ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「予期 l’attente」 20191130

2019-11-30 | Weblog

               https://www.youtube.com/watch?v=5i6OfpZHflI

 

予期はつねに生成し走りつづけている──

すべての人間的企投を先導する予期。しかし予期はみずからに訪れる〈世界〉に触発されて動きだす。

はじまりの内なる触発、示されるものがある──実りあるもの、不毛なもの。イエス、ノー。グッド、バッド。

世界を分節してつぎつぎに意味と価値のランドスケープとして描き出していくもの、あるいは描き切れずに足踏みしているもの。みずからに現象する〈世界〉、その諸相。

予期がほんとうに出会いたいものはその先にある。

たとえば、月あかり、星空、虹、暁の光、夕景が照らす、不在の、非知のなにか。

予期には突き当りたいものがある。いつか、どこかで、出会いたいもの、それがなにかはわからない。

よきもの、よき生をみちびくもの、このうえもなくステキなもの、それはどこにも示されない。

出会いたいもの、いまだ顕現せざる、未知の、非知の、ありえない世界へまなざしを凝らす予期がある。

駆り立てられながらめがけるものはどこにも示されない。わからない。わかるとも思えない。記述の明証性を求めると遠ざかり消えてゆく。

しかし予期には変容の位相がある。

予期が予期と出会うとき。招き入れたいと願うだれかの予期と出会うとき、交わる光のハレーションから立ち上がるように、結ばれるものがある。〈世界〉に記述されていない、記述の網にかからない、時間にも空間にもマップできない、予期が出会いたいと願っていたもの、そう信じられるものが現象することがある。

 

 

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