ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「月の呼吸」  20210317(20221031)

2022-10-31 | Weblog

 

 

決めごとに埋まり、分別に立て込み
諭し、教唆し、命令する世界は知らない

教えるちからも意志もない世界から
ただ一つの光源が失われないように

ひとり歩みながら 教唆を振り切り
はじき返せないと感じるときも

光が駆けてゆく方角へ道を空けることはできる

帰らない時間 とどかない場所
そこから照らされて生きているのではない

すべては月を照らしている
なんにもない夜空を煌めかせる光に由来する

おまえのことだ

 

 

 

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「両生類」 20221031 

2022-10-31 | Weblog

 

 


 めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬ間に雲隠れにし夜半の月影 
               
                                ──紫式部(『新古今集』1499)

 

現実と夢、リアルとロマン
ふたつの気圏を等しく生きている

両生類、ヒト

永遠、夢、憧れ、ヘブン、パラディ
仮象のイデアに心はリンクする

希望を語るために
悲しみをつづるために

語りえないもの
とどきえないもの
かたちなく消えていくもの

語りえなさに耐え切れず
すがるように仮象のイデアが呼ばれる

ふたつの気圏は混じりあい
溶けあってすみかをつくり

地上への着生を拒むように
リアルでもなくロマンでもない

すこし浮き上がった位相
そこに生の波形を描いて生きる両生類、ヒト

おれとおまえがいる

 

 

 

 

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「Backstage」 20221030

2022-10-30 | Weblog

 

世界を開示する唯一つの乗り物
世界を時間化する記録係

Backstage──他者としての自己、からだ

日々、刻々、絶えることなく
世界を分節し、スキャンしている

肌ざわり、色づき、奥行き、変化
音、響き、柔らかさ、硬さ、刺さるトゲ
冷たさ、熱さ、温もり、衝迫、弛緩
緊張、不安、ゆらぎ、メモリ、予期のエロス

快-不快 価値あり-価値なし
一切は情動に染まり、メッセージが届けられる

この存在へ向けるまなざし、ことば
Backstageとの終わりのないダイアローグ

「共生関係」(アレント)

この共生関係がすべての展開の起点として動いていく

 

 

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「エンジェル」 20220429

2022-10-29 | twitter

 

 

チャオ 

どんなに苦しくても、悲しくても
やけくその気分でも、おとなだからね

通りすがりの天使にはウインクする
軽めのウインク

「親善天使」
「どこの国の?」
「この世の」

そんな感じかな

生まれたての、乳母車に乗った
天使くん?天使さん?

どうでもいいけど、食べちゃうぞ
うそです、たくさん生きてね

悪魔にならないでね
そんなわけないか

たいへんだけどさ
いろいろあって

わかるよ

なんて生意気はいわない
そんな偉そうなテイはなしだ

わかんないことだらけ
わかることだけわかる

先輩づらしてバカづらして
スマイルは気色悪いよな

ところで、どう生きたい
どんな社会に暮らしたい?

そんな質問もいらないな
顔にちゃんと描いてある
はじめからわかりきったことだよね

あ、ひとつだけ覚えておいて
忘れるところだった

お願いですけど

余裕をかますだけのボケナス
絶対にそんなおとなにはならないでね

たとえばこんな感じ──

正義とか真理とかの座席があって
だれよりも先に着席している

着席したままなんの疑いもなく
ほがらかに呼びかけてくる

「こっちの水はあ~まいよ~♪」って

いちばん大事なものは自分たちだけが知っているって
特等席を独占したつもりらしいのね

ボケナスの眼には世界はこんな風に映っています

座席から遠いほどバカ面アホ面が並んでいる
世界はおバカのグラデーションに見えている

ボケナスの遠近法と言います

一つの絵に世界を閉じ込め、人間を閉じ込め
ボケナスの世界を作り出してきたものです

ご本人たちは無邪気に気づかないけれど
争いの種をまき散らかしてきた張本人たちです

覚えておいてください

かんちがいにもほどがあるってことです
そんな座席は思いきり蹴とばして生きてね

チャオ

 

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「シェアハウス」 20221029

2022-10-29 | Weblog

 

 意識は発生時からすでに対話的なのです。

 ひとつの意識というのは、形容矛盾である。
 意識は本質的に複数からなるのである。
 意識には複数形しかない。

 わたしは、最初、他人をとおして自分を意識する。……
 からだが母の胎内(身体)ではじめて形成されるように、
 人間の意識も他者の意識につつまれて目覚めるのである。

              (バフチン、桑野隆訳)


意識の複数性──シェアハウスとしてのニンゲン

さまざまな出自、資質、主張をもつ住人たちが暮らしている
融和し、敵対し、無関心でもある入り組んだ関係の綾取り

ハウスを主宰するホストホステスとして、ひとりひとり
君も僕も誰もが等しく力量を試されている、そう言えるかもしれない

もてなしの作法、技術、話法、ルール、問題解決の公準
すべては主宰者が描くハウスの世界像から導かれていく

 

 

 

 

 

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「Spring、2021」20221028(20210521)

2022-10-28 | Weblog

 

 

忘れていることがある

ある感情、ある感覚を射止め仕留める意志
疾走する感覚

ことばの包囲をほどく
やわらかな不逞な心

滅びの道を捉えるまなざし

世界構成の強度、密度の必然性
同時に、そのまったき偶有性について

ふたつのことを一つとして
生成の原郷に居つづけること

いいかえることができる

それだけでつながっていると信じられた
すべてを包括する根本コード──生の意志

社会体の先行をゆるさない、すなわち
ことばから逆算して生きる心への死刑宣告

ことばに誘拐され籠絡されない
ことばを使い倒し、結審をゆるさない展開本質

なによりインターミッション
第三の領域を開く意志と覚悟

 

 

 

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「よき感情」 20221027

2022-10-27 | Weblog

 


 情動、衝迫、欲求、エロス的力動、意味、価値、強度、
 時間性、空間、そして現前地平、これらのことは同じ出来事の、
 すなわち始原的世界分節という出来事の諸側面にほかならない。

               ──竹田青嗣「本質学2」48

  
ある感情はあるとき、関係の死を裏書きするように
切り捨てるように、記述を確定するように動いていく

貧しく、やせ細った、悲惨な世界の姿を証明するように
それにふさわしいコトバだけを選んでみずからを強化していく

この始原の地平に励起しているもの──
世界の完全なる砂漠化、自死のエロスに魅せられた感情

コトバたちを、ある必然性において、その逆の方角へ──

新たな「ありうる」を導き、ささえるものとなるように
いま、ここに、つねに見出されるべき「よき感情」がある

「価値あり-価値なし」を告げる始原的な世界分節のあと
そこに新たな始原をつくる〝ことば〟を連結するように

 

 

 

 

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「セッション」20221026

2022-10-26 | Weblog

                                                    Keith Jarrett Trio - I Wish I Knew - YouTube

 

 

「自己」という資源を惜しみなく投下する
そうすることの必然を導く地平へ

世界をつづる視覚と視覚が重なり
そうしてはじめて光が灯される

転調、変換、移行、変異、生成
そこでだけ生まれる第三の視覚がある

経験のモードが次々に変化する
変化しながら連続的に再投下されていく

使えば使うほど
味わえば味わうほど
奏でれば奏でるほど

第三の視覚が言葉の包囲をほどき
世界のしばりが砕かれていく

それを望むかぎりにおいてだけ

互いが互いのまま出会い、交わり
生成するセッションの地平へ

無限性と呼ぶにふさわしい
そういう関係のかたちがありうる

 

 

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「ケモノ道」20220704

2022-10-25 | Weblog

 

 

見渡せば隙間なく立て込んでいる
立て込み過ぎている

視覚は閉ざされ
声はかき消され
息切れしている

走らされ、行きすぎ
すれちがい、やすやすと結審へ向かう

見え透いている
見え透きすぎている

足りない、どこにもない

押し込められ、隘路に身をよじり
うずくまるケモノがいる

笑わせるな

おのれのケモノが告げる
ケモノの森が告げている

別の眼とからだと道を用意して歩け

 

 

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「本山稲船@名古屋」20221024

2022-10-25 | Weblog

                        SEASON  門あさ美 - YouTube

 

 


「それにしてもせつなくない?」
「いきなり?」
「いけない?」
「いいのよ。せつなくて」
「当然でしょ」
「そうかしら」
「しっかりしなよ、なんてね」
「わかるでしょ」
「せつなくて、苦しくて、バカバカしくて」
「楽しいこともなくはない」
「でもさ、泣きを入れたいときだってある」
「そういう相手がいればね」
「いるよ。みつけな」
「いなくったっていい」
「それはそれでということで、だってさ」
「いるよ。ほんとはね」
「腐るほどいるかも」
「見逃して泣きをみるなよ、なんてね」
「かっこつけるからややこしくなる」
「そうね。ややこしい」
「ややこしさにくじけない心で行こう」
「うん、だいじょぶかも。でもな」
「そうであれかし、とかなんとか」
「結局ナントカとか、結論出すボケを蹴とばしとこう」
「まずはね」
「そういう必須の面倒な作業もあるな、たしかに」

 

 

 

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「メタフォリカル──〝自己〟の外部化」20221024

2022-10-24 | 参照

 

 

──G・ベイトソン『精神の生態学』佐藤良明他訳

アルコール耽溺者の「プライド」は、飲酒への耽溺を自己の外側に置く。
〝自分〟が〝飲むこと〟に〝抵抗〟するというのである。

アルコール耽溺者の「自己」は、そのプライドゆえに、
自分が経験するところを自分から締め出していく。
「自己」を瘦せ細らせる、これは実に確実な方法である。

 

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「ライン」 20211025

2022-10-23 | Weblog

 

 

ことばにすることしないこと
することしないこと
分別が引いたラインがある

おとなだから

そうですか、そうでしょうね
でもそれだけじゃダメなんだよ

行き先は決まっている

スーパーフラット
のっぺらぼうの方角へ

削りとられ、こぼれていく
おとなの自覚がしでかす

ほんとうに出会うまえに見逃す、手放す
紙一重のゆらぎ、刹那のまたたき

永遠に出会えないものをつくり出している

ことばは据え膳のように用意されている
決めごとのように世界を包囲している

出会えないものに出会うまえに
見切られるこの世のきらめき、光がある

バカすぎる、そう言っておこう

引きなおすために解除しておく
絶対にそうしたほうがいい理由と時がある

 

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「絵を描く」 20220513

2022-10-22 | Weblog

 

 


分別をこすり合わせて生きあう
前提を埋め込んでせめぎあう

そうではなく
分別と前提が引いたラインが教えない外がある

解を求めて言い争う世界の口を塞いで黙らせる
そうしてはじめて開かれる位相へ

どんなに世界が確定された姿で訪れても
俺たちは未決の空域を携えて生きている

筆を入れて世界の姿をほどき直すフリースペースがある
しばしば忘れられ放置されたフリーハンドがある

だれかに求められたモチーフ、絵ではない
居場所を指定する世界を黙らせたうえで始められる絵がある

分別が別の分別に入れ替わっても何も変化しない
分別なんぞはじめから問題にならない領域がある

「よくできました」

知のフレームに収まらない
そんなセリフが口出しできない場所へ

はじめからそこになにかがあるわけではない
そうすることが偉いわけでも愚かであるわけでもない

ただそうしなければ大事な何かが涸れてしまう
そこから水を汲むように描いて生きたい心がいる

そこで会えたらいい──そんな提案だったと思う

 

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「連結装置」20221021

2022-10-21 | Weblog

 

 


 暗きより暗き道にぞ入りぬべき はるかに照らせ山の端の月
                  (和泉式部『拾遺』)

平安朝、跡かたなく砕け散って消えた千年はるか彼方、
一人のおんなの歌が山の端の月のように今を照らす

外にさがしても何もない
吹きさらしの風が吹いている
 
 ふるさとは語ることなし (坂口安吾「碑文」)

連結装置、心のうちがわだけに現象するものとして
あの歌があって、この歌があって、未生の歌が懐胎していく
この連結の連鎖のいとなみに加わることだけができる

 この憧憬は生の喪失の感情であって、失われたものを生として、
 かつて生に親しみ深かったものとして認知するからである。
 この認知はそれだけですでに生の享受である。
    (ヘーゲル『キリスト教の精神とその運命』細谷・岡崎訳)

このいとなみは通時的であると同時に共時的でもありうる
享受をわかちあう友、それを見出すさいわいが現象することがある

 

 

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「ふたつの圏域」20221021

2022-10-21 | Weblog

 

 

生の享受可能性──美・関係のエロス
生の共生可能性──倫理・関係のルール

ふたつの圏域が交わる地平に人間世界が展開する
この地平において動かすことができない原理がある

美と関係のエロスに世界が沸き立つとき
倫理と関係のルールはそれを支えるように寄り添っている

美と関係のエロスが枯渇するとき
倫理と関係のルールは存在意味を失い
共生の地平は荒廃していく

享受と共生

ふたつの圏域のこの連結関係、先行関係は逆転することはできない
逆転可能と考えられるとき関係世界は倒錯に陥り、荒廃の道を歩む

関係のルールの独断先行を許すあらゆる全体主義がそれを証している
(生の享受を切り詰め、なぎ倒す、倫理とルール優位の集合的熱狂の嵐)

二者関係、三者関係、そしてあらゆる関係の位相において
この原理は動かすことはできない

共生可能性を支え奉仕する倫理と関係のルールの生成
この生成は生の享受が求める根源的要請を起源としている

「享受の共生」(共和)を導く合意項としての倫理、関係のルール

倫理と関係のルール、そして善、正義と呼ばれるもの
(社会体にさまざまに組み込まれた関係規定)
その存在理由と本質が見失われ先行的に屹立するとき関係世界は枯れてゆく

 

 

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