「ケダモノって言うけど、その上に乗っかっているものが問題だ」
「何?」
「自然から見れば余計なものを一杯纏っている」
「過剰ということかな」
「いや、決定的に何かが足りないからじゃないか」
「昔、それをパンツって言った人もいたな」
「パンツをはいたナントカ」
「サルね」
「パンツって何さ?」
「文化。人間が抱く幻想一般のことじゃないの」
「霊長類ヒト科の動物は弱いけど、それをパンツで補強する?」
「幻想の鎧をまとったサルか」
「自然界全体からみれば異様な存在だ」
「その意味でケダモノは別に蔑称ではない?」
「まさしく」
「完成度で言えば、動物一般のほうが優れているね」
「出来損ないだからパンツは必須なわけだ」
「とりあえずパンツをはかないと道を歩けない」
「パンツをはく快楽や喜びというものはあるな」
「それが希望の原理につながるのかな?」
「絶望の原理かもしれない」
「でもそれは脱ぐに脱げない」
「うん。恣意的にはいたり脱いだりできない。つまり、身体化している」
「例えば、宗教とか何かが乗っかっているわけか」
「無数のバリエーションがあるでしょ。個人から集団までね」
「色やサイズや形もいろいろで、有象無象のパンツがある」
「小さいほどいいという局面もある」
「ケダモノ集団にかぶせる規格外のデカパンもあるな」
「民族の誇りとか、人類の理想とか?」
「取って付けたようなスローガンも溢れている」
「美しいナントカとか?」
「空疎な言葉の遊びにすぎないよな。パンツとしては粗悪品だろ」
「取ってつけたようなデカパンね。すぐにずり落ちるぞ」
「逆に、中味が空っぽだからいいのか?」
「俺には神経がイカレてるようにみえるけどな。臭いパンツが美しいって」
「ただ、それが一定の説得力をもって機能するという状況はあるかも」
「勘弁してくれという感じだけどさ」
「歴史を見て、自分たちがしてきたことに少しは恐れ入ったらどうか」
「そう思うけど、反省より先立つものがあるということだろ」
「多少気に喰わないヤツでも、コイツについていけば食い扶持は確保できそうだとか?」
「でも、ガラクタだろ」
「困ったね」
「困ったけど、追い詰められたらわからないぜ。オレたちだって」
「追い詰められてアソコが見えそうになったら、目の前にぶらさがったパンツをはきたくなる」
「どうだろう」
「追い詰められるまえにやることがあるだろうということさ」
「けど、追い詰められなくてもはきたいヤツははくだろ」
「どうせ脱げないパンツなら、身の丈に合ったパンツを選びたい」
「パンツをめぐる戦いも熾烈だ」
「こっちのパンツあっちのパンツで、相変わらずドンパチやってる」
「パンツをめぐる覇権争いね」
「オマエのパンツより、オレのパンツのほうが品格があって偉そうだとかさ」
「それ以上に、パンツには現実の利害が絡んでいるということもある」
(続)
「何?」
「自然から見れば余計なものを一杯纏っている」
「過剰ということかな」
「いや、決定的に何かが足りないからじゃないか」
「昔、それをパンツって言った人もいたな」
「パンツをはいたナントカ」
「サルね」
「パンツって何さ?」
「文化。人間が抱く幻想一般のことじゃないの」
「霊長類ヒト科の動物は弱いけど、それをパンツで補強する?」
「幻想の鎧をまとったサルか」
「自然界全体からみれば異様な存在だ」
「その意味でケダモノは別に蔑称ではない?」
「まさしく」
「完成度で言えば、動物一般のほうが優れているね」
「出来損ないだからパンツは必須なわけだ」
「とりあえずパンツをはかないと道を歩けない」
「パンツをはく快楽や喜びというものはあるな」
「それが希望の原理につながるのかな?」
「絶望の原理かもしれない」
「でもそれは脱ぐに脱げない」
「うん。恣意的にはいたり脱いだりできない。つまり、身体化している」
「例えば、宗教とか何かが乗っかっているわけか」
「無数のバリエーションがあるでしょ。個人から集団までね」
「色やサイズや形もいろいろで、有象無象のパンツがある」
「小さいほどいいという局面もある」
「ケダモノ集団にかぶせる規格外のデカパンもあるな」
「民族の誇りとか、人類の理想とか?」
「取って付けたようなスローガンも溢れている」
「美しいナントカとか?」
「空疎な言葉の遊びにすぎないよな。パンツとしては粗悪品だろ」
「取ってつけたようなデカパンね。すぐにずり落ちるぞ」
「逆に、中味が空っぽだからいいのか?」
「俺には神経がイカレてるようにみえるけどな。臭いパンツが美しいって」
「ただ、それが一定の説得力をもって機能するという状況はあるかも」
「勘弁してくれという感じだけどさ」
「歴史を見て、自分たちがしてきたことに少しは恐れ入ったらどうか」
「そう思うけど、反省より先立つものがあるということだろ」
「多少気に喰わないヤツでも、コイツについていけば食い扶持は確保できそうだとか?」
「でも、ガラクタだろ」
「困ったね」
「困ったけど、追い詰められたらわからないぜ。オレたちだって」
「追い詰められてアソコが見えそうになったら、目の前にぶらさがったパンツをはきたくなる」
「どうだろう」
「追い詰められるまえにやることがあるだろうということさ」
「けど、追い詰められなくてもはきたいヤツははくだろ」
「どうせ脱げないパンツなら、身の丈に合ったパンツを選びたい」
「パンツをめぐる戦いも熾烈だ」
「こっちのパンツあっちのパンツで、相変わらずドンパチやってる」
「パンツをめぐる覇権争いね」
「オマエのパンツより、オレのパンツのほうが品格があって偉そうだとかさ」
「それ以上に、パンツには現実の利害が絡んでいるということもある」
(続)