Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

『地球200周!ふしぎ植物探検記』

2015-03-31 19:03:53 | 読書。
読書。
『地球200周!ふしぎ植物探検記』 山口進
を読んだ。

ショクダイオオコンニャクやラフレシア、珍しいランなどなどを
全12章にわたって、それらを求めて行った探検の様子から送受粉のしくみまでを
わかりやすく解説したエッセイ。

淡々と、なんでもないように珍しい植物との邂逅を扱っていますが、
想像するに、とんでもない探検ではあると思うのです。
砂漠で野宿していたり、標高4500メートルの高地で植物を撮影していたりですから。
地球200周と銘打ってありますが、著者は空路、海路、陸路、あわせて
それくらいの距離を旅してきたそうです。
だからこそ、調査慣れしているから、たんたんと簡単な調子で、
苦労を感じさせない強さでもって文章をつづっているのかもしれない。

静かに熱い漢(おとこ)としての、
平熱で書き記した植物探検記とでもいえばいいのかな。
さっぱりした文章に好感が持てるし、
ときどき「ふふふ」と笑えてしまうところもある。
とくに、アマゾンで蚊の群れに襲撃されて刺されているところの描写も、
慌てふためいていなくて、たのもしいのと大丈夫なのかという心配で
笑えるというのがありました。

最初の15ページくらいで、各章の中心的なターゲットであるふしぎな植物の写真が
カラーで掲載されいるのですが、それ以外の本文中に出てくる写真も
カラーだったらよかったなあなんて贅沢に思えてしまいました。
なにせ、花ですからね。美しい色合いまで見てみたいと思うのも人情ってものでしょう。

それにしたって、いろんな植物がその繁栄のために、
昆虫などとの共生関係を結んでいるのがわかります。
うまく相互にWinWinの関係でなりたっているんですよねぇ。
共生、共進化というものは深くて興味深いテーマです。
えてして、人間は独自に狡猾なその知性によって、
自らの手で進化してきたかのように感じる人もいるでしょうけれど、
人間だって共生、共進化なしには今のようなカタチにはなっていないでしょう。
そこを、「そうかな?」だとかってピンとこないのは、人類の驕りなのだと思います。
ぼくもあんまりピンとこないほうなので、まだまだ驕りの人類のひとりであるのでしょうね。

著者はカメラマンでもあり、
あのジャポニカ学習帳の表紙の昆虫や花々の写真を手掛けている方ということでした。
さっと読めて、なかなかおもしろかったです。


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『ドナウよ、静かに流れよ』

2015-03-29 20:28:07 | 読書。
読書。
『ドナウよ、静かに流れよ』 大崎善生
を読んだ。

ウィーンにてドナウ川へ入水自殺した若い男女。
千葉という33歳の自称指揮者の男性と、
19歳の女子大生、渡辺日実。
とくに渡辺日実の人物像と足跡を軸に進められる
ノンフィクションです。

以下、ちょっとネタバレあり。

心中したという決定的な二人の結末から追うせいもあるかもしれないけれど、
どうしようもない雰囲気がずっと漂っていました。
それが、最終章へと近づいていくにつれて、様相が少し変わるのです。
そこには、日実の心の変化がありました。
序盤から示唆されていたのではありますが、
死へ臨む強さのようなものを感じずにはいられない。
奥手の少女だったはずなのに、病的な千葉との出会いによって、
急速に大人になっていったんですね、たぶん。
そして生まれた、愛する心は、もしかすると千葉への恋愛的な愛というよりも
博愛的なものに近かったかもしれない。
実際、親の束縛から逃れさせてくれた千葉へ恩返しをしたい、
という強い気持ちが日実にはあったようです。

千葉の描写や情報を読むと、
これは間違いなく精神疾患をかかえていると読めるのですが、
そこはやはり読み物の情報ですから、そう錯覚しやすいのかもしれず、
著者が知人の精神科医に千葉をどうみるか訊いてみると、
精神疾患ではないんじゃないか、と言われたそうです。
さらに、オーストリアで千葉がかかった精神科医も、
軽いノイローゼでしょう、という診断だったようです。
まあ、このあたりは闇の部分であり、
実際に彼がどこまで深く精神を病んでいたかは知る由もなかったりします。

また、日実の両親がお金持だったせいもあって、
日実にあれこれとお金をかけすぎ、
進路もレールを引いて歩かせようとしていた点に関しては、
日実も心の底から嫌だったろうなと思えたりもする。
それはきっと、言葉でいろいろ言える以前に、
もやぁっとイラつく感じのようなものだったんじゃないか。
父親には前妻との間に子どもがいただとか、
日実が多感な頃に不倫をしてしまっただとか、
それによって夫婦喧嘩の絶えない日々を長く送っただとか、
人生を振り回されているところがありました。
そんな日実になかば強制的に留学をさせていたように
読み受けられもして、そんなんじゃきっと、
わかりにくいかもしれないけれど、
SOSを出していたのではないかと考えてしまう。

この本の良かったところは、
千葉という男を精神疾患者だとしてしまわず、
そして悪者というわけにはしてしまわなかったところです。
千葉の奇矯さ、妄想や虚言など、かわいそうではあるのだけれど、
なかなかそういう振る舞いが病気によるものだとは思われず、
その人自身の性格だと思われてしまう。
本書ではそこまでは踏み込んでいないのが少しだけ浅いところです。
「精神疾患者ではないので悪者ではない」という間違った論理と
見受けられる部分があります。そこはちょっと残念。

とはいえ、
順を追って日実そして千葉の人物像を拾い上げていくことによって、
そして、最後に日実が行きついた迷いなき愛情で終わることによって、
ひとつのレクイエムに本書がなっているかのようでした。

どうしようもなさ、迷い、正解の無さ。
多くの人は常々そういうもののなかに身を投じているともいえます。
しかし、日実はきっとそこに生きていく芯を見つけたのでしょう。
そして千葉の存在を誇りの中に全うするために、
きっと日実から死を選んだのでしょう。

もどかしくて、くるおしさも感じて、そして最後は切ない。
そんな作品でした。

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『終末のフール』

2015-03-24 00:30:11 | 読書。
読書。
『終末のフール』 伊坂幸太郎
を読んだ。

8年後に小惑星の落下によって地球が滅亡すると運命づけられた世界。
時間は経過し、小惑星の衝突まであと3年というところでの物語。
短編連作集です。

とくに僕は、「冬眠のガール」という作品が面白かったです。
会話の面白味、主人公の女の子の発想豊かで独創的なところから発せられる
言葉の予測できなさがよかった。
そして、他の章でもいえますが、
ちょっと遊び過ぎかもって思わせるところがエンタメ作品ということなのかな。
くだらなさとか気の利いたところとかが混ざり合って、
会話の面白みを醸し出しています。

なかなかに、面白かったです。

登場人物たちみんなに、
読み終わるときに名残惜しさを感じるのが、
小説を読み終える時の切なさですが、
本作も多分にもれず、
そういった感慨がわき起こる作品でした。


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『勝負師の極意』

2015-03-20 00:12:41 | 読書。
読書。
『勝負師の極意』 武豊
を読んだ。

誰もが知るJRAのジョッキーで、
ずっとその伝説を更新し続けている武豊氏の競馬エッセイ集。

天才と騒がれ続け、2010年の落馬事故以降スランプに陥るも、
その後見事に復活を遂げてきた武騎手だからこその、
勝負師としての気持ちの持ちようっていうのはあると思うのです。
でも、それも、現役ジョッキーとしては
きっと企業秘密のようなところもあるだろうながらも、
そんな中で、ちらりと見せてくれたいくつかの心のスタンスが
本書にはありました。

ジョッキー人生を振り返りながら、
思い出の馬やレースを語るスタイルなのですが、
そこに武豊騎手ならではの視点というものがあります。
文章はほんとうに誰にも読みやすいタイプの散文で、
ただ、競馬についての知識があった方が読みやすいです。
オグリキャップの話、ディープインパクトの裏話、
騎手人生で一度だけ「この馬にはどうやっても勝てない」と思ったという、
全盛時のナリタブライアンの話、などなど、
競馬ファンだったなら、その当時の記憶の肉感的な感覚とともに、
各レースをありありと思い浮かべながら談議を交わすかのような、
ある意味でホットな読書になるでしょう。

本音で語りながらも、しれっと隠していることが山ほどありそうなのが、
勝負師・武豊騎手です。
その騎乗哲学、競馬人生の哲学が公にされないのは、
まだまだ現役でいこうという気持ちの表れなのではないでしょうか。
武騎手が若い頃には、
40歳くらいで引退するなんて、本人が本当に言ったのかどうかわかりませんが、
そうスポーツ紙か何かの記事にあったような気がします。

年間200勝を達成していた時期なんかは、連対率がすさまじくて、
馬券でははずせない人でした。
今年も今のところ、リーディングの10傑に入っているようで、
まだまだ盛んな現役の伝説騎手です。


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『Love!TAYLOR SWIFT―perfect style of TAYLOR』

2015-03-19 18:11:25 | 読書。
読書。
『Love!TAYLOR SWIFT―perfect style of TAYLOR』 マーブルブックス 制作
を読んだ。

アメリカのシンガーソングライター、
テイラー・スウィフトのファッションや髪型、メイクに注目した
ほぼテイラーファンのための写真集的な本でした。

テイラー・スウィフトには、数年前にツイッターでたまに彼女のことを
ツイートしている人がいたので興味を持って調べてみたらハマったのでした。
すごい美人で可愛さもあって、180cmの長身で恋多き女なんだけれど、
どこか可憐な感じもちょっとする。
1989年12月13日生まれということで、彼女のラッキナンバーは「13」だそう。
何を隠そう、僕の生まれた日も「13」でひそかにラッキナンバーとしていて、
お、テイラーと共通点!と思って嬉しくなりました(単純)。

彼女はワンピースをよく着こなしているようですね。
ワンピースが好きな女の子って僕は大好きですね、ええ。
なるほど、女の子ってこういういろいろなタイプのワンピースを着るものなのか、
とちょっと勉強というか、知識になったりもして。
それでいて、似合っていてかわいいものだから、
読んでいたら鼻の下が伸びすぎて、あごが床にくっついてしまいました
(戻すのが大変だった)。

テイラーの歌はこの本では取り上げられていないでけれども、
僕は、「Mine」や「The Lucky One」、「Enchanted」なんかが特に好き。

モデルみたいなスタイルに、美しい顔、という美貌に加えて、
音楽でグラミー賞をもらうほどの才能を持つという、
スーパーな女の子ですよね、テイラー・スウィフトって。
メロメロになってしまいますがな。

それにしても、この本には良くカタカナ言葉が登場しますが、
「ネクストドア的なファッション」ってどういう意味なのか
よくわかりませんでした。先取りってことなのかな?

常に人前では真っ赤な口紅なのがいい意味でレトロ感に繋がっているんだなぁ。
マリリン・モンローの時代を思い起こさせるところも、彼女にはあります。


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『広告論講義』

2015-03-18 02:24:30 | 読書。
読書。
『広告論講義』 天野祐吉
を読んだ。

「広告批評」を創刊し編集長をしていた天野祐吉さんによって、
明治学院大学にて2000~2001年に行われた講義を加筆編集しまとめたもの。

天野祐吉さんといえばコラムニストということで、
僕も昔、なにかの雑誌で天野さんのコラムを読んだりしていたことが
あったような気がしますが、なんの雑誌だったろうか、と。
『優駿』だったような気もするのですが、もっと軽い雑誌だったような感じもして。
まあ、そこははっきりしませんが、
なんとなくお名前は昔から知っていたということでした。

しかし、実に面白かったですね、この本。
20世紀はどういった世紀だったでしょうか、と尋ねられれば、
戦争の世紀だった、科学の世紀だった、
などと答えるのが一般的かもしれないところを、
広告の世紀でもあったと捉えて、
20世紀の広告の総括を端的に行った講義のまとめがこの本になっています。
1900年のパリ万博からはじまって、
2001年のアメリカ同時多発テロで終わっています。
パリ万博は壮大な広告だったし、
同時多発テロの様子を何度も映し出したテレビは、
その反復によって、テロは悪であり、
アメリカは被害者であるという広告になった。

と、初めと終わりだけを紹介すると、
その豊潤な中身に触れないことがフェアじゃなくなってしまいます。

著者がところどころ引用する新聞広告や学者の文言などは、
博識であればこその言葉の拾いあげ(キュレーション)であって、
そしてそれらが物事の的を射ているという的確性があります。
フォードやフォルクスワーゲンなどの車の広告についてや、
片岡敏郎という戦前の名コピーライターの人や、
20世紀の広告といえば、負の遺産としてこれは外せないヒトラーについてなど、
多岐にわたって簡潔に、そして本質を突いて広告というものを教えてくれます。
開高建さんや山口瞳さん、糸井重里さんの名前も出てきます。

面白いと言っても、そりゃ、「これを読めば名コピーが書ける!」という
ハウツー本みたいなものではないのですが、
広告の概論を読むという感覚で楽しめてしまう。
こんな講義が大学であったんだから、
明治学院大の学生たちが羨ましいと思ってしまいました。


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『どうして時間は「流れる」のか』

2015-03-12 16:31:32 | 読書。
読書。
『どうして時間は「流れる」のか』 二間瀬敏史
を読んだ。

物理学者による、
ちょっと難しいけれど比較的分かりやすい、
「時間とはなにか」という問いに答える本。
その性質上、特殊相対性理論と一般相対性理論を扱っていて、
本書の半分以上は宇宙論にもなっています。
重要なキーワードは「エントロピー」でした
このイメージを掴んでおかないと、
時間の流れについてもイメージが湧きません。

エントロピーについては、
僕はたとえば比喩的に、
遊び場でも、仕事場でもネットの掲示板でもいいですが、
「場」というものが壊されてしまうことを、
エントロピー増大にかけて、
「世の中はエントロピー増大に向かうものであるから、
エントロピーを増やすことは難しいことではなくて、
エントロピーを低くしていくことのほうが
つまり情報量を増やすことでもあってそれこそがかけがえのないことで、
場を壊すなどというエントロピーを増やす行為よりも、
場を作るというエントロピーを低くする行為を大事にしていかないか」
とどこかで書いたか考えたかしたことがあります。
生命の誕生っていうものも、家を作ったっていうことも、
エントロピーを低くする行為なんですよね。
宇宙のエントロピー増大っていう流れに逆らう行為にこそ、
面白みと生きがいはあるんじゃないのかって思いました。

そこでこの本ですが、エントロピーを重要視しています。
人間の進化にしたって、原子力廃棄物だの二酸化炭素だのゴミだのが
エントロピー増大にあたるとしていて、
人間の進化だけをみてエントロピー低下とはみなさない、
となっていました。すごくマクロな見方です。

宇宙の始まりから、最新の物理学のトピックまで、
面白く読めました。
超ひも理論はこの世界を10次元と考え、
M理論というのが11次元と考えるという区別ができたし、
僕らが認識する空間3次元と時間1次元のほかの余剰次元は、
ミクロの域にまで折り畳まれていて観測することも出ないと考える
科学者が多いこともはじめて知りました。

そういうわけで、
すべてはっきりとは理解できませんでしたが、
物理学の面白い読み物でした。


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『黒猫・アッシャー家の崩壊』

2015-03-11 20:30:33 | 読書。
読書。
『黒猫・アッシャー家の崩壊』 エドガー・アラン・ポー 巽孝之 訳
を読んだ。

学生時代に『黒猫・黄金虫』という編集の、
字の小さなポーの新潮文庫を読んだことがあるのですが、
本書は新編集のポーの短編集で、
『黒猫』『赤き死の仮面』『ライジーア』
『落とし穴と振り子』『ウィリアム・ウィルソン』『アッシャー家の崩壊』
の六篇がおさめられています。
どれも面白かったです。

前に読んでいたものもあるのに、
まったく忘れてしまっていて、まっさらな気持ちで読めました。
19世紀の作品の翻訳なので、読みづらさもちょっとあるのですが、
内容の厚みでぐいぐいと読む気持ちをひっぱっていってくれます。
ジャンルはゴシック小説、つまり怪奇小説とありますが、
ホラーというよりは、現代でいえばその怪奇な様式による面白みに
特徴のある小説だと言えるでしょう。
グロテスクだったり、血みどろだったりという見せかたよりか、
世界観で見せてくれているというような。
そして、退廃的ですね。

わかりやすく面白かった『落とし穴と振り子』は、
これに影響を受けて作られた映画が
たとえば「CUBE」だったりしないかなと思いました。
通じる発想を感じたのです。
そして現代になんの遜色もなく力を発揮するポーのすごい想像力。
でも、彼は麻薬とかで幻覚を見ていたらしいところがあるので、
そういうところからの発想なのかもしれないです。

また、オースターの『ガラスの街』の主人公のペンネームが
“ウィリアム・ウィルソン”なんだけれど、
この短編集に『ウィリアム・ウィルソン』ってのがありました。
オースターのポーへのオマージュなんでしょうね。

訳者による解説を読むと、
現代作家でも如実にポーの影響を受けた人がたくさんいるようで、
名前があがっていました。
読んだことはないですが、『ロリータ』で有名なナボコフも
その中の一人とカウントされていましたし、
WEB検索して面白そうな話を書いているのを知った作家もいたので、
今度アマゾンで買ってみようかとメモしておきました。

文章それ自体にも内容にも力がある作家です。
近代の人でもいまなお世界的に読まれているのは、
その力が輝きを失わないからなのでしょうね。


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『幕が上がる』(映画)

2015-03-09 20:01:53 | 映画
ももいろクローバーZ主演で、
本広克行監督の映画『幕が上がる』を観てきました。
演劇青春映画です。

ももクロちゃんたち、演技は大丈夫なの?
と心配になりましたが、大丈夫でしたよー。
さらに、黒木華さんやムロツヨシさんらが
しっかり脇を固めています。
黒木華さんは、ぼくは初めて演技を観たのですが、
抜群にいい演技をされる女優さんでしたね。
役どころにもぴったりとハマっていて、
ハマっているどころか、その役の枠組みを女優さん自ら
作っていったみたいな感じすらしていたような。
主演とは別に、この映画の大黒柱が黒木華さんでした。
そして、ムロツヨシさんは笑いをもたらしてくれるのですが、
これも抜群に面白い。想像力の豊かさだなあ。
黒木さんもそうですが、想像力が平均値を飛び越えていて、
それを具現化することができる俳優さんだと思いました。

エンドロールでは、
やっぱりももクロちゃんたちはいちゃいちゃしてて、
かわいかったです。
かなこ、しおりん、れにちゃん、ももか、あーりん、
それぞれに当て書きしたかのように、
役柄もぴったりでした。
面白かったです。

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『無業社会』

2015-03-08 01:41:50 | 読書。
読書。
『無業社会』 工藤啓 西田亮介
を読んだ。

ひきこもり、ニート、SNEP・・・、
働かない人々、特に若年者が問題になっていますが、
そういった人々に対する誤解を解くべく、
個別の例を紹介し、多角的なデータからの分析を述べ、
その原因たる社会構造にも目を向け、
社会の暗がりの部分に光を当てた、
勇気と意欲すら感じられるよい本でした。

労働環境や社内文化について、
多かれ少なかれウソをついて希望者を集めるのが常識になっている。
入社してそのことを糺してみても、
「お前も大人だろ、わかれよ」
みたいにせせら笑われてしまうものだ。

劣悪な環境もすべて露わにしてしまわないといけないようになればいいのです。
「バカか!そんなことをしたら、働かない人だらけになるだろ!」
という声が出てくるだろうけれど、
実際に経験したり感覚的にわかったりしてるから、
昨今、無業者が増えたわけで。
つまり、同じこと。
社会が変わらないと変わらないんですよ。

今の日本経済なんて、人的資源を食いつぶしている意味でだけど、
背伸びしてなんとかメンツを保っている感じでしょう。
一度怪我して転倒して、そこから真っ当に這い上がってみたらどうだろう。
なんて、ちょっとラディカルなことを考えたりもして。

この本を読むひとつ前に読んだ、
吉本隆明さんの『ひきこもれ』には、
ひきこもりを肯定する証拠となるべき論考がありました。
ほんとうは、そういった論説を前提として皆がふまえていることが
生きやすい世の中をつくることにもなるし、
よりニートだとかの人々を圧迫しないことにも繋がると思うのです。
しかし、日本人の頭の固さと冷たさっていうのがありますから、
本書のように、論拠があって理詰めで証拠を見せていかないと、
なかなか納得してもらえなかったりもするでしょう。
繰り返しますが、なにせ、日本人は赤の他人に冷たいですからね。

僕も自分の身体が弱かったり、母の介護というか、
家事をしていたりというのもあって、
ほとんど無業者なんですが
(本書によると、家事をしていると無業者ではないのですが)、
身につまされる思いがしましたね。
とくに、社会に恨みがあるわけじゃありませんが、
社会をもっと自分たち寄りに変えていきたい気持ちってあります。
より生きやすい世の中にしていきたいなと常日頃考えています。

そんなだから、
12月に文芸誌に応募した小説の登場人物たちも、
ひきこもりがちで仕事をしていない若者ということになりました。
現代において、光を当てるべき境遇の人々だと思ったからというのもあります。
審査の人たちにどう読まれるかわかりませんが、
予選を通過するかどうかがわかるのが来月です。

閑話休題。
本書の著者の一人の工藤氏は、
認定NPO法人育て上げネットの代表だそうです。
興味のある方はサイトを覗いてみたらよいでしょう。

無業者のなかには、パソコンに触れたことがないだとか、
運転免許や車がないだとか、そういう人たちが大勢います。
僕は自分の境遇は大変だなって思う時もありますが、
それ以上に大変な人々もいるのかもしれないなあと気づかされました。

ほんと、変革が必要で。
そのためには政治主導よりもみんなの意識の変化の方から
始まっていけばいいのになと考えています。


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