Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

『動物化するポストモダン』

2011-12-26 11:04:59 | 読書。
読書。
『動物化するポストモダン』 東浩紀
を読んだ。

コミック、アニメ、ゲーム、パソコン、SF、特撮、フィギュアなどに耽溺する
人々の総称をオタクとして、いわゆるオタク系文化がポストモダン(70年代以降の
文化的世界)とどう関係しているかを論じた本。

とくに、コミック、アニメ、ゲームの類に熱中する人々をオタクと呼んでいます。
アイドルオタクは本書では扱われていません。

そこで語られるオタクによるアニメキャラの萌え要素への分解、
材料化がポストモダンの世界の構造と一緒で、
オタク系文化はポストモダンそのものみたいに言われている。
言われているというか、看破して論理づけて説明してくれているので、
それを読む限り、ほぼ間違いなく、オタク系文化はポストモダンを色濃く反映しています。
反映しているというよりも、ポストモダンの構造そのものです。

本書を読んでもらわないと、僕があーだこーだ書いたところで、
何を言っているのかわからないと思います。
それでも、あえて書いていきましょう。

アニメキャラの萌え要素への分解、材料化、
そしてそれをデータベース化して二次使用するというシステムは、
オタク系文化の中でそのような特徴が出来あがる以前に、
僕が知っている限り、80年代初頭の世界の音楽シーンで見られたことじゃないでしょうか。
『音楽機械論』で坂本龍一さんがそれとなくそんなことを言ってたような。
坂本さんは、誰がこんな音やフレーズを使ったというのもみんな知っていて、
それを確信的にパクったり発展させたりしているのが今の音楽だって、
80年代の初頭に言っている。
つまり、データベース型での世界の捉え方は、
アニメオタクよりもミュージシャンのほうが早かったんじゃないのかな。

と、読んでいる途中で感じたら、
「ハリウッド映画やテクノミュージックでも言えるのではないか」と
一言添えられている部分を後に読みました。

まぁ、なによりも、こうやってオタク系文化をひも解いて分析していくことで
ポストモダンという世界の特徴がわかりやすくなっていきます。
そして、ポストモダンを知るということにより、もはやその渦中というか、
どっぷりとポストモダンの世界に浸かっている僕ら、人間を知るということに
繋がっていきます。
つまり、本書は、現代人理解の本だと言えるでしょう。
友達のA君はほんと、オタク型のポストモダン人間だな、とか、
B君は、すぐに「降りる」ところがポストモダン人間の特徴として強いな、とか、
そういう観点がもたらされるでしょう。

そして、僕の直観からいうと、「ポストモダン」という世界と人間ができあがったのは、
産業革命が起こり、情報伝達技術が発達し、新聞、ラジオ、テレビ、とマスメディアが
発展し、人口が増え、多様化し、さまざまな価値が林立していく中で、
それに対してそれまでの生き方、
「世界の捉え方」ではその世界で適応ができなくなったためでしょう。
世界を人間が複雑にし、その複雑化した世界が人間をポストモダン化させたのです、おそらく。

昔と今の区別をつけるのに、そして、また言いますが現代人理解のために
必読の本と僕は言いきってしまいます。
2001年発刊ですから、もう10年も前になりますが、今読んでも勉強になります。

もうちょっとクリアに世界を認識したいなという欲求を持つ人は、
年末年始のお休みに読んでみると良いかもしれないです。

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腰痛ニ泣ク

2011-12-19 16:36:41 | days
腰痛痛すぎ。

仕事中にやってしまいました。
一週間前の日曜日に寒さの中での重いもの運び、
おまけにつるつる路面に気を使って歩いたので、
それで腰がやられました。
で、昨日の日曜日、また荷物運びをやって悪化しました。

寝込んでおります。
寝込むと腰が伸びて、もっと痛くなります。

そんなわけで、ブログ記事も手抜きでござい。

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『落語百選 春』

2011-12-12 19:44:06 | 読書。
読書。
『落語百選 春』 麻生芳伸 編
を読んだ。

普段、落語を聴く機会はまったくと言っていいほどありません。
でも、それなりに興味はあります。
去年かおととしには、どうにも落語を聞きたくて、
たまたま閃いて新聞のラジオ欄をめくってみて、NHKの寄席番組を
聞いたことがあった。名の知らぬ落語家さんが手慣れた調子で
しゃべる落語を聴いたのだが、耳慣れぬ言葉などが理解できなかった
印象がありました。

だったら、活字でよみゃあいいじゃねぇか。
そうあたしは考えた。
「おーい、八っつあん、落語の本なんてものは、そのへんの本屋に売っているんだろう?」
「へぇ、旦那、売っておりますよ」
「あれだろ、文庫だろ。単行本だと、かさばってよくねぇ」
「ちくま文庫から落語百選ってのがでてるんじゃなかったかなぁ」
「そうか、八っつあん、それならおめぇ、ちょっとひとっ走りして買ってきてくんねぇ、
どら、これには路銀と駄賃も含めてある、とっておけ」
「旦那、ありがとうございます。ただあれですよ、落語の本ですが、「春編」を買ってきます」
「どうしてだい?」
「旦那に春が訪れるところがみてえからでやす」
「こいつぅ、馬鹿にされてるんだか、有難いんだか、わかりゃしねぇや」


とね、下手くそな落語調の小話をやってみたりなんだり。

小学生の時分に、そのくらいの年の子供を対象にした落語の本を読んだことがありました。
「饅頭こわい」だとか「目黒のさんま」だとか、有名な話はそれで知った。
ただ、あまりに有名でベタなのか、テレビとかで落語家の口からその話を聞いたことはなかったなぁ。
今読んでみると、まぁどの話が集められているのかによって印象が全然違うでしょうけれど、
とにかく詐欺とか騙しの話が多いですね。
それで、色っぽい話、それも吉原の話だとか、大岡越前の名裁きの気持ちのいい話だとかがあります。
先日亡くなった、立川談志師匠は、「落語は人間の業の肯定である」と言われたそうです。
こうやって読んでみると、すんなりそう思えるのですが、きっと、談志師匠の言葉には、僕の感じる高みよりも
もっとスパイラルして高いところにある観点で物を言ってそうにも思えてきます。

この本収録の25編の中での好きな話ベスト3は、「こんにゃく問答」「明烏」「湯屋番」でした。

教育ママさんなんかは、「落語なんか読んじゃいけません!」って言うでしょうね。
でも、落語を受け止める豊かさっていうのは人にはすごく必要なんだけれど、
落語を高尚なものとしすぎずに、その泥臭い部分をしっかり見据えて許容することって
大事なんじゃないかなぁと思いました。
悪いことをする人なんかわんさかでてきますが、それを嫌悪しすぎることなく、
逆に愛せたら、人間の深みが増しますね。
…お、ちょっと、強気になって言ってしまったよ。

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隠レル月ニ誘ワレテ

2011-12-10 21:27:31 | days
今宵、JPNは皆既月食の話題で持ちきりでしょう。
もちろん、興味ないねという方もたくさんいらっしゃるし、
そんなのあったの、という情報を取り損ねた方も多くいらっしゃると思う。
皆既月食に湧いているのは、ネット世界が主だったりしそうです。

Twitterのタイムラインで見て、僕もリツイートしたツイートによると、
皆既月食は

>部分食開始 21:45 
>皆既食開始 23:05 
>皆既食最大 23:31 
>皆既食終了 23:58 
>部分食終了 01:18  
>しかも月齢は満月!最高の状態です。

だそうです。
皆既食が始まるころにはもう寝ているかもしれない。

せっかくの満月のお月見です。
狼男は、月食の時間だけ人間に戻るので要注意です。
なにせ、人間に戻ったときには全裸ですからね。

それにしても、狼男がいるってことは、狼女もいるんでしょうか。
ひた隠しにされてる存在だったりしますか。
それとも、狼男だけが、人類の男性からたまさか突然変異をする種なのでしょうか。
遺伝的にありそうですね。男が生まれた時にだけその遺伝要素が発現する、
女はその遺伝子を伝えるだけの存在、みたいな。

あなたって、まるで狼ね、って喩えられる男の話ではありません。
そういう男のほうが実際に存在するでしょうが。

僕もたまには狼になりたいですよ。
でも、繰り返しになりますが、
今日はお月様が隠れるので、その日ではないですね。

昔、僕が小学4,5年生の頃に、別冊コロコロコミックの、確か巻頭の漫画でみたのですが、
満月がピカッと光って世界が一変するっていうのがありました。
えらいグロい世界になるので、その漫画の詳細な内容は公言しないことにします。
子供ごころに深く食い込む、ホラー話でした。
あれは漫画家と編集者の、子供への復讐的要素もはらんでいるように思います。
単なる子供の好奇心に迎合した作品ではあるまい。
いや、でも、ただのやりすぎの可能性は大きい。

話は戻って。

1,2年前に、月食を見ました。
もうツイッターをやりはじめていましたから、下手すると去年の出来事です。
そのときは赤い月を見て、よしこれから月が隠れるぞと思ってみてたら、
月がぼんやり薄い光になった。
なんだ、見えなくなるんじゃないのかと、ちょっとがっかりしましたが、
その神秘さに触れた喜びは感じたものです。
さて、今回はどうなるのでしょう。
今のところ、雲に隠れず、立派な満月が中空に浮かんでいます。

月食時に、道端に全裸で横たわっている男がいたら、
それは狼男ですから、やさしく毛布でも貸してあげてください。
でも、月食が終わる前にその場を立ち去らねばなりません。
また変身する彼に、襲われてしまいますから。

という、おふざけはこの辺で。


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アイスバーン

2011-12-05 19:00:42 | days
波平の頭です。

いや、今日はアイスバーンでした。

スケートリンクの上を走っているように見えるくらい、
路面はてかてかつるつる光り輝いている。
停車から発進時にケツをふる車が多かったこと多かったこと。
おまけに、信号機の電柱にダンプカーが突っ込んでなぎ倒している現場まで見ました。
ダンプカーの顔はぼこぼこだったけれど、あのくらいなら
運転手に怪我はないと思われます。
その事故現場のあたりから、20~30kmくらいののろのろ運転が続きました。
みんな気が気でない様子。

しかし、僕の車はまるで松本人志のように滑らない。
秘密はなんといっても、今年買い換えた新タイヤ、
ブリザックGZにあります。
歩くのもやっとのまっさらな氷路面をしっかりつかんで離さない。
この車、7年も乗っていますが、こんなに滑らないのは初めてです。
やった。
冬場の運転のストレスが軽減されました。
驚きのスタッドレス、ここにあり。
あぁ、ブリジストンの回し者になりたい、なってもいいくらい、
このタイヤに惚れこみましたよ。


と、まぁ、今日は本当に歩きにくく車を走らせにくい日だったのです。
白くまでも転ぶと思われるくらい。
そんなつるつるすぎる日のもので、僕の文章もどうですか、つるつるしているでしょう?
わざとでもなんでもないですが、
すごく「滑っている(Not 滑らか)」ものになってしまいました。

こんな日の中学受験生あたりはきっと、滑った子にむかって、
「お前不合格だぞ」とか言っているかもしれない。

…どうです、また僕の文章が滑ったでしょう。
Comments (2)
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