読書。
『こころと人生』 河合隼雄
を読んだ。
ユング派の臨床心理学者だった故・河合隼雄さんの講演から、
子ども時代について、
青年時代について、
中年期について、
老年期について、の四つを書き起こした本です。
なんていうか、
子どもにしても中年にしても、
その表面的な行動や言動なんかのベースにある、
見えないところを考えていくことで、
すごく人間理解が進むんですよね。
河合隼雄さんは膨大なカウンセリングをしてこられた方ですから、
それまでよく認識されてこなかった、
人間の行動の背景や原理、仕組みなんていうものを、
こういう比喩は適当か微妙ですが、
ジャングルの奥地の遺跡を発見するみたいな感じで、
見つけてきたような百戦錬磨の心領域冒険家みたいな印象を持ちます。
木を見て森を見ずっていいますが、
木を見て森を見たからこそできあがった学問領域です。
それは、現象学からの流れなんですかね。
本書は、河合さんのユーモラスな語りを、
会場で楽しみながら拝聴しているような感覚で読めます。
しかも、平易な言葉遣いなのに無駄がなくて、
じっくり読み進めているとけっこうきわどいところを舞台としていることに
あるとき気付いたりして、
読み手はそんな場所にいつしか誘われていたりします。
びっくりするくらいです。
そうだそうだ!とか、うわすごい!とか、
再確認したり再発見したり、
解けなかったところを上手に紐解いて見せられたり、
そういう経験ばかりの読書になりました。
そんななかでも、たとえばこういう気付きが得られました。
何か欲しいときに
「へえ、へえ」
と腰を低くして接するのは常套手段というか定石だと思いますけど、
昔からそこにどこかずる賢く立ち振る舞っている感じがして、
自分がやるにはなかなかできない、みたいなのがありました。
そして、同じように感じるかたも多くいらっしゃると思います。
でも、「水は高い所から低い所に流れるもの」と聞くと…、
あれまあ!と思っちゃう。
そっか、そういうもんだよね、と自然に腰を低く出来そうな気がしてきます。
何かが欲しいなら、自分を低くして
そこに流れ込んでくるようにするといいんでしょう。
で、ちょっと角度を変えて考えてみると、
なんか好ましくないものが流れ込んでくるなあと思うのなら、
自分が低い位置にいることに気付けるかだ、と。
そんでもって自分が低いところにいるから、
妙なものが転がり込んでくるということがわかれば、
自分を高くするように仕向けるといいんですね、理論上は。
さらっとそういうことが本書には出てくるから、
そこから自分なりのやり方で解きほぐすように、
そして自分に寄せた知見から考えてみました。
これだけじゃなしにですが、本書から窺えますが、
河合隼雄さんはすごいんです。
というわけですが、
これが本年最後の読書記事になりますが、
本書は本年最大のおすすめ本といえます。
おもしろかったです。
『こころと人生』 河合隼雄
を読んだ。
ユング派の臨床心理学者だった故・河合隼雄さんの講演から、
子ども時代について、
青年時代について、
中年期について、
老年期について、の四つを書き起こした本です。
なんていうか、
子どもにしても中年にしても、
その表面的な行動や言動なんかのベースにある、
見えないところを考えていくことで、
すごく人間理解が進むんですよね。
河合隼雄さんは膨大なカウンセリングをしてこられた方ですから、
それまでよく認識されてこなかった、
人間の行動の背景や原理、仕組みなんていうものを、
こういう比喩は適当か微妙ですが、
ジャングルの奥地の遺跡を発見するみたいな感じで、
見つけてきたような百戦錬磨の心領域冒険家みたいな印象を持ちます。
木を見て森を見ずっていいますが、
木を見て森を見たからこそできあがった学問領域です。
それは、現象学からの流れなんですかね。
本書は、河合さんのユーモラスな語りを、
会場で楽しみながら拝聴しているような感覚で読めます。
しかも、平易な言葉遣いなのに無駄がなくて、
じっくり読み進めているとけっこうきわどいところを舞台としていることに
あるとき気付いたりして、
読み手はそんな場所にいつしか誘われていたりします。
びっくりするくらいです。
そうだそうだ!とか、うわすごい!とか、
再確認したり再発見したり、
解けなかったところを上手に紐解いて見せられたり、
そういう経験ばかりの読書になりました。
そんななかでも、たとえばこういう気付きが得られました。
何か欲しいときに
「へえ、へえ」
と腰を低くして接するのは常套手段というか定石だと思いますけど、
昔からそこにどこかずる賢く立ち振る舞っている感じがして、
自分がやるにはなかなかできない、みたいなのがありました。
そして、同じように感じるかたも多くいらっしゃると思います。
でも、「水は高い所から低い所に流れるもの」と聞くと…、
あれまあ!と思っちゃう。
そっか、そういうもんだよね、と自然に腰を低く出来そうな気がしてきます。
何かが欲しいなら、自分を低くして
そこに流れ込んでくるようにするといいんでしょう。
で、ちょっと角度を変えて考えてみると、
なんか好ましくないものが流れ込んでくるなあと思うのなら、
自分が低い位置にいることに気付けるかだ、と。
そんでもって自分が低いところにいるから、
妙なものが転がり込んでくるということがわかれば、
自分を高くするように仕向けるといいんですね、理論上は。
さらっとそういうことが本書には出てくるから、
そこから自分なりのやり方で解きほぐすように、
そして自分に寄せた知見から考えてみました。
これだけじゃなしにですが、本書から窺えますが、
河合隼雄さんはすごいんです。
というわけですが、
これが本年最後の読書記事になりますが、
本書は本年最大のおすすめ本といえます。
おもしろかったです。