ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「Ceasefire──停戦命令」 20221130

2022-11-30 | Weblog

 

 


「愛がなければ通り過ぎるしかない」(ニーチェ)

すべてこの格率どおりに生きることはできない
通り過ぎれない状況、通り過ぎれない関係、生活世界がある

見渡せば逃れようのないのっぴきならなさがひしめいている
生かすちからと滅ぼすちからとせめぎあっている

せめぎあい、駆り立てられ、焦燥し、動き回りながら
四六時中、〝決済〟を求める怒号に呑み込まれる

勝つか負けるか、生きるか死ぬか──
ひと皮めくれば獰猛さを競いあうゲームのなかにいる

それでずっとやってきた
そのことは認識したほうがいい

そのうえで、通り過ぎれない心が自らに告げる

この状況に〝人間の知恵〟を連結しなければならない
そのために状況の本質をえぐり出さなければならない

現実に耐えること
与えられ示されるまま
諦めて歯を食いしばって生きる

このルートには救いがない
生も死もゲームプランの内側で進行する

享楽と荒廃のカップリング
全体収支は荒廃へ向かっている

たくさんのものがこぼれ落ちていく
不幸を加算しつづけるゲーム

そうではなく

生きるに値しないものを
生きるに値するものに変換する

現実は甘くないに決まっている
甘くないものを甘いものに作り変えていく

愛がなければそのまま通り過ぎてしまいたい
通り過ぎれない心がみずからに告げる

「ceasefire」(ある哲学者は別の言い方でエポケーと呼んだ)

そうしてはじめて気づくことができる
ゲームが教えない未踏のルートがある

どんなにすさんだ風が吹き荒れても
すさみをすさみとして感じる心がいる

感じる心がどこにもいなければ
世界はのっぺらぼうのまま滅びていくしかない

この明晰な了解において

感じる心に生きるスペースをあつらえておく
そうしてはじめて人間の知恵が芽吹く土地が確保される

ちょっと道草しようか
俺はいつでもオーケーだ

 

 

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「叱責」 20221129

2022-11-29 | Weblog

 

 

ひとことで言えば、覚悟
最も足りてないものだな
圧倒的に足りない、足りなさすぎる

サルでもわかる話だ
決定的なことだよ

世界の姿を確定することとは全然ちがう
それはわかっているよね

心から感謝しな
本当の姿を教えてもらった

かんちがいにもほどがある
かっこつけてもなんの意味もないってね

身体張って一番大事なことを教えてもらった
覚えておこう、奇蹟のようなことだよ
おかげでとことん本質をさらしたわけさ

掛け値なし、ザマないって

なさけないけれど何もお返しはできない
当然さ、余計なことだ、無理だな

どこかで思っていたことでしょ、ずっと
ちがうって、こんなんじゃだめだって

はっきりそれを照らしてもらった

思い知ればそれでいい、底を打って
そうしてはじめてはじめられる、始めな

一番の底に降り切ることしかない
振り出しに戻ることだ

ほんとうに親しくなければ頂けないギフトだよ
どんな形でもいい、それに応える仕事が残されている

 

 

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「reflection」 20221128

2022-11-28 | Weblog

 

 

 

すさんだ風が吹いている
そう感じている心がそこにいて

なんどもスキャンしてみる
どこにも見当たらないものが浮かぶ

敬意、配慮、礼節、交感、相互性
(当為、義務、要請ではないもの)

そして気づく、そのことの不在にいらだち
風に染まり、シンクロしていく我が身がいる

 

 

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「オトナとコドモ」 20221128

2022-11-28 | Weblog

 

ときに乱用したくなる言葉に出会うことがある
たとえばこんな言葉──

「暦の上だけの人間のオトナ」(Harry Stack Sullivan)

しかし内省はすぐに訪れる
乱用に走るのはコドモのふるまいだろう
面白がって溜飲を下げるだけのために使う
それはガキのふるまいと呼んだほうがいいかもな

オトナは別の問い誘われるかもしれない
そもそもオトナとはなんだ
コドモとオトナをわける区分線とはなんだ?

「暦の上だけの人間のコドモ」

逆に、そういうこともあるにちがいない
そんなめんどくさいことを考えること
考え抜くことがオトナなのかな、とオトナはめんどくさく考える
そういうことなのかもしれない、とも思う

 

 

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「知-非知」20221127

2022-11-27 | Weblog

 

 

どんなに美しい理想、高貴な理念であっても
そこに架けられた権威の梯子を外して
つまり、超越化するルートを完全に棄却して
最初にそれが産み落とされた地に降ろしておく

地に降ろしてはじめて明らかになる

一切の創発の母であるひとりひとりの実存の本質について
理想理念が創発する地平、その無限性について

たとえばニーチェの哲学は告げている
「つねに生の経験の始原の場所から出発せよ」

なんのためのそうするかははっきりしている

どんなに美しい理想、高貴な理念であっても
「知-非知」がつくる権威の階梯に依って思考するかぎり
知は裁き、非知は裁かれるものになる

どんなに美しい理想、どんなに高貴な理念であっても
ひとりひとりの「われ欲す」(実存)を経由しないかぎり
知は権力化し、非知に非知であることを恥じよと命じる

この倫理的なゲバルトはすべての知の宿痾と言っていい
(歴史の惨劇の基底にはつねにこの知の病みが見つかる)

知の仕事は知の高みに昇って知を誇り命じることではない
知は非知を裁くことは許されず、ただ非知に奉仕するもの以外ではない

ひとりひとりの実存の本質に照らしてよき生を支援する
つまり、知は知のありかたを問うことを第一の仕事としてもつ

 

 

 

 

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「第三領域」20221126

2022-11-26 | Weblog

 

 

 

あなたは一体何者?

この問いが意識の前景を覆うとき
第三の位相は出現の機会を与えられないまま
関係の背後に消えていく

第三の位相──その産出力が活性を帯びるとき
ふたりの存在は相互的な触発の糧に変換され
問いは一つの昇華に出会って溶けていく

「愛の能力を開花させる静かな奇蹟」(サリヴァン)

ふたりの視線は相互の存在への信(愛)を経由しながら
第三の位相において交わり、多重の記述を生み出していく

 

 

 

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「未決の展開本質」 20221125

2022-11-25 | Weblog

 

 


 モノは自己充足的に完結している。
 Inanimate nature is self contrained. (Michael Polanyi)


生命は未決の形式において自らを組織している
外部に開かれ、対話し、情報を交換し、記憶し 欲望する

かつて いま これから

すべての時制を結び合わせ
からだと世界の直列をほどいて結び直すように
新たな連結形式を試行していく

そのつど描かれる一度きりの生の波形
この波形をとらえ切るコトバは原理的に存在しない

つまり、事後的に生まれるもの──子は母を産むことができない
(捉えたとかんちがいするコトバだけがある)

自己充足的であるとき、自己完結的であるとき
モノに似て、生命の試行は中断と停滞の中にある

 

 

 

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「こども」 20221124

2022-11-24 | Weblog

 

 

人生のルーキーの時──始発点にいる

経験を先導するコトバをもたない存在として
こどもの君はただ〝感覚〟している

甘さ、苦さ、やさしさ、くるしさ、明るさ、暗さ
心は感覚に導かれて世界の姿をたしかめ味わっている

理解という思考(悟性)が動き出すより先に
後続してそこにコトバが産み落とされる地平を耕すように
こどもの君は世界を感覚し、この世の経験を積み重ねていく

この歩みのなかでさまざまな出会い、交流があって
反応するじぶんの感覚の泡立ちに立ち会い
記憶し、時間を混ぜ合わせ、君は少しずつ世界をマップしていく、

(この地平に荒廃の色が滲むとき人生は苦境から始まる)

安心と不安、期待とおそれ、楽しさ、怒り、悲しみ
後からそう名づけられるものたちは合流して
やがて、ひとつの世界像がくっきりした姿を現わし始める

世界の姿は、同時に、こどもの君が自ら告げる自らの姿
君の生の波形がかたどられた写像の意味をもつだろう

しかしそれだけではない──
それだけではないことを告げる出会いがある

「始発点がすべてを決するわけではない」
「一緒に踊ろうか」

いつか、そう君に語りかける〝友〟と出会う
出会いはこう呼ばれている

「愛の能力を開花させる静かな奇蹟」(サリヴァン)

世界を黙って受け取るだけではない
もはやこどもではない君がいることを友は告げる

苦境を糧として、生きる資源に変換するコトバを産む
この世のあちらこちらに〝友〟がいることを友は教える

友の存在、友のコトバをまっすぐに受け止めることができる
君はみずからのチカラを見出すことになる、そのことは信じていい

 

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「展開スペース」 20221123

2022-11-23 | Weblog

 

 

あえて、ゆっくり、うごく、うごかない──

忙しければ忙しいほど、あえてのんびり、たたずんでみる
急ぐほど、慌ただしいほど、そこにスキマを開くように

発車のベルがなっても小走りしない
思いついたら寄り道して帰ろう

指定されたコードとは別の無限のコード進行がある
(世界が指定する可動域には限界がある)

苦しいからだがみずからに分泌する処方箋
不安、あせり、いらだち、怒り、自責、あるいは希望

このシグナルを受け止めながら
そして、覚えておこう

どんなに迅速に展開する状況にあっても
プレーとプレーのつなぎ目は存在する

行為と行為、車両と車両をつなぐ連結スペースがあって
このつなぎ目を経由してすべての展開は出力される

切れ目のないようにみえる生の時間のなかにも
経験をトレースするまなざしはキープされている

思考、感情、ふるまいのすべてに
審議し、判断し、選択し、決断し
展開を再出力するスキマが同伴している

ここにあるものは、つねに、ここにないものと連れ立っている
ありうる──存在可能、関係可能
すべては生がたずさえる空隙、スキマにおいて現象する

転換、転位、修正、書き換えが現象する内なる展開域
この生の展開可能の原郷をけっして見失わないように

からだに覚え込ませるように
あえて、ゆっくり、うごく、うごかない

 

 

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「夕暮れ」 20221122

2022-11-22 | Weblog

 

 

 

コレがおまえの人生、アレがあいつの人生

そんなふうにひとこと、コトバでくくられたら
勘弁しろよ、そんなもんじゃねえ、バカヤロー

おまえはそう言うに決まっている

そう言うに決まっているおまえも他人にそうしている
かもしれない、そういう反省が訪れるのかないのか

経験を、人生を、ひとことでくくって始末をつける

つまり、おなじムジナ同士として生きあいながら
ムジナではないニンゲンのつもりで生きている

そんなうるわしいトンマな光景にも夕暮れは訪れる

どう転んでもムジナとムジナ、トンマのまんま
ニンゲンのつもりの感情がせり上がる時刻がある

 

 

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「挨拶@スーパー」 20221122

2022-11-22 | Weblog

 

 


「うっす」
「うっす」
「うっす」
「いえ─」
「Oh、いえー」
「うっす、うっす」
「うっす、うっす」

 

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「否定性──改善要求」20220306

2022-11-21 | Weblog

 

 

風がとても強くて空を飛ぶことができないので
〝空気がなくなってしまえばいい〟と愚かなカラスは考えました。


「強い風が吹くとき、鳥は空を飛ぶことができません」
「うん」
「風が吹くのは空気があるからだ。空気がなければいいのにな、と愚かなカラスは考えます」
「ヘンな奴だね」
「ヘンなのはニンゲンも負けていません。ほかの人間さえいなければ、自由なのにと考えたりします」
「好きなことできるでしょ」
「そう思うでしょ。だけどちがいます」
「どうして」
「自由でありたいと願う感情は、ほかの人たちといることから生まれます」
「そうかな」
「もしほかの人たちがいなければ、自由を求める感情は生まれません」
「どうして?」
「本当は一緒にいたいから」
「イヤなのに一緒にいたいって?」
「イヤっていうのは、ちがうように一緒にいたいということの言い換えだと思います」
「どんなふうに?」
「風が強すぎるとカラスは空を飛べない」
「?」
「ただ風が止んでほしいだけなのに、愚かな心がそう言わせるのだと思います」
「ほんとにバカだな」
「心はときどき暴走します。あるいは、しばしば、頻繁に」
「カラスもニンゲンも?」
「そんな心が集まって戦争を始めます」

 

 

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「敵ー友」図式 20221121

2022-11-21 | Weblog

 

 

 

チーム正義の一員ではない
その意味──

あっちとこっちに分かれた陣地戦でしかない
悪党を悪党と名指しても悪党は変化しない

正義は我にあり(善の独占)

この精神の構造はあらゆる陣地を貫いている
全陣地には敵を殲滅する権利が自生する

正義の全域化と悪党の全滅
めでたし、めでたし、めでたし

どこにもゲインのないクソゲーム

勝つか負けるか、勝てば官軍
All or Nothing、ジャコバン独裁

わかるかな

善はつるんでのぼせあがり
正義はつけあがって滅ぼしあう

陣地内のすばらしさを自賛し安住する
それは敵も味方もない同じ構造の中の普通のことでしかない

世界図式の自明性は1ミリも変化しない

(交渉の論理──世界の自明性に飽き足らない心が見出す)

変化の契機を見出し世界図式を書き換える意志が不在なら
最後は、歴史の反復としてチカラの原理が決着をつけることになる

 

 

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「対話のテーブル」20221120

2022-11-20 | Weblog

 

 

理解の要求ではなく
提示して審議に委ねる

テストする

折伏するのではなく
理路を示して思考と論理をさらす

相互性がイーブンに動く位相
この関係の位相を「価値」とする

それぞれの我と我が発露する
展開しつづける地平へ

おのれを批評にさらし、さらしあう
さらして批評を糧として展開しあう

この相互性が成立する条件──

特権的存在がどこにもいないこと
我と我を包括して生成する第三領域への視線の共有

(その起点、レッスン・ワンとしての自己との対話=共生)

 

 

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「L'enfance」20221119

2022-11-19 | Weblog

 

 

はじまりの時代には善も真理も正義も悪もない

ただ生きる意志がぎりぎりに世界をスキャンする
自分にやさしいものを見つけ心のうちにハントする

不安の解除──逆向きにいえば、そこに生きる主題がある

幼いこどもが享受できる最大の報酬、だっこ、愛撫
抱きしめられること──
存在受容、肯定、承認、全的受け止めの地平を生きること

この地平に生きるとき、応答そして返礼のように
こどもはいつも決まって、ニッコリする

(このことは生涯にわたって変化しない基底的作動かもしれない)

 

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