memories on the sea 海の記録

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「爆食」中国 世界の海で乱獲

2013-01-26 00:02:43 | 
 日本近海にカツオなどが北上する最大の「黒潮ルート」の入り口、太平洋中西部。フィリピン東沖からミクロネシア連邦にかけて広がる世界最大のカツオ漁場で、異変が起きている。(1月4日sankei/msn)
 
昭和20~30年代に10万トンだったこの海域のカツオ漁獲量は、右肩上がりで160万トン規模まで拡大してきたが、資源枯渇の兆候が現れ始めたのだ。
 太平洋中西部で取れたカツオは、その多くがバンコクの港に運ばれ、ツナ缶やペットフードに姿を変える。ところが、最新の数字である昨年1~8月のタイ向けの出荷量は直近3年間で最も落ち込み、取引価格は史上最高値を更新した。原因は、「小ぶりの魚まで根こそぎ取ってしまう巻き網漁船による乱獲」(業界関係者)だ。
 
3年前、中国がこの海域に、日本では規制があって造れない1千トン級の大型巻き網船11隻を投入したことが確認されている。水産庁国際課によると、巻き網船の数は平成12年の157隻から250隻に増え、船籍数では中国籍が13隻、台湾籍が34隻。だが、実際には、増加分93隻のうち7~8割が中国、台湾系とみられ、「ミクロネシア連邦など漁場に近い船籍を隠れみのに使っている」(業界関係者)実態がある。
 
乱獲の影響は、日本の食卓にも及ぶ。昨年の日本近海の一本釣りカツオの水揚げ量は、3万100トンで過去最低。土佐料理チェーンを全国展開する加寿翁(かずお)コーポレーションの竹内太一社長は「昨年は刺し身やたたきに適した2・5キロ以上の大型カツオが手に入らず、仕入れ値は3割も上がった」と嘆く。
「年間を通じて異変続きだった」と、大型カツオ一本釣り業者を束ねる全国近海かつお・まぐろ漁業協会の八塚明彦業務部長も、記録的な不漁に頭を抱える。

 大手商社によると、日本の水産物の消費市場が5兆円なのに対し、中国は20兆円規模で年率2けたの伸びを続ける。
 中間所得層を中心にエビやマグロ、ノルウェー産サケなどが急増。中でも天然と養殖を合わせたエビは、世界の年間消費量700万トンの4割弱の260万トンを中国が占め、「爆食」ぶりを表している。
                 
*食べ残し文化 浪費助長
 中国が乱獲した多くの水産資源は、13億の胃袋を持つ自国消費に回るが、経済成長に伴い、食の浪費も顕在化している。
 中国では、「接待客が食べきれずに料理を残せば、宴会は成功といえる。そうしないとメンツが立たない」。中国の建機メーカー幹部が、もてなし術を披露する。
 国家行政学院の竹立家教授の推計では、政府関係者や共産党幹部による「官官接待」だけで、年間約2兆7千億円にのぼる接待が行われている。
 所得水準の上がった中国では、富裕層に限らず、中間所得層にも「メンツ主義」が浸透する。季節ごとの宴席が自らの豊かさを誇示する場になり、メンツのためにたくさんの食べ物が無駄にされる。
 「もったいないなんて考えない。料理をけちったら相手にされなくなる」。管理職に昇格した上海人は、同僚や親類を招いた忘年会で人数分の2倍の料理を頼んで悦に入った。乱獲の裏側で、「乱消費」が繰り広げられている。

枯渇すれば撤退
 国を挙げて、ミクロネシア連邦の港湾や加工場のインフラ整備を進め、漁業権獲得に動く中国。水産行政に詳しい政策研究大学院大の小松正之客員教授は「3~5年乱獲して投資を回収し、資源が枯渇すれば撤退すればいいという中国系の船が多い」と説明する。
 
中国の狙いは別にもある。沖縄県・尖閣諸島をはじめ、「海洋地域での覇権狙いや国連での中国シンパづくりといった政治的な意味合いも大きい」と、業界関係者は指摘する。新幹線網の整備も「ベトナムやタイ、ミャンマーなどを高速鉄道で結び、アジアの覇権拡大につなげる思惑がある。チベットがそのさきがけだ」と、日本の鉄道会社首脳は言う。

 そんな中国の最大の泣き所は、水不足だ。水がなければ農地が活用できず、食料自給率95%の維持も計画倒れに終わる。海水を飲める水にする日本の水処理やプラント技術は、食糧やエネルギーを海外に依存する日本が唯一、覇権を握れるチャンスといってもいい。経済産業省によれば、水ビジネスの世界市場は、平成19年の36兆円から37年には87兆円に拡大するという。
 一方、穀物市場は中国の輸入動向を注視する。消費の主役が先進国から新興国にシフトし、市場の約7割を握る米穀物メジャーを頂点にした勢力図が変化するからだ。穀物取引は、生産地の集荷網と消費地の販売網を押さえる必要があるが、中国の巨大商社が台頭すれば、日本は食糧安定調達の道を絶たれる恐れがある。

*のみ込まれる日本
 「将来、世界の投資が中国に一極集中するかの答えは、イエスでありノー。中国政府が本当に賢ければ資本市場を開放し、人民元も自由化する。そうされるのは本当に怖い。上海が世界の金融センターになる可能性がある」。日本取引所グループの斉藤惇CEOは、金融市場での中国の潜在的脅威をこう語る。
 
2030(平成42)年に日本は人民元経済圏にのみ込まれる-。人民元が東アジアの基軸通貨になる可能性は、米国家情報会議(NIC)だけでなく、世界銀行の報告書も指摘する。
 市場関係者は「かなりのスピードで人民元の国際化が進む」(第一生命経済研究所の西浜徹主任エコノミスト)とし、元財務官の加藤隆俊・国際金融情報センター理事長は「うかうかしていると、日本は中国の周縁国に転落する」と警告。中国の経済政策に詳しい財務省幹部も「日本が国債消化などで豊富な中国資金に頼るようになれば、国債購入や投資が外交カードに使われる」と指摘する。

 アジア市場では30年を見据え、自由貿易協定をめぐる米中の陣取り合戦が激しい。米国は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に注力し、中国は米国抜きの東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を最重視する。経産省幹部は「中国の(海洋と領土の)拡張主義に対し、アジア安定には米国の存在感が欠かせない。パワーバランスの均衡が日本の国益につながる」との見方を示す。

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