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Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

『世界はデザインでできている』

2021-01-27 19:29:47 | 読書。
読書。
『世界はデザインでできている』 秋山具義
を読んだ。

「デザインする」という言葉(概念)で考えることを、これまでしてきた経験がほとんど僕にはありません。「アイデアを考える」「アイデアを実行する」だとか違う言葉で似たようなことをしてはきました。でもそれって局所的で断片的な頭の使い方だったなあと本書から思いました。

「デザインする」と考えた方がより包括的で、広い視野でモノを考えることができる。そして「デザインする」には主観も客観も含まれている。かといって「デザインする」は抽象的な言葉かといえばそうだとは言いきれません。具体部分に論点が移ったときにも、どうやら「デザインする」は同じ具体性で機能してしまうからです。

そのような、便利な上に実用的な「デザインする」という言葉とその行為を、実際に使えるようになるために本書は役立つと思います。デザインとはどういうもので、デザインするために使う頭の筋肉をどうやってつけていけばいいか(本書読むことでつく筋肉もあるでしょう)の指針になる感じ。実地でいける基礎的トレーニング解説も後半にありました。

ちなみに、著者による「カレーの恩返し」のデザイン、これがですねえ、僕は大好きなんですよー。「の」の字のデザインの、遊んだ感じがするその発想が実に愉快です。他、著者の手がけてこられた代表的な仕事には「まるちゃん 正麺」「『ほぼ日』のおさるのキャラクター」「KIRIN アミノサプリ」などがあります。

学生向けの「デザインに関する本」ではありますが、創作に関するいろいろな分野の仕事論としても通じるような中身でした。自分の内部だけじゃなくて、外からの情報を頻繁に取り入れてアイデアをつくっていくだとか、慣れないうちはパソコンだけで作らないで実際に出力して客観的に眺めてみるだとか、シンボル派とコラージュ派だとか、特にそうでした。これはたとえば、小説を書くことにも通じているんです。小説指南書だとか、ピンポイントで学ぶ情報よりも、僕なんかは他分野の指南書から類推して学ぶほうが性に合っているタイプですし、こっちでこそ気付ける部分ってあるような気がします。

後半部の広告業界の話や広告業界に入るまでの話も、漠然と「デザインすることが好きかもしれないなあ」と感じている若い世代にとっては、とても有益になる情報だと思います。紙幅の関係で隅々まで細かく書いてはいませんが、大切なポイントを抑えることはできるでしょう。

「デザイン」ってなんだろう、と最近考えていたので、この本を起点としていろいろ知っていこうと思います。Eテレの『デザイントークス+』を見たりもしてるんです。世界が広がったり、別の視点を知ったりするのは楽しいものです。


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