ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「ホメオスタシス」(参)

2019-11-28 | 参照

                    https://www.youtube.com/watch?v=fVuCviFkqNw&list=RD9FRCDDer6RQ&index=4

 

──G・ベイトソン『精神の生態学』(佐藤訳)より

「変われば変わるほど同じまま」とフランスの諺にいうところだが、生物学的・生態学的システムを見て行く場合、その「逆」の方が的を射ているようだ。すなわち「同じであればあるほど、多くが変化している」。ある変数の恒常性を、他の変数が変化することで維持すると言う事だ。 

多数のホメオスタティックなループが相互に連結するシステムでは、外界から衝撃による変化が、システム全体に時間をかけて波及していくことになる。ある変数v1の値が変化しそうになると、それを食い止めるために、他の変数v2、v3、が動く。しかし v2,、 v3・・・自体、ホメオスタティックな制御を受けていたり、他の変数 v4, v5・・・と絡んで動くかもしれない。さらにこの第二次のホメオスタシス機構のなかで、v6, v7・・・が動くかもしれない。 

この変化の伝播現象を、もっとも広い意味における「学習」の一種として捉えることが出来る。この広い意味での「学習」の特別なケースに、「順化」と「耽溺」がある。この二つの例は、外的衝撃の効果をホメオスタシスによって無化しようとして、変化をつぎつぎに先送りにしているうちに、システム全体の安定が、最初の衝撃に依存するようになったケースとして考えることができる。 

例。禁酒法の衝撃を受けたアメリカ社会のシステムは、アルコール供給量を一定に保つ方向へと反応し、密売業的変化を経てあらたに安定したシステムから「禁酒法」を抜き去ろうとした時、密売業者はもとより、警察からも抵抗があった。これはシステムの道理である。

 

コメント