memories on the sea 海の記録

海、船、港、魚、人々、食・・・などなんでもありを前提に、想い出すこと思いつくこと自由に載せます。

ここ5年間で98%減少  テムズ河のウナギ資源

2010-02-12 00:02:22 | 水産・海洋
ウナギはイースト・ロンドンの伝統料理として何世紀にもわたって続いてきた。ロンドン動物協会(ZSL)の調査によるとこの魚が首都の河から消滅しつつあるという。(英ガーデイアン1月21日)

毎年、ZSLはテムズ川潮汐区の保護計画を実施、ウナギの篭を設置し、ここに入るウナギの数を数えたのちに再放流してきた。2005年にはその捕獲数1,500であったものが、昨年はわずか50尾であったという。ウナギはサルガッソ海で産まれ、欧州の河に溯上してくるまでに3年間を要していると見られている。また河に入ればその後20年間は大西洋を下る4000海里の旅に出るまで滞留すると見られている。しかし保護活動家らは、この種がテムズには戻らないか、あるいはテムズ゛河の中であるいはその支流で問題に直面しているのではないかとみている。

欧州ウナギとヒラメは1960年代には生物学的にはすでに死滅したものと見られていた最初の魚種であった。ウナギの資源の急速な崩壊は壊れやすい生態系で他の種に対しても波及効果を持っているかもしれないという恐れも考えられる。テムズ以外の河川においてもウナギ資源の急速な減少が見られるとZSLはいう。

テムズ河潮汐域保護プロジェクトのチーフであるMatthew Gollock博士は 「ウナギは神秘的な創造物であり、我々はテムズ・ウナギの急速な消滅に強い関心を持っている」 「これからどうなるのか予測は難しい。多分、温暖化による海流の変化や、人工物であるダムなどの障害、それに病気や寄生虫の影響もあるだろう」 同博士はウナギとその他の種を救うためにはこの消滅によって餌を失う鳥などを含め食物連鎖も考慮に入れて何が起こっているのかを明らかにする必要があるという。

「ウナギのための何かできる時間はもうないかもしれないし、このことが他の種の資源にドミノ効果を及ぼすかもしれない」 と博士はいう。「テムズ河は大都会の河であり、開発された河口といえる。50年前に比べるとより健全であるが、河に対する圧力は持続している」「ここにはかなり不安定な生態系があり、いったんどれかの種がなくなると、魚であれ植物であれたちまちバランスを失う」と同博士はいう。