサートの舞台に立つことになった。
コンサートが行われるシカゴへ向かう飛行機に不安を持ち、演奏にも気乗りしない様子。完璧主義者のトムにとって演奏を間違えることは死に等しい。このコンサートでも難曲中の難曲「ラ・シンケッテ」が待ち構えている。
恩師パトリックの遺品、最高級のグランドピアノ、ベーゼンドルファー・モデル290が舞台の中央で手招きしている。楽屋でコンダクターから「キーを間違えても聴衆にはわかりゃしないよ」と元気付けられてはいるものの完ぺき主義の虜から抜け出せない。
やがて演奏が始まり楽譜を1ページめくる毎に「音符を1つでも間違えたら君を殺す」「助けを呼んだら眉間を打ち抜く」という脅迫の文字。
そして見ろ! という間もなくピアノのそばで銃弾がうがつ。「ローチェスター47 レーザー照準 消音器つきだ。精度最高級の銃だ」
そして難曲「ラ・シンケッテ」へと流れていく。
クラシック音楽を背景に脅迫するというアイデアは斬新だ。トムはこれからどうするのだろう。なぜ、脅迫するのだろう。どういう結末になるのだろう。徐々に分かり始めるが、上質のミステリーを読んだような幸福感も与えてくれる。
難曲といわれる「ラ・シンケッテ」は、この映画の監督エウヘニオ・ミラの作曲によるものという。


監督
エウヘニオ・ミラ1977年9月スペイン生まれ。
キャスト
イライジャ・ウッド1981年1月アイオワ州シーダーラッピッズ生まれ。
ジョン・キューザック1966年6月イリノイ州エヴァンストン生まれ。
ケリー・ビシェ