夏の花３

1995 バンザイ・マジック

手当てされない苛酷な現実。
累積する空虚と顕現するブラックホール。
吸い込まれる一人称。

降臨し充填される神格、
あるいは尊崇の超人称。

転調のダイナミクスが点火され、
一発逆転照らし出される、
目の眩む全円的アナザーワールド。

身体化するクリアカットな解釈コード。
糾合され整除される情念の有象無象。

「撃ち方止め！考え方止め！」

絶対休戦ラインの出現と完全委譲される一人称。
すなわち、無人称化する一人称。

代入されるＡあるいはＢあるいはＣ。
その無限のバリエーション。
その無限に上げ底された誘引。

一気呵成、一挙的なモビライゼーションと、
習合する俗で夷なるプチな神々。

澎湃と湧出する情念のベクトル。
自己放棄と拝跪と善き心の大量発生。
ビルトインされる沸騰への回路。

俗塵を洗う忘却の津波と、
満ち潮のような高揚。
同伴する叙情とロマネスク。

懺悔と回生のコンフェッション。
凝集するエネルギーと、
幻視されるクリスタライゼーション。

九回裏逆転満塁サヨナラのウルトラXの顕現と、
超越のラディカルリズムの自動展開。

苛烈の自己愛が触媒する信仰。
自動化された超越へのメカニズム。
無限の寛恕の包摂を前に、
膨れ上がる神民的レプリカントの自尊と陶酔。

白熱するマジカルな時制の弁証。
堰き止められる時間と記憶のメタモルフォーシス。
改竄され補填され偽装され、
特権化される過去と現在と未来。

やせ細った実存への呪詛と悔恨と憎悪を背景に浮かび上がる、
仮構され先鋭化される殲滅の仇敵のシルエット。
反転して膝を砕かれ駆逐される一人称二人称の地平。

加圧され分岐する親和空間と憎悪空間。
確定され絶対化される闘争ライン。

「みずからをいと高きところにおかざるべきや」

極大化する危機と高揚、そしてピューリズム。
天啓としての布教へのミッション。
煉獄への挺身とバトルへ向けた霊魂の完全武装。

無限展開へのスイッチが入り、
ここで、バンザイ三唱。

夏のギャルソン