(福岡伸一『生物と無生物とのあいだ』2007年講談社)より
「秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない。」
「エントロピー増大の法則は容赦なく生体を構成する成分に降りかかる。高分子は酸化され分断される。集合体は離散し、反応は乱れる。タンパク質は損傷をうけ変化する。しかし、もし、やがては崩壊する構成成分をあえて先回りして分散し、このような乱雑さが蓄積する速度より早く、常に再構成を行うことができれば、結果的にその仕組みは、増大するエントロピーを系の外部に捨てていることになる。
つまり、エントロピー増大の法則に抗う唯一の方法は、システムの耐久性と構造を強化することではなく、むしろその仕組み自体を流れの中に置くことなのである」
「秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない。」
「エントロピー増大の法則は容赦なく生体を構成する成分に降りかかる。高分子は酸化され分断される。集合体は離散し、反応は乱れる。タンパク質は損傷をうけ変化する。しかし、もし、やがては崩壊する構成成分をあえて先回りして分散し、このような乱雑さが蓄積する速度より早く、常に再構成を行うことができれば、結果的にその仕組みは、増大するエントロピーを系の外部に捨てていることになる。
つまり、エントロピー増大の法則に抗う唯一の方法は、システムの耐久性と構造を強化することではなく、むしろその仕組み自体を流れの中に置くことなのである」