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語りうる水準で語りあうのではない
わかりあえる水準でわかりあうのでもない
理解できないことがかなしいのではない
理解してしまうことで消えていくものがある
理解のポケットに慌てて収めないことで
未知の未知性、非知の非知性のままに
相互の記述が交わる関係のテーブルがある
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理解できないことの理解できなさ 語りえないことの語りえなさ
知りえないことの知りえなさ わからないことのわからなさ
相互に非知として未知として向き合い生きあうかぎりにおいて
はじめて現われる二つの記述がまじわる位相がある
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みずからの記述の形式に収納できないということ
みずからの分節コード、価値コードによって規定できないということ
ちいさな理解のポッケに収められない存在可能として
相互に認め合うかぎりにおいて
自明性の外側に開かれる生成的な第三の領域がある
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相互にとっての非知、未知を資源として
二重の記述、多重の記述から立ち上がる未生の記述形式があり
相互の記述形式が交わることで生まれ、新たに加えられる〝世界の奥行き〟がある
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関係了解の過度の自明性がゆるむことで開かれてゆく
新たな経験と関係の組織化へ向かう位相があり
相互の非知性、未知性がオープンになることで、
逆説的に、活性を帯びて形成的に動きだす関係的生の位相がある
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理解が行きすぎ、走りすぎないように──
その相互性が閉じられるとき「関係の生」はいったんピリオドを打たれる