理解──
なんらかの理解と納得を刻むように世界を記述し、みずからを組織する
みずからになんらかの理解を充てることで納得と了解を刻む
「そうにちがいない」
理解の十全性、整合性を求める心の原理的特性
世界のアウトラインが決まらなければ、みずからのかたちを決め
対象を定め、新たな企投へ向かうことができない
足りなければ「物語」が呼ばれる
仮説と推論 リアルのピッチを外れて羽ばたく想像のつばさ
「そうであればすべては整合する」
足りないものを埋めるために物語を置いて納得を刻む
全体包括的な意味、いまここにない虚数項へ向かう
このことの要請は内的必然性をもつ
「そうに決まっている」
さまざまな物語の構成に必要なものが探され、手もとに集められていく
物語を裏切るものは棄却され、あるいは抹消される
物語、虚数的究極解、森羅万象をすべる絶対項〝カミガミ〟の生成
むすうの物語の生成、その糾合的完成形としての〝世界理解〟、
「そうだよな」
「わかるわかる」
足りないものがあれば、それを穴埋めするものが呼ばれる
矛盾、対抗、異和、不整合を示すもの一切の棄却
全体整合性へのめがけ、世界記述の確定へ向かわせる誘惑
この全プロセスは根源的な駆動因
人間的生の主題(欲望)によって駆動されている
独断論 形而上学 懐疑論 相対主義
すべてはこのドライブから派生的に分泌される
「はじめに言葉ありき」ではない
確定された世界記述「はじめに言葉ありき」にしたがうかぎり
生は記述された確定項から逆算された姿
逆規定された逆立ちした姿としてしか生きることができない
この倒錯の歴史を棄却するために明らかにしておくべきことがある
「はじめに言葉ありき」と記した者(たち)
その末裔として物語を携えわれわれは生きているということについて