ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「詩人のことば」20240229

2024-02-29 | Weblog

 

 

 すると、雲もなく研きあげられたやうな群青の空から、
 まつ白な雪が、さぎの毛のやうに、いちめんに落ちてきました。
 それは下の平原の雪や、ビール色の日光、茶いろのひのきでできあがつた、
 しづかな奇麗な日曜日を、一そう美しくしたのです。

                (宮沢賢治「水仙月の四日」)

      *


まなざしを、ひとが、わがものと感じることができるかのように
「ジブンヲカンジョウニ入レズニ」

おのれの気配や介入の痕跡を消し、素性を伏せ
「第四次延長」のどこかへ姿を隠すようにしながら

刹那に放電する虚数空間のきらめきに殉じるように
「記録されたそのとほりのけしきで」

「イツモシヅカニワラッテヰル」かどうかはわからない

ただその所在を告げる務めを果たすかのように
存在と非在のあわいに瞬く光にまみれ

世俗には異端に等しい無償のたわむれにおいて
ただ受け取るものの側に委ねるように

再帰するまなざしの回路を封じ、それ以上の言及を禁じ
ひとり、仮構された非人称の作法に従っているようにみえた

 

 

 

コメント

「非線形」20240228 20230918

2024-02-28 | Weblog

 


 Creative thought must always 
 contain a random component. (G.Bateson)

 

あふれこぼれていく
かならずこぼれていく

世界は決して教えない
だからみずからに教える

忙しければ忙しいだけ
疲れたら疲れただけ

あふれ、こぼれる、水面のかたわらに
接続をほどいてたたずむ

情動の奔流が流れている
しぶきの先にことばが舞っている 

 

 

 

コメント

「エコロジー」20240227

2024-02-27 | 参照

               

 

  はだかのサルとして感じ、
  そして考える人として歩みましょう。
 
   ──槌田敦『エコロジー神話の功罪』

コメント

「妄想のプラクティス」20240227

2024-02-27 | Weblog

 

 

 


 みえない関係が
 みえはじめたとき
 かれらは深く訣別している  (吉本隆明「少年期」)


その先へ──

いつも遠くない場所にいることを感じて生きながら
近づいた途端、すれちがいざまに最後のことばを交わす

それで終わりにする作法ではない
そこに加えるべきことがある

それをはじまりとして耕せる地平はある
そう感じるなら、ひとりの百姓として
愚直に、ひるむことなく、それをしなければならない

昔、男が語っていた──
絵を描くとはこの世に表紙につける仕事ではないんだぜ

ほんとうに試されるとはそういうことなのだろう

 

 

 

コメント

「ちがい」20240226

2024-02-26 | Weblog

 

 

浮かぶかぎりの単語を並べてみる

矜持
誇り
薄っぺら
諧謔
ユーモア
ペーソス
知的

憤り
苛立ち
正義
権力
本質
若者
本音
孤独
若き日

俺にとってすべて欄外の用法が並ぶ
方便として使うことはもちろんある
けれどそれ自体で完結した意味として使うことはない

ことばが表示する自明性への依存を感じる
いいかえると、一種の〝閉じ〟を感じる

おそらく〝退治したい敵〟がいるのだろう
依存は敵と味方をわける構図の自明性と結びついている

敵にきびしく味方にあまい、言いすぎだろうか
ふたつを分けるライン自体を主題とする記述はみえない

善悪・正邪・真偽、すべてデフォルト化した一つのゲームに収まる

おそらく本質的なちがいがそこにある気がする
わけがわからないかもしれないが、別にかまわない
そこに留まって正しさを競うつもりはまったくない

ただ記述がめがける位相はまるきりちがう

相互のちがいをマテリアルとして相互に開かれる位相
この仮構された第三の位相を開くように記述したい

そのことを確認する大事な機会を与えて頂いたことはたしかだ

 

コメント

「情動のスペクトラム」 20240225

2024-02-25 | Weblog

 

 


不安と警戒が覆うとき
おそれ、怒りが思考を奪うとき
配慮へ向かうスペースが消えていく

かなしみが覆うとき
世界は懐かしく、はかなく
憧れのように色づいている

ありがとう

季節が入れ替わるように
たった一つの言葉に
心は柔らかく変化する

光と影が合流して混じりあう地点

すべては視覚の曲率にしたがうように
心は瞬き、情動は分光され
世界のかたちはそのつど変幻していく

 

 

コメント

「真理概念の修正、Luna Tucumana」20240224

2024-02-24 | Weblog

                                                                                Romance de la Luna Tucumana -  (youtube.com)

                                                                                Atahualpa Yupanqui - Luna Tucumana (1957) (youtube.com)

 

 

連結ルートを求めるなら
つぎのような問い方は控えたほうがいい

だれが真理に近いか、遠いか
だれが真理の道を歩んでいるか
だれが真理をつかんでいるか

こうした競いあう問いをすべて横においたうえで
つまり、いと高き天上にまします真理概念を廃棄して

(引き離し遠ざける用法はもういい)

天上ではなく地上において
高みではなく深みにおいて
知ではなく非知的作動において

いまここにおいて、われ知らず
シンクロするものを手がかりとして

いかに共通のことば(連結子)を耕し、産み出せるか
そう考えたほうがいい、きっと

 

 

 

コメント

「プロレスラー」20240223

2024-02-23 | twitter

                                                                                      【新日本プロレス】永田裕志・鈴木みのる 40年の歴史(youtube.com)

                                                                                      #njwtl 5th match Backstage 12/7/23 (with Subtitles)|(youtube.com)

 

 

真理、正義、本質、とかなんとか
ユーモアとか、ペーソス、とかなんとか
知性反知性とか、人情派、とかなんとか

使えるなら使っていいけど、使える? (鈴木みのる)

 

コメント

「いなか」20240223

2024-02-23 | Weblog

 

 

 

よかよか、ここじゃかまえんでよかとよ
よかたいって、どこまでよかとですか?
とことんたい、おまえは礼儀がすぎっと
なあんも考えんでよかと
こだわりなさんな、あせりなさらんな
だんだんな
なんさま、遠慮はいらんと、呑もかね

 

 

コメント

「毒の原理」20240223

2024-02-23 | Weblog

 

 

毒を吐くためには毒化しなければならない
毒が全身に回ってはじめて吐き出すことができる

ressentiment

それが滅びの道に踏み入る分岐をつくるかもしれない
純度が高いほどその可能性は高まるにちがいない

解毒しないかぎり、毒は残留しつづける

ほんとうに知恵あるひとは決してしないことだろう
むしろ毒を浴びることを選ぶのかもしれない

 

 

 

 

 

コメント

「馬頭琴の物語」 20240222

2024-02-22 | Weblog

 

 

 

モンゴルの羊飼いの少年には愛する白馬がいた
白馬を横取りしようとした王様はそれが叶わず、怒り
家来たちに白馬を殺せと命じ、致命傷を負わす

白馬は瀕死の状態で少年の家にたどり着き、次の日息絶える
癒しようのない深い悲しみ

少年は夢の中で白馬に出会い、白馬に告げられる
ぼくのからだを使って楽器を作ってください

(モンゴル固有の楽器、馬頭琴の由来を告げる物語)、

少年には一方、羊を屠って食む日々の暮らしがある
遊牧の民の食を満たし、衣服、ゲルの用材として飼われる羊
そうしなければモンゴル平原では生きて行けない

白馬との友情と羊を殺して営む日々の暮らし
現実とロマネスク、二つは一つ
ふたつの圏域を同時に生きる両生類としてのヒト

モンゴルの少年も、両性類の一員として
どちらがどっちではない、二つの圏域を等しく生き抜いていく

 

 

コメント

「月を照らす」20240221

2024-02-21 | Weblog

 

 

 

ひとり歩みながら、教唆を振り切り
はじき返せないと感じるときも

光の通り道を空けておくことはできる

帰らない時間 とどかない場所
どこか遠くへ設営された価値の本体
そこから逆算されて生きているのではないぜ

ヒトにはヒトの翼があり
羽ばたく大地があり
翔け上がる気圏があり
ひとりひとりの呼吸のしかたがある

翼を動かす中心が月を照らしている

すべては月を照らし返している光
なんにもない夜空をきらめかせる光源に由来する

「あれが天の川、カシオペア座の隣によだかの星がある」

月は照らさない、地上の光が照らしている
おまえがいるから月は月でいられる

おまえだけのきれいな月があり、
だれかが照らしている月がある

翼が傷つき壊れてしまわないように
月を照らす光源を動かしてみな

 

 

 

コメント

「知のスペクトラム、展開本質」20240220

2024-02-20 | 参照

                             Atahualpa Yupanqui - Zamba Del Grillo (youtube.com)

 

 

 

──グレゴリー・ベイトソン『精神の生態学へ』佐藤良明訳

一口に進化思想といっても、それは実に幅の広いものだ。
その豊かな人知のスペクトルに対して、
誰が正しく誰は間違っているという姿勢で臨むことは愚かしく醜いことだ。

「生存」の問題に対しては、両生類や爬虫類のような答えの出し方もあり、
哺乳類や鳥類のような答えの出し方もある。
どちらが正しく、どちらが間違っているなどということはない。
ファンダメンタリストたちと論じ合うことで、
頭のなかが彼らと同じくカラッポにならないように注意しよう。

聖書に言う──
「他の人先に労し、汝らはその実にあずかるなり」(ヨハネ伝第四章三十八節)。
ここに事の真実がある。この一節は、単に謙虚の必要を説いているだけではない。
われわれ生命体が、好むと好まざるとにかかわらず、
そのなかを生きる他はない巨大な進化プロセスの姿を、
この一文は的確に捉えているのである。

 

 

 

 

コメント

「結晶作用」20240220

2024-02-20 | Weblog

 

 

 

 二人の人間の欲動的相互依存は、
 対象自身の私的利害の認識が不必要な状況を作り出す。

 私の仮定は、自我とイド(エス)という用語を使えば簡単に述べることができる。
 現実感覚なき古型の愛はイド(エス)の愛であり、
 それはそういうものとして生涯存在しつづける。
 一方、社会的な、現実に基礎を置く愛の形は自我の愛である。

    ──アリス・バリント「母への愛と母の愛」中井・桝矢訳

     *

どんなことばもかけ引きもない
まなざしを交わすだけで起爆する

予備動作は完了している

考えるまでもないホットライン
ふたりだけが知る回路が開かれる

感性、思考、経験、肉体、ロマン、欲望
すべてを織り合わせる多元方程式

根源的な解法がただ一つの〝解〟を告げる
砂糖は一瞬に溶けて全項が連結する

ノイズと乱流に満ちた世界は臨界を超え
すべてを引きかえても厭わない結晶作用が現象する

 

 

 

コメント

「Cat Stevens @上中ハンド部」202401219

2024-02-19 | Weblog

                      Morning Has Broken/Cat Stevens - YouTube

 

 

まだ信じていた、疑う理由はなかった
どこかにあるきらめきを信じながら聴いていた

 

コメント