私は中老男である。
どうやらNHKで「犬神家の一族」がドラマで放送されるらしい。
今日の夜と来週の土曜日の2回に分けての放送だという。
そうなると・・・。
「映画をおさらいしておかないと」って気になった。
ちょうど土曜日。
午前の遅い時間に76年に公開された「初代」の録画を見始める。(ご存知でしょうけれど、二代目があります)
先日NHKのバラエティーで、この映画のことをドキュメント風に振り返っていた。
この映画が公開された時、私は15歳。
まさに昭和真っ只中であり、情報源は「テレビ」とか「雑誌」「新聞」の類が90%を占めていた。
しかも私は高校生になったばかり。
なにしろCMが華々しかった。
「読んでから観るか!観てから読むか!」ってキャッチフレーズも強烈に記憶にある。
実をいうと「映画」としては観ていない。
たぶんテレビ放送で観たように記憶している。
ビデオが家に来てからは(?)何度か観なおした。
そして時を置けば置くほど、その映画の「凄さ」を感じる。
それは「犬神家の一族」という映画もさることながら・・・。
「映画」というモノ自体の「力」を思い知らされる。
あったり前なのだが、そこに収められているのは「切り取ったその当時の時間」であり「出演者の若さ・演技」などがそのままに記録されている。
この76年の「犬神家の一族」に出演している役者の面々は多分8割くらいは物故しているだろう。
そこには、もう見れない役者たちが生き生きと演技しているのだ。
そして描写されている「終戦直後の日本の風景」は、中老男の幼児期の記憶を呼び起こさせる。
ちなみに中老男は昭和36年生まれで「もはや戦後ではない」と言われた当時である。
そんな人間にも、激しく「郷愁」を感じさせるのだ。
そして、なんといっても・・・。
いまだに「映画は『原作を忠実に映像化する』ことが正解だ」と思っている私にとって
その「原作を超えた」数少ない映画の一つなのだ。
「犯人が分かっていながら何度も観れるミステリー映画」ってホントに「そんなにない」ですよ!
出演者の重みも、私世代でないとわからないしね。
時代が変わっても、この原作の重みが変わらないことを今夜のドラマが証明してくれることを望んでいる。
今回も最後までお付き合いいただきありがとう。これを読んでいる皆さんも、中老になったときに感じる郷愁がありますように。
May
もはや、この原作は「歌舞伎」や「古典落語」「クラシック音楽」のように「誰がどのように演じるか」がポイントのモノになっているからねぇ。