完全無欠な「もうすぐ前期高齢男」日記

「もうすぐ前期高齢男」に進級「老いの自覚」を中心にUpしていきます。

村上龍著「共生虫」読み終わりました  ~心の奥底を覗かせる作家~

2007年04月15日 | 
私は中年である。

「300日問題」の特例法案が見送られたと言う。

なにごとにおいても政治家や政府と言うのは「現実」より「建前」や
「事務的秩序」の方が大切らしい。

人間の「誕生」という尊厳を、こうした事で進められることに「強く憤り」を
感じる。

こんな形でウダウダしているうちに、次々にこの問題の対象となる子ども達が
「誕生」していると言うのに・・・。

私生活においてもストレスが溜まっているのか、腹を立ててばかりいる「中年」で
ある。


さて「作家」と名乗る職業の人が、日本にどれくらいいるのか分からないが、
「村上龍」と言う人ほど中年男の持っている感性の「ある部分」を刺激する
作家も居るまい。

彼の割と新しい本
            「共生虫」 
                  を読み終わった。

彼は人間の中にある「影」の部分を常に暴き出す小説を書くタイプの小説家だ。

デビュー作の「限りなく透明に近いブルー」を読んだ時、私は高校生だった。
当時の高校生としては衝撃を受けた。

彼は私より幾つか上の50代のはずだが「中年」という括りに入れて良いと思う。

若い人から見れば、40代半ばと50代初めの違いをほとんど見出さないかも
しれないが、現実にはこの数年には大きな違いがある。

特に村上氏の場合、九州佐世保出身というのが彼の小説に色濃く影響を与えている。

「佐世保バーガー」が有名だが、それもなぜ有名なのかの理由を探ると村上氏の
小説の根本にたどり着ける。(・・・わかんないかなぁ・・・。佐世保って
米軍基地があるんだよね・・・。あとは「限りなく透明に近いブルー」を
読んでみて)

「共生虫」は一人の「引きこもり青年」がインターネットを通して、引きこもりを
克服していく話なのだが、果たしてそれが「克服」と呼べるかどうか・・・。

この人の本は、読者にとって「読みやすいかどうか」など全くといっていいほど、
考えられていない。
そのためページいっぱいに活字が並んでいるし、理解しやすいように文章を
噛み砕いて表現をする気がほとんど感じられない。

そうした意味では読書慣れしていない人には、読破するにはむずかしい。
しかしそれでも、この人の本の「ひきつける力」は圧倒的だと私は感じる。

この人が海外でも高く評価されている理由は、日本人よりも外国人にこそ
「奥底にあるもの」が理解されやすいからではないだろうか。

同じ海外に人気の高い「村上春樹」がどちらかと言うと女性向なのに対して
この「村上龍」は完全に男性向きだ。(だから彼の本を女性が読むときは
ちょっと覚悟がいると思うよ)

読書慣れていない人は、映画にもなった「69」(彼の自伝的小説)当たりから、
活字に自信がある人でも、出来れば少々昔の本からはじめた方が楽しめると
思う。(主演も妻夫木聡だし・・・。けど、この小説は彼の小説の中では
際立って「駄作」だと思うけど・・・ってブログのどっかで書いた気がする)

村上氏のことについては、これからもブログにUpする事が多いと思っている。
ある意味「男にとっての文学」の最先端を突き進んでいるのが彼だから・・・。

今回も最後までお付き合いいただきありがとう。
これを読んだみんながたまに、ホントにたまにでよいから本を読んで人間の
「奥底にあるもの」を垣間見る機会を持てますように。

読書について偉そうに書いたけど、この本の中間部はほとんど読み飛ばしち
まっただ。
本においての「本質」が理解できれば、一言一句読む必要なんてないと思う。                                                                      may


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