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映画「エグザム EXAM ’09」劇場公開2010年7月

2011-01-11 13:10:55 | 映画

              
 究極の就職試験。ブルーの洒落たスーツに糊の利いたワイシャツ、臙脂に黄色の細かいペーズリー模様のネクタイ、顔が映るくらい磨き上げられた黒靴。髭の剃り跡も生々しくコロンの香り、口元はホワイトニングの真っ白な歯並び、長い睫毛の精悍な目元、サッパリと整った顔立ちの男。

 淡いピンクかと思われる色合いを秘めたビジネス・スーツ、清楚な白いブラウスの胸元は、谷間を少し窺わせる程度の開き具合のブロンドの女。
 こういう人間を見ると人はどのように感じるのだろうか。教養があって優しい思いやりに満ち、いつでも手を差し伸べますよという我らの味方と思うだろう。

 この就職試験ではそんなものは一切通用しない。窓のない密室で激しい生存競争が繰り広げられる。最終試験の受験者は、8人。男女半々、国籍もまちまち。ただ、守らないと失格になるルールが存在する。

その1、試験監督または警備員に話しかけてはならない。
その2、自分の試験用紙を破損してはならない。
その3、部屋から出てはならない。

 与えられた時間は、80分。試験監督は、注意事項を告げてデジタル時計を押した。79:59 1秒経過。答えは一つ。試験用紙は、まったくの白紙。何も書いていない。全員が戸惑う。
 一人の受験者が、用紙に何かを書いた。警備員は、つまみ出した。用紙を破損したとみなされた。

 一体どうすればいい? 全員が試されていた。徐々にエゴがうごめく。外見なんて何の役にも立たない。たった一つの椅子を求めて、一つの答えを模索する。一体どういうことなんだ。謎が増幅する。
 受験者のみならず、観客も動揺しうろたえる。最後に銃弾に倒れた男とブロンドの女が残る。時間切れだ。

 試験監督が入ってきて言う。
「細胞の急速な再生、薬の力だ。ウィルスを全滅させ変異を治す」
「魔法の弾ですね」ブロンドが言う。
「大勢の命を救う。こうした突破口が、予期せぬ事態を招く。耐え難い板ばさみだ。この薬は必要だが、1回の生産量は限られる。決断力のある賢い管理者が不可欠だ。人の話しに耳を傾けつつ、詳細に気づける者、かつ仲間への思いやりがある者だ。どうだ?」
ブロンドに向かって言う。

 確かに、真の人物を発掘するにはこのようなテストが有効かもしれない。これを監督したスチュワート・イゼルダインは初作品をこのような斬新な切り口で観客に迫る。、キャストも有名どころではないが、斬新なテーマで密室だけのシチュエーションという限られた動きの少ない場面設定に、うまくミステリアスなスリルを織り込んで出来上がりは見事。
            
            
            
            
監督
スチュワート・イゼルダイン1971年6月イギリス、サリー生まれ。
               
キャスト
ルーク・マブリー1976年3月ロンドン生まれ。ほか
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