ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

2010 エージェントのゆくえ4

2011-01-30 | Weblog
「繰り返せば、超越性への志向が持続しています」
「接近不可能。表象不可能。にもかかわらず根源的な志向性が持続している」
「由来を問えないデフォルトと云えます」
「そこには善いも悪いもない?」
「ええ。選択の問題ではありません」
「善悪の範疇を超えた、いわば存在に随伴する不動の条件節」
「システムとしての構造的な問題です」
「そのなかで生きるほかない」
「構造的な初期設定を改編することはできません」
「ところが在り方は分岐する」
「もちろん」
「展開はポジにもネガにもなりますね」
「たとえば?」
「超越的なるものへの帰依ということも起こります」
「起こります」
「なぜでしょう?」

「環境との応答関係はつねに変化しています」
「つまり?」
「志向性と環境の関係がバランスするように応答の強度や構成が変化します」
「それで?」
「例えば生存の危機に直面すると、システム内のストレスが亢進します」
「それが何かを呼び寄せるのですか?」
「ストレスへの耐性が不足するほど、外部志向性が強化されるということも起こります」
「するとどうなるのですか?」
「超越的なるものの解像度を上昇させようという機序が働きます」
「一種の幻覚でしょうか?」
「リアリティが呼び寄せられるということです」
「必ずそうなる?」
「いいえ。あくまでも蓋然的です」
「しかし大いなる蓋然性のもとにあるということですか?」
「接続関係が途切れることは、システムの全体性にとって深刻な危機ですから」
「危機感が亢進するほど志向性が強化される」
「その意味で必然性があると云えます」
「錯誤とは云えない?」
「錯誤とみなせる特権的な場所はどこにもありません」

「本当にそうなりますか?」
「希求の高まりは不在の意識と照応しているとも云えます」
「なにかが足りない?」
「基底をつくるものの不安定さ。システムのゆらぎでもあります」
「ゆらぎが呼び寄せるものがある」
「そうです」
「生存にとって必然のメカニズムですか?」
「ゆらぎのない生命を考えることはできません」
「だから接続関係が変化できるとも云えますね?」
「不安定さは可能性でもある。両義的です」
「開放系のシステムにとって宿命だということですね」
「ええ。その意味においても、システムのトータリティはつねにモニターされています」
「危機管理でしょうか?」
「危機管理やメンテナンスを含む情報的なサイクルシステムが動いています」
「モニターする主体とは?」
「システムみずからです」
「危機管理やメンテナンス以外には?」
「システムの更新があります」
「ということは参照系があることになりますね」
「一定の準拠枠があり、それからズレつづける現実態がある」
「その両方がモニターされている?」
「そうした差異がシステムにとっての情報と意味を構成します」
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2010 エージェントのゆくえ3

2011-01-15 | Weblog
「ゼロ記号として機能するものが装填されている?」
「機能的な必然性があるということです」
「人間は一種のファントムに制御されているということですか?」
「実体としてはvacant、しかし機能的にはvalidと云うことができます」
「イデアとかカント的な理性のようなものでしょうか?」
「無数のバリエーションがあります」
「虚数的な特異点との関係において機能的要件が満たされる?」
「人間をシステムとして考えるとそうなります」
「機械論的ですね」
「ある意味、そう考えて結構です」
「ある意味とは?」
「自己組織性を度外視すると、ということです」
「機械は自己生成しないということですね」
「はい。自己組織化には意味論的展開が含まれます」
「難しすぎます」
「そのことは後で説明します」
「生物としての犬や猫についてはどうですか?」
「ヒトと同質な幻想領域は想定できませんが、外部接続という意味では同じです」
「じゃもう少しわかりやすく」
「現実のあり方は数学的コスモスのあり方と類比的です」
「ありえないものが加担している?」
「ありえないものが実在するとしてシステムは機能しています」
「例えば神仏の世界もそうですか?」
「拠りどころという意味ではそうです。しかし多種多様な分岐があります」
「むしろ無自覚であることが多い?」
「生きられる環境や文脈に依ります」
「歴史や伝統も背景を構成しますね」
「まさしく」
「東洋にはタオとか、天とか、法という言葉もあります」
「お天道様という言い方もありますね」
「すべて実体としては空?」
「あるともないとも云えない」
「すると恣意的な解釈や意味付与も自在ですね?」
「正確には恣意的かつ必然的なものです」
「生命システムは虚数的外部に支えられている?」
「例外はありません」
「さまざまな分岐についてはどうですか?」
「実存の文脈において、膨縮し、顕潜し、変化します」
「しかし構造的には共通性がある?」
「はい。現実は日々此岸的でありながら、構造的には彼岸的なるものとの接続関係にあります」
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