ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

2006 believing&unbelieving その9

2006-12-10 |  conversation
「個人をつかまえて泥を吐けといったやり方はほとんど意味がない?」
「いろいろ個人的な野心があるとしても、それは枝葉でしょ」
「担がれる神輿は、悪党だろうが善人だろうがどうでもいい」
「ホントは誰も問題にしていないかもね」
「そのくらいの現実感覚はみんなもってる」
「個人は条件や前提次第で、悪党にも善人にもなる」
「むしろいい人だったりとか?」
「時にはね」
「ただ、出来上がったシステムは自己保全とか拡張の方向に自動的に動く。そこを忘れると問題がどんどん部分化する」
「一方には、全体的としては疑念やら不信感があるでしょ、どこかに悪い奴がいるはずだという」
「停滞感とか閉塞感の?」
「うん」
「旨い汁を吸っている悪代官がいるとわかりやすい」
「わくわくする」
「元を叩けば何とかなるというね」
「その元をみんな探しているような気がする」
「必ず悪玉がいるはずだという刷り込みね」
「ヤマトの伝統かもしれない」
「何?」
「水戸黄門様が好きでしょ。これは過去形なのかな」
「悪事を懲らしめるヒーローが好きで、そのためには物語の展開上、悪人は文字どおり必要悪になる」
「そうすると、情動も発動しやすい」
「あの野郎とか」
「感情が焦点を結ぶと思考が整理される」
「生理的に、判断が宙吊りの状態には耐えられないからね」
「そして実際に、小さな悪党はいろいろと見つかる」
「一方では正義の代弁者という座席も用意される」
「筋書き通りに誰かがそこに居座って、陣営のせめぎあい方式で物語が展開し始める」
「役者が揃って見世物が面白ければ、少なくとも退屈は埋まる」
「そして、アンタはどっち側に肩入れするのという構図ね」
「思考停止?」
「逆に、そこにこそヤマト民族の駆動原理のヒミツがあるのかもしれない」
「モビライゼーション?」
「まさに。どの時代にも活用されてきた単純化ソフト」
「事態が複雑だと、ここまでしか受容できないという限界がある」
「複雑すぎると何が起きているかわからない」
「それだけじゃなくて、ぐったりするでしょ。脳ミソがフリーズする」
「問題を考える上では、全体の構図は単純化されるほどいい」
「一方には、単純化のプロフェッショナルが大勢控えている」
「メジャーのメディアは、人材もスキルもノウハウも資源は腐るほど抱えている」
「腕利き、手練がいて、それはそれで見事な芸を披露してみせる」
「結果、利潤も上がる」
「しかし利得の配分は一部のセレブやセレブもどきたちだけで、下請けはボロボロに叩かれる」
「誰もが知っている筋書きだ」
「でも、それは入口にすぎない」
「ホントはね」
「しかし事態はどんどん進行して、既成事実が積み上げられていく」
「出来上がった構図は修正もされにくい」
「最後にはドラマのカタルシスだけが残る?」
「あるいは無力感だけが残るか、忘れ去られる」
「ただ、そうしたネタは次々にみつかるから」
「いわゆる仕込みもある」
「リークネタとかね」
「現場周辺では了解済みのはずのネタを、あたかも新発見したかのごとく?」
「そう。カマトトぶって告発するというやり方ね」
「高等学校の履修単位不足問題?」
「その類。便利屋の大手媒体群がそれを取り上げ、同じくカマトト的に大々的に販促キャンペーンを展開する」
「これまたカマトト軍団のコメント芸人が大真面目で義憤をぶちまける」
「一方で、事件当事者たちはひたすら恐縮する以外ないという展開か」
「自殺した人も出たね」
「狙いどおりでしょ」
「仕込みの目的は何だろう」
「陣営に有利な方向に、法律改変や立法環境を整備したいという意図かな」
「今のところ権益拡大という動機は一番わかりやすいね」
「ウラにはおよそソロバンでは追いつかない複雑なコスト計算のプロや、知的軍団を形成するコンサルティングファームの類が大勢控えている」
「何が自分や他人のホントの幸せかはわからないにしても、必要条件についてはある程度合意があるということね」
「お金?」
「それをコアに、環境整備に努めるべき仕事はたくさんある」
「それだけで手持ちの時間が終わっても?」
「究極的には、誰もそれを否定できるホントのホントは語れないでしょ」
「しかし、それがめぐりめぐって何に帰結するか」
「ある意味、それは自然なメカニズムでしょ」
「うん。きわめて自然な利潤追求の努力ともいえる」
「正義や倫理やモラルを要求できないということか」
「それも相対的なものかもしれない」
「現実にはそれらは付帯事項で、利用可能なツールの一種になっている」
「看板で勝負してもダメか?」
「実利的なものが動かなければ、子供のケンカでしょ」
「逆にいえば、子供のケンカは野蛮だけど純粋かもしれない」
「すれっからしのオトナにすればお笑いネタ」
「一方では、それは使える道具である限りにおいてはゆるがせにはしない」
「そうね」
「ただ、ベタベタに理想や倫理やモラルを叫ぶ連中は見透かされている」
「情に訴えるようなことはできるけど、食い扶持を確保してその最大化を目指す行為は止められないね」
「情も一つの社会的政治的ツールとして機能することを、ちゃんと織り込み済みの連中が一部にはいるということか」
「一杯いるでしょ」
「詐欺師といわれる連中は一種の心理学のプロだね」
「ヘタな学者よりよほど実効的な論理を使っているのはまちがいない」
「結局、問題の複雑さから何が帰結するのか」
「何が帰結して、何が損なわれ、誰と誰が喜ぶのか」
「それがわからない、ということが本当のリスクかもね」
「リスクが誰と誰に向うのかということもある」
「全体の解明を期待されるセクターや個人は、ほとんどがステークホルダーの一員という事情もある」
「芋づる式にぜんぶつながっているとか?」
「ただ、思惑どおりに進むかもしれないけど、誰もがすべてを見通しているわけじゃないでしょ」
「短期的なソロバンの集合が、ゆくゆくどんな結末を迎えるかわからない?」
「ただ、その負債はいつも下々が支払うことになっている、ということはほぼ確実だね」
「そこで何がポイントになるかな」
「踊らされないために?」
「うん。あるいは踊ることでどんな効果が生まれているのか」



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2006 believing&unbelieving その8

2006-12-07 |  conversation
「ご本人には明確なビジョンはないかもしれない」
「あるとしても、すべて外装の話でしょ」
「憲法、軍事、教育、治安、エトセトラ」
「パンツの履き替えか」
「世のため人のためという前置きはある」
「ビューティフルランドというタテマエ、看板ね」
「周囲の利害関係者たちの思惑が交錯して、いいからオマエやれという形で前に押し出されたとか」
「あくまでもパペット?」
「うん。個人的な志向はいろいろ詮索できるけど、メカニズムとして機能する部分から見ないと間違うかも」
「いろんな計算のたまたまその真ん中に立っていたということか」
「これは使えるということでね」
「見栄えがいいとか、汚れが目立たないとか、血筋がよろしいとか?」
「露骨にいえば、ソロバンを弾いてプラスという連中が大勢いるということでしょ」
「権益?」
「たぶん。軍事、教育、治安、情報にからむあれやこれや」
「具体的には?」
「どうでしょ。各業界についての知恵が要るかも」
「それで、むしろ全体を束ねる道具が欲しいということか」
「マネジメントする側が?」
「そうね。使えるシンボルが不在という状況に対する焦りがあって、その構築を急いでいる」
「自由競争、優勝劣敗、弱肉強食、自然淘汰もいいけど、アナーキーな世界ではコントロールが効かなくなる」
「そこで、汎用性のある大義とか理念とか屁理屈が必要ということか?」
「それがあればガバナンスがずっと効率アップするでしょ」
「それにしても浮きに浮いたシンボルだね」
「歴史の反省も理想もへったくれもないわけだ」
「使えるものなら何でもいい」
「一方では不安や危機感を煽りながらね」
「いろんなフックがある」
「そのためにあらぬ雰囲気や言説が量産される」
「太平洋の向こうの親分と同じ手法を踏襲しているわけだ」
「モノマネは得意だから」





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