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なぜか──
どこにもない合流点があるのか
直観は疑えなさで訪れていた
どこにもない
なければそれをつくれ
被害者ではない、
罪を償ってもらうわけではない
ゴミ掃除してきれいに洗い流す
それが願いではない
そのあとに生きられる位相が先行して生きられなければ
すべては無残な出来事として残ることになるだろう
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悲しみを供犠するひとびとのために
おまえはおまえだけの勇気にになわれ
そこに滅びていく者のひとりとして
出ていかなくてはならなかった
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否定したい、否定しつくしたいと願ったもの
自動化された言葉の応報
決めつけられるまえに決めつける
削られるまえに削りあう命のやりとり
自陣の加点と敵陣の減点をよろこび合う
全体収支が変化しない加点と減点のクソゲーム
なによりも供犠しあう心
切り刻み切り刻まれあい、看取り看取られ
儀礼に従って手を振り、手を振られ
墓場へ安置されつづける心のかたち
*
みいだされなかった不幸が幸福なら
希釈された対立が平和なら
故郷の夕暮れは
忘却の愛撫に深く抱かれている
意味のわからない弔いのことばに
いっさいが委ねられるように
賄いの台所から湯気が立ちのぼり
星々のきらめきに祝福されるように
木々にとばりが落ち
子どものおまえは小さな膝に傷をつけて
涙をぬぐってもらうために
泣かされた相手の素性を語るために
いつでもここに帰ってくるのだろうか
*
異端であること、不逞な心が告げる
世界に見つめられるまえに見つめ返す
幼い世界のまなざしに教えてあげなくてはならない
切り刻まれ、看取られるまえに
ほんとうにひとりひとりが出会うために
*
そこは誰も知らない
知らされないその土地は
おまえの彷徨が導く場所に限られている
じぶんがここにあるということ
それだけのために
おまえの言葉ははじまっている
風景ははじめから
おまえと和解しなかったから
おまえは風景の知らない影にしめつけられている
おまえはおまえの不幸に祝福され
風景に傷を入れるために街に入る
そこでおまえは
永遠に訣別を知らない者にならなければならなかった